架空喫茶ホボハチ~不純~

カランカラン

今日は不純喫茶ホボハチの日。不純とはいってもいやらしい意味ではなく夜の部としてアルコールが提供されるのだ。ソフトドリンクと対をなしてホボハチではアルコールは「ハードドリンク」と称される。私はお酒が強くもなければ弱くもないので、嗜む程度に楽しく飲むお酒が好きだ。ナッツをあてにジンバックを飲んでお店に来ているお客さんの話を盗み聞きするのが楽しみになっている。

お昼のホボハチでは決まって壁沿いの席に座るのだが、お酒をつくっているしょーたろーさんやカウンターの方とおしゃべりしているたつまさんを眺めるのが好きで、夜はカウンターに座らせてもらう。しょーたろーさんは好きではないけどお酒が強くて、たつまさんは好きだけどお酒が弱いイメージ。答え合わせはまだしていない。

夜のホボハチには背が高くショートカットで、スキニーにTシャツ姿がよく似合う女性の店員さんもいらっしゃる。ひじの内側にタトゥーが入っていてとてもかっこいい。おつまみをこしらえてくれるのだけど、行く度にちがったおつまみを作ってらして、ファンも多いのだとか。私はそんな彼女が作るポテトサラダの大ファンだ。この日だけはポテトサラダを一人で思う存分堪能してやるのだ。

どこかで見たことあるな、と思っていたらなんと、ホボハチの向かいにあるフルーツジュース屋さんの店員さんではないか。学生さんが恋をしているあのお姉さん。学生さんが二十歳になって夜のホボハチに訪れた時、何かが動き出すのではないかと勝手に想像してニマニマしてしまう。

夜の部のホボハチではマリンバの音色がかすかに流れていて店内もどことなく薄暗く、まったりとお酒をたしなむ方々が入れ替わり立ち替わり。何度か訪れていると顔なじみの方も増えてきて余計と安心する場になっている。誰も誰の事も否定せず、大声でガヤガヤと話すこともなく、かといって張り詰めたような静けさもなく。心地の良い空間で飲むお酒は最高だ。

カウンター横の4人掛けのテーブルにほのかにかりんの香りがする2人組の女性がいらっしゃった。素敵なにおいだなと思っていると席がちかいためおふたりの会話が聞こえてきた。どうやらイベントの準備に向けて目下準備中のよう、申し訳ないながらにも準備をしている間のおふたりの会話はセンスの塊、雑談力も高高の高、バラエティーに富んだ話題でついつい聞いてしまった。ネタをこんなにも持ち合わせているなんて素敵でしかない、お互いのお話をさえぎることも必要以上に突っ込むことも、いじることもしない。とても素敵なおふたりに出会えた。

そろそろお暇しようかな。次はお昼のホボハチに日曜に来よう。また心がささくれだってきたら夜の部にもお邪魔してゆったりとお酒を楽しもう。

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