夏に観たい映画『1999年の夏休み』-sio_note-
テーマ▶映画
noteさんの今月のハッシュタグ企画「夏に観たい映画」ということで、
取り急ぎ思い浮かんだのがこの作品。タイトルもそのものずばり『1999年の夏休み』です。
(いつものようにamazonさんの画像を無断使用させていただきました。よろしければアクセスしてポチってあげてください)→https://www.amazon.co.jp/1999%E5%B9%B4%E3%81%AE%E5%A4%8F%E4%BC%91%E3%81%BF-DVD-%E5%AE%AE%E5%B3%B6%E4%BE%9D%E9%87%8C/dp/B00005LPF5)
これ、もうだいぶ古い映画ですよね。検索で調べたら1988年。
うわー80年代ですかー。記憶を頼りにざっくばらんに紹介しますのでこまかい間違いはカンベンしてください。
本作の公開当時、1999年はまだ10年ぐらい先のことでした。つまりこの映画は近未来が舞台となっているのです。
そしてはっきりとした説明はありませんが、映画のなかでは世界が一度、滅亡したあとという設定になっているようです。そういえば1999年には地球が滅ぶというノストラダムスの予言もありましたしね。
ストーリーは萩尾望都『トーマの心臓』を下敷きにしています。舞台は都会から遠く離れた山あい。みな夏休みで帰省してしまい、がらんとした寮内に4人の少年だけが残っています。多感な彼らの心の葛藤を、映画は静かに描いていきます。
作品のいちばんの特徴は4人の少年をそれぞれ若い女優が演じていることでしょう。これにより萩尾作品のユニセックスな雰囲気がよく出ています。少年の一人を演じている水原里絵はのちの深津絵里です。4人ともショートカットで真っ白なシャツにサスペンダーの半ズボン姿。清潔な雰囲気に満ち満ちています。
映画に登場するのはこの4人だけ。ほかのキャスト、とくに大人が出てこないことがより世界の終末感を感じさせます。
冒頭、夏草に埋もれた線路をレトロな電車が走ってくるシーンも印象的。イメージとしては清里あたりの高原の避暑地かなー、清里には清泉寮もあるし。
近未来といえばきらびやかなハイテク都市とかブレードランナーみたいなディストピア風に描かれがちですが、この映画では文明が衰退して自然に回帰しているイメージです。ジブリのナウシカあたりに通じる世界観でしょうか。
映画が製作された1980年代後半といえば日本映画は不振の時期だったような記憶があります。黄金時代を築いた撮影所システムも解体が進み、のちにフジテレビがお得意としたメディアミックス大宣伝の作品群もまだ影を見せていなかったころじゃないでしょうか。
少年たちのひと夏を静かに描いた『1999年の夏休み』。おそらく予算もあまりかけられていない地味な小品ではありますが、なぜか心に残りますね。何よりも夏の空気感が画面全体から伝わってきます。
インターネット以前の、それほど大ヒットでもなかった作品なので、なかなかネット上で話題にのぼることもないのではと思いますが、夏休みに観たい一作としてあえて取り上げさせていただきました。
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