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イギリス冒険記2

イギリスに来て1週間が経った。

初日にひとつ投稿していたのに2個目が1週間後になるという適当ぶりを発揮していますけど、これは、忙しかったり、疲れて寝ちゃったりしてたからで、その、もごもご


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正直一番心が折れていたのは初日の午前中。理由は滞在先である。
滞在先は学生向けのドミトリーで、いわゆるフラットシェアというタイプ。同性の同室の子が1人いると聞いていた。
そんな滞在先に行ってみたら今日じゃなく明日のチェックインだと言われた。いやいやいや、、と確認したら確かに9/3 in と書いてある。あっれれ〜、、
しかし受付の人の様子を見る限り押せばいけそう。できるだけ眉をハの字に下げてみる。案の定、渋々OKを出してくれる受付の人。
その間に、私たちの左右を中東系のギャルたちが通り過ぎていく。まずい、こういう人たちがたくさんいる感じか!同室だったらどうしよう、いやどうもしないんだけど。や、でも話せる気がしないよ、どうしよう無理やり作られたベッドがこのギャルたちの2人部屋の中の簡易ベッドだったら!
どうにか用意するから2時間ほど周りを歩いてこいと言われ、この上なく肩を落としてあたりを散策する。
前日からずれまくった食事時間、あと緊張と焦りで全然動かなかった食指が唯一動いたハンバーガー屋、FIVE GUYSに行ってハンバーガーを注文。アメリカで食べた時最高に美味しかった思い出がある。意気揚々とかぶりつく、も、美味しくない。パンがパンじゃないみたいだし、噛むとねっとりしてる。パティもジューシーじゃない。ガックリして外に出ると2軒隣にMARUGAME UDON が。覗くと異常に値段が高い。ダメだやっていけない…

周りがみんな見慣れない顔立ちで、街の出で立ちも違うし、細かいこと伝えられないし、あかん帰りたなってきたと思いつつ歩く。可能なら留学とかしちゃいたいな、半年とか?などとほざいていた自分を笑いたくなる。できっこないよ!夢だったのにな、無理なのかな、しょぼ…

トボトボと滞在先に戻ったら、準備ができたから上がってこいと言われる。ちなみに私は21kgのスーツケースを携えている。手持ちの荷物は8kgくらい。古く狭い階段で、部屋の階数は(特定できちゃいそうなので帰国時まで伏せ字)。手伝ってくれない受付の人。わからない部屋のタイプ。泣きそうになりながら上がってゆく。

いざ部屋に入ると結構広くて快適そう。とりあえず寝所を獲得できたことに大いなる安心感を得る。加えて同室はアジア系だった。人種で判断するのは断じて良くない。良くないが、どうしても安心感を強めに感じてしまう。よかったーーーー!

気づいていなかったが自分にとっての最大の心配事はそこだったようで、肩から一気に力が抜ける。そうなると世界の見え方も変わるもので、こんなところに自分の居場所をゲットできたことの高揚感とか、街に繰り出すワクワク感とかが遅れてやってきた。単純!

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こんなことがあったため、初日はめちゃくちゃ疲れた。この後博物館に行ったりしたのだけど、眠すぎて21時に寝た。小学生かな。次の日はマーケットに行ったりコートールド美術館に行ったりコヴェント・ガーデンで居眠りしたり(起きたら目の前でフラッシュモブ的カルテットが大盛り上がりしててびっくりした)こちらに住んでる知り合いの知り合いにパブに連れてってもらったりした。しかしエールって美味しいんですね。ここでミッション:フィッシュ&チップスを食べる を完遂。

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翌日、月曜日からこの旅の大本命、ロンドン芸大のショートコースが始まった。そしてこの日、今回2度目のハートブレイキンを起こす。
いやわかってましたよ、わかってたんですけど授業は全編英語だし、ディスカッションベースで進んでいくし、英会話はできるけど意見をバシバシ述べられるほどではないし、そもそもで日本人的な臆病さを持っているし、それに対して周りのクラスメイトたちはガシガシいくしで、ブレイキンというより放心状態。直帰するのもなんだかなあになって無駄に歩き回る。キングスクロスやセント・パンクラスの美しい建物をぼんやり眺める。その間に、I D カードを無くしたことに気づく。だぁめだァ…飽き足らずコスタコーヒーでラテを買う。Sサイズで日本のトールくらいはある。だからといってSサイズが日本のより安いわけでもないので、別にお得とかではない。
そのままラテを飲みつつ向かいのパブを30分くらい眺めてようやく落ち着いてくる。ついでに近くのオシャレ本屋に立ち寄って、読めないけど表紙をぼんやりみてたらだいぶ元気になった。自分の機嫌の取り方をわかってきたらしい。
帰ってささみとリーキを炒めて塩焼きそばの粉で味付けしたやつを食べる。何より食の喜び…自炊すればそれなりに安い食事ができると知った。安くて口に合う食事ができれば当分は大丈夫であることも知った。


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フラットには日本人のナイスガイが1人いて、その人もショートコースのために来たらしいのだが、彼がいうに2日目まではきついらしい。じゃあ今日まで耐えれば…と身構えて行った火曜日、昨日より聞き取れていることに気づく。耳が緊急事態を感じ取って必死に聞き取ろうとしてるのかもしれない。わかる、わかるぞ…!と程度の低いムスカになりながらノートを取る。さらに嬉しかったのは2人でひそひそ話せる人ができたということ。ドイツからきた33歳の彼女はみんながいる場ではあまり喋らないけど、そうでなければ結構お喋りしてくれた。この日の放課後、なぜか彼女とそのボーイフレンドと、ちょっと離れたところにあるオーガニックマーケットに行ってきた。背が高い彼らの間に挟まれて移動する姿はさぞかし面白かっただろう。東海オンエアの虫眼鏡がてつやとりょうとチームを組んだ時のチーム名「チーム・エイリアン捕まえた」状態である。ぜひググって欲しい。
さらに嬉しかったのはチャキチャキしててちょっと怖かった中国ギャルと興味が似てることが判明して、一気に仲良くなったこと。まじで一気に。

本当に日に日に聞き取れる量が増えていく。それに比例してノートテイキングの量も増えていく。初日、まじで何も聞き取れなかったものね。授業の内容まで理解が進んで嬉しい。授業料高かったからね、ちゃんと勉強しなければね。


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そういえば食堂で1人でご飯が食べられないのが微妙に苦痛である。
もしかして1人飯という習慣がないのだろうか。ちょっと不安になって辺りを見回すと、1人で食べているのは教職員系の大人か、アジア系の学生が1人2人くらいしかいない。どのように振り切っても複数人いるテーブルに招かれることが不思議だったのだが、もしかしたら(あいつ1人だぞ)(やばい誘わなきゃ!)とでも思われていたのかもしれない。日本人は1人でもご飯食べれるんです。


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授業は16時に終わるので、その後どこをそぞろ歩くか毎回楽しみにしていた。まずはキングスクロス駅やセント・パンカス駅、マリルボン駅、パディントン駅などのデカくて威厳のある駅を見にいくこと。古い本屋に行く。ふらふらしても、どこからでもバスに乗って帰れるのがよかった。

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最終日、昼休みにソファでぼんやりしていたら、外から帰ってきた中国人ギャルが「あなたにあげる」とチャームとチョコレートをくれた。「あなたがクラスで一番可愛いから」と言われた。ギャル、あなたの方が5倍は可愛いが。しかし嬉しい。しきりに喜んでいると「this is “china-japan relationship”」と言っていた。
コンテクストから、別に悪意は感じ取っていない。
不思議なもので、別の仲のいい中国の人も、ちょっと小突いたりすると「日中関係!」と冗談で言ってくる。政府間ではしょっぱいけど私たちはそれを軽く扱えるよ、とか、そういうノリで発せられた言葉であろうと思うのだけど。

ちなみに中国の人たちについてもう一つ興味深かったのが、彼らのコミュニティの築き方である。
ギャルは2人いて、とても仲良く高速の中国語で話していたので前からの知り合い同士なのかと思ったのだけどそうではなく、今回のクラスで初めて会ったという。もちろん事前の面識もなし。
曰く、「中国人は、世界のどこで中国人と会っても仲良くなるし、関係を築こうとする」と。そしてクラスに私含め3人いた日本人に関して、「だから不思議だった、あなたたちは話してないわけじゃなかったけど全然関わろうとしないし、一緒にいることもない」と言っていた。「まああなたたちは性別とか年齢層とかバラバラだったもんね。私たちは年齢も同じくらいで、同性だったっていうのはあるけど」とも言っていたが。

勝手ながら想像を膨らませてみたところ、
1:中国って確か「家」を大事にするよな(だから苗字が少ない、的な)HOMEを大事にする意識とかあるんだろうか
2:歴史的にいろんなところに移民として出ていって、その土地土地でコミュニティを形成してきたからだろうか
の二つに落ち着いた。真偽のほどは、帰国してから中国の友人に聞いてみることとする。

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最終日はクラスのお姉さま的存在のイギリス在住フランス人の家について行った。中心地から離れて離れて天気も悪くなっていくので不安でしょうがない。人通りも少なくなってゆく。やってしまったか、どうやって帰りを切り出すかだけ考えておかなきゃ…と考えていると家到着。こじんまりしたアパートメントの一室で、本人曰く「ミニマリストの対義語」の暮らし。パートナー登場。目が笑わないタイプ。怖いはよ出よ。ここで食事をするか、外で飲むかどちらがいいか聞かれて迷わず後者を選んだ。

食事は美味しかったし話も面白かった。ほどほどの時間に、自分のインスタの作品アカウントだけ伝えて別れた。もう会うこともあるまい。

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長い1週間が終わった。これほどまでに早く終わってくれと思う授業は久しぶりだった。それはひとえに自分のしゃべれなさが引き起こしたものであり、まあまあのモチベーションになった。内容も濃くて面白かったです。疲れたけど。

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