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【私の愛した重金属音】メタルコアの新たな世界基準 〜Crystal Lake〜

第1 バンド紹介

海外でのライブ、数々のロックフェスティバルへの出演や海外アーティストと共演した経験を持ち、主にヘヴィ・ラウドミュージックリスナーから支持されているバンド。 ハードコア/メタルコア要素を軸にキャッチーかつユニークなメロディーを織り交ぜた『クリスタル節』は聞くものを魅了する。ストレートな歌詞は心を驚握みにし、思わず拳を挙げてしまうだろう。またエナジー/パッションに満ち溢れた爆発力のあるライブパフォーマンスは明らかに群を抜いており、共演してきた海外アーティストをも唸らせている。

公式サイト“Biography”より

バンドについて

 これまでのヘヴィメタル、ハードコア・パンクで見られた「音の重さ」はそのままに、より高音を用いた楽曲、より重さに特化した楽曲などあらゆる音階を行き来するジェットコースターのような音楽性が「クリスタル節」の最大の特徴。
 悪魔的、破壊的な要素を持ちつつ神聖な雰囲気や荘厳な展開も併せ持つ楽曲も非常に多く、「メタル=重くて陰鬱」というイメージを覆すバンドです。(ただし、一部の曲はよりカルティックかつダークなものもあり振れ幅が凄まじいです。)


 EP“CUBES”(2014)のリリースを皮切りに海外を視野に入れた活動も積極的に行っており、海外向けの作品リリースやツアーを行っています。(“IN HEARTS WAKE”, “Fit For A King”などの世界の実力派バンドとのツアー、楽曲参加も多数)
 特に2019年、スペインはマドリードで開催された大型フェス“Resurrection Fest”ではメインステージでライブを行うなど、日本のバンドの中でも特に世界的知名度の高いバンドとなっています。
 下の動画は“Resurrection Fest”のフル尺ライブ映像です。モッシュ!モッシュ!

第2 個人的名曲

1. Apollo(2017)

 Crystal Lakeを語る上で絶対に外せない名曲中の名曲がこの"Apollo"です。冒頭のイントロで漂う幻想的な雰囲気から一気に複雑なギターへとなだれ込む展開はこれまでのメタルコアの楽曲とは一線を画しています。
 現在、ERRAやSPIRITBOXなど複雑なギター、曲展開をメインとする"Djent"の要素を強く取り入れたメタルコアは増えてきていますが、この曲はその先駆けになった曲とも言えます。


2. Sanctuary(2018)

 アルバム"HELIX"のトリを飾る楽曲で、1つ前の"Apollo"からバトンを渡される形で流される楽曲です。
 Apolloとはまた違う、動きを止めない狂気と荘厳さに満ち溢れた、「クリスタル節」炸裂の一曲となっています。
 個人的にはこの曲は上のMVを観ながら聴いてほしいです。日本(アジア圏)の一メタルコアバンドがヨーロッパの数万人規模のフェスでメインを務める…楽曲の歌詞にある“This crown of thorns Wound like snake Forever it'll give me a peace of mind(茨の冠と蛇のようなミミズ腫れ、それらはいつだって私に安らぎを与える)”、長い活動を経て世界で注目を集めるメタルコアバンドだからこそ響く言葉だと思います。


3. Into The Great Beyond(2010, 2020)

 2020年にリリースされたアルバム“The Voyages”のトリを飾る楽曲です。このアルバムは2012年のボーカルチェンジ前にリリースされた3枚の作品の中から選ばれた楽曲を現体制でリメイクする企画を行っています。
 この曲は2010年にリリースされた2ndアルバムのリード曲のアレンジ版ですが、壮大なギターと突き刺すようなシャウトが荒波のように襲いかかる凶悪なアレンジとなっています。


4. Prometheus(2015)

 Crystal Lakeの名前を全国的に響かせたきっかけとなったアルバム“THE SIGN”のリード曲、“Prometheus”です。
 一度曲が始まると、あとはブレーキの壊れたダンプカーのような演奏、そこから間髪入れずに低音をゴリゴリに響かせながらのブレイクダウンに突入、最後は再びブレイクダウンでそのまま地の底まで叩き落とすような展開…。この滅茶苦茶さもこのバンドの最大の魅力でもあると感じます。


5. Matrix feat. Ikepy(HER NAME IN BLOOD)(2015)

 “Promethus”に続いて“Matrix”の紹介です。アルバムでも“Prometheus”の次に収録されていますが、この曲は「一つ前の曲で俺たちのやり方は理解できただろ?もう容赦しねぇぞ」と言わんばかりの更に上を行く轟音、高速展開マシマシの凶悪な一曲。
 更に客演に超ハードコア特化のメタルコアバンド、“HER NAME IN BLOOD”のボーカルIkepyも参加するなど、まさに脳汁溢れ出る強烈な仕上がり…ライブでは暴れ出す人も続出する麻薬のような作品です。


6. Curse(2021)

 現時点でのCrystal Lakeの最新作となる“Curse”、ギターに元HER NAME IN BLOODの“TJ”が新たに加入し、長年サポートメンバーを努めていたベースの“Mitsuru(キバオブアキバ、M.S.S Projectサポートベースetc.)”とドラムの“Gaku(ex. NOCTURNAL BLOODLUST、SOULJAPAN)”が正式加入した決意表明とも言える曲です。
 天を貫くような演奏に「破れた夢でできた地獄への道を歩もう」という絶望と希望を織り交ぜた歌詞が見事に突き刺さります…。
 余談ですが、この曲の歌詞と第8章以降のタルラの生き様が個人的に凄くマッチするので、気になる人は曲を聴きながらストーリーを読み返すのもアリかと思います。(鬼)


7. WATCH ME BURN(2020)

 もう一つの「世界のCrystal Lake」を代表するのがこの“Watch Me Burn”です。
 重心を極度に落とした地響きのような演奏と浮遊感の漂う演奏が両立しており、世界各国でのライブを経て得た経験がこれでもかと盛り込まれた極悪な一曲です。
 SFが好きな人にはこの曲をオススメする…それくらい異次元感の強いスルメ曲、ライブでも暴れ出すのを抑えきれないでしょう…。


8. Disobey(2020)

 前に紹介した“Watch Me Burn”のB面であり、Crystal Lakeの「狂い」の側面をこれでもかと押し出した中毒性の高い一曲です。
 いきなりゴリゴリの爆音とデスボイスが炸裂、カルト的なコーラスからの耳をつんざくようなシャウトに最後には読経のような不気味なパートへと突入する頭のおかしい(褒め言葉)展開の数々…。
 PVは更にエゲツなさが炸裂しているので是非視聴をオススメします。


9. Six Feet Under(2016)

 Crystal Lakeの「狂い曲」その2(リリース年月日的には前の“DISOBEY”よりも先)です。
 曲の流れもまさにジェットコースター、最初から最高速度でひた走り、最後に極悪ブレイクダウンで終わるという清々しいくらいハードな展開です。ストレスで死にそうな人はこれを聴くとぶち上がれるかも…しれません。(ちなみに、曲の“SIX FEET UNDER(地下6フィート)”は意味合いとしては「墓穴の深さ」、この展開にふさわしいタイトルです。)


10. Lost In Forever feat. Daniel McWhorter & Tyler Riley(Gideon)(2018)

 最後にCrystal Lakeの中でも自分が特に好きな曲“Lost In Forever”を紹介します。
 美しくハードというクリスタル節はこの曲にも表れていますが、さらにヒロイックな印象も強いこの曲、魂を震わせるようなメタルコアとはまさにこのことだと思います。
 曲の歌詞にある“We’re lost in the moment that we've called forever”がまさにこのバンドの生き様を表しているように感じます。


第3 終わりに

 以上がCrystal Lakeの曲紹介です。この他にもまだまだ紹介したい強烈な楽曲が数々存在しています。
 どの曲もテーマに「哲学」「希望と絶望」が強く出ているのはこのバンドの特徴です。カッコ良さのみならず人間の負の感情を抱え込むからこそ美しく狂気的な歌へと繋がる…ように感じました。

【その他の楽曲はこちら(Spotify)】

【“Curse”リリース時のインタビュー(2021年、SATANIC ENT.)】

【“Cubes”リリース時のインタビュー(2014年、激ロック)】