ひまわりの種のように太陽に向かい育ち輝く存在になる
ー25年続く神戸識字学級「ひまわりの会」のことー
https://www.facebook.com/ryuei.fujii/posts/3568734469889356
震災次年(1996年)9月に誕生し、現在も文字を学ぶことを通し、生きるための輝きを身につけていく活動として継続している神戸識字学級ひまわりの会」。
https://sva.or.jp/wp/?p=39317
この会は、阪神淡路大震災復興活動にて神戸に事務所を構えていたSVA(シャンティ国際ボランティア会:当時曹洞宗国際ボランティア会)が地元の方々と立ち上げ、1997年4月独立後もSVAがサポートしている団体です。私はSVAスタッフ時、立ち上げの中心として関わり、独立時事務局長をさせていただいておりました。
震災26年目の1月17日。その前々日である1月15日。独立時から現在まで、リンク記事にあります発足当時夜間中学校教諭であった桂光子さんと共に、団体の中心的人物として両輪で支えていただいた方がお亡くなりになりました。数年病に臥せっており、例年慰霊法要で神戸に参る際、必ずお見舞いに伺っておりました。しかし今年はコロナ禍に於いて神戸に伺わないとしておりましたので駆けつけることもできず大変悲しいお別れとなりました。
リンク記事の井口さんより1月16日に訃報の電話連絡を受けた時、はからずも号泣してしまいました。その方は表舞台には出ない方ではありましたが、いつもにこやかに学習者と接し、支援者を柔らかな雰囲気と的確な意見、そして事務能力にてまとめ、誰からも好かれておりました。
私自身は様々な事情で、団体独立後数年で事務局長からは降り、サポート役となりましたが、その方は20年以上も最前線でとりまとめをされていらっしゃり、ご苦労は計り知れないものがあったと慮んばかります。しかし常に柔和な対応と理知にて何度もひまわりの会を救っていただきました。
訳あって自前事務所が必要になった際、退職金の多くを購入の為に遣っていただくまでしていただく程、ひまわりの会に尽くしていただきました。おかげで多くの学習者の生きる力を築き、新しい人生を歩む助けをしていただくことができました。
ひまわりの会という名前は、発足当時ボランティアをしていただいていた上智大学生と共に考えた名前です。ひまわりは太陽に向かって花が動きます。そして花にはたくさんの種が、どれが一番ということなく粒揃いで並んでいます。
ひまわりの会は、学習者も支援者も共に学び合う会として。上下関係として教える・教えられる関係でなく、共に学び合う関係を。たまたま知識がある支援者が、人生経験豊富な学習者の胸を借りて教えさせていただいている。そして学習者からの経験を支援者の学びや糧にさせていただく。そのような会です。
ひまわりの種のように。粒ぞろいとして互いに出会いながら、それぞれが太陽に向かい育ち輝き続ける存在であるように。関わるひとりひとりを大切な存在として文字を媒体として教え合うことで安心の場を築き続ける。それがひまわりの会の25年変わらぬ理念。当初皆で決めたその理念を、その方は忠実に体現し続けておりました。
記事で井口さんは「識字を中心に据えつつ、人と人が出会う場に、元気になれる場であることは当初のままです。今後も、この歩みは変わらず、1人でも必要としている人がいるかぎり、できる形で続いていくだろう、また続けていきたいと思います。」と語っています。
継続するということは、必ずしも理念が変化するくらい抜本的な改革をして生き残っていくことではありません。社会変化と理念とを常に問いながらも理念に沿って実践し続けることです。そこで大切なのは理念の軸を常に携えながらも柔軟であること。その方は、20年の善き継続という結果をもって、理念と継続の大切さを深く教えていただきました
ご冥福をお祈りいたします。
そしてこれからも「ひまわりの会」は続きます。
*習字作文を書かれた崔庚先さん(写真最前列)は、当時92歳です。
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