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不死鳥の作り方

死にかけてまして、
入院した時のお話です。

ぶっ倒れて、
目を覚ますと病院のベットにいた。
ふと体に違和感があり、
点滴が打たれていたのだ。

何が起こったのか分からず、
ナースコールを押し、
看護師の方にどうゆう事?
と聞き、詳しくは明日、
先生からお話があるので…。
とはぐらかされて、
一晩寝れなかった。

次の日、先生からの話を聞く。
どうやら病に侵されいるとの事。
運び込まれて、緊急手術をしたらしい。

体につけられた管を見て、
どうりでこんなのあるんだな。
確かに手術された形跡がある。

先生から、ご家族の方は?の問い。

家族はいません。
親族も誰もいないです。
はい。誰もいません。
親戚もいません。
どこにいるのかも知りません。
だから…誰一人いないんです!

孤独って厄介だな。

病より厄介だ。

なにより、
緊急連絡先なんてない。

困ったもんだ。

入院しても、何もやる事がない。
見舞いに来るヤツもいない。
つまんない。つまんない。
何もやる事がないって不便だな。

仕方なしに、ふらふらと病棟を
歩き回る。
そこに本棚がある事に気づいた。

だが、本を読む気にはならなかった。
ふと、
絵本に混ざり折り紙の本を見つける。

あー懐かしいなと
ペラペラと読み、
唐突に折り紙を折りたくなった。

いちを売店に行ったけど、
折り紙用紙は売ってなかった。

その代わり、
メモ用紙が売られていたので買った。

メモ用紙を正方形にちぎり、
折り紙の本を見ながら折る。

自分の不器用さ加減に嫌気がさした。

でも、やる事もない。

それから、ずっと折り紙を折り続ける。

ふと、自分で千羽鶴を折ってみようと、
頭がだいぶやられていたのだ。

それから、メモ用紙に小さい正方形を、
いくつかちぎって、鶴を折り続ける。

だいぶ折り紙を折るのに慣れていた。
ひたすら折り続ける。

一週間で完成してしまった…。
どんだけ、暇なんだよ…。

看護師の人に、これ糸通してと、
無理なお願いをした。

身内のいない、
見舞いも誰も来ないヤツを
不便に思ったのか、
看護師さん達が作ってくれた。

メモ用紙の千羽鶴が完成した。

それを飾って置いた。

身の回りの物なんて、
なかったから、その千羽鶴は、
白くて味気ないが、
鑑賞用として役立った。

一羽、一羽に、
「死ぬものか」と
小さく書いて、念を送りながら折った。
その千羽鶴は不死鳥の様な存在になっていた。

これがあったら死なないな。
そう思えた。

それから、入退院を繰り返すたびに、
これが最後かもしれないと、
その不死鳥と名の千羽鶴を持っていく。

これが私の唯一の財産だからだ。

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