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記憶ってなんだろう ~言語と記憶~

ヒトの特徴である 火を使える、二足歩行 これだけでは
人間の文明はここまで発展はしていないでしょう
では、なぜヒトだけ特異的な進化を遂げられたのでしょうか

今日は記憶という生物になくてはならない機能をもとに
脳活動と記憶について考えていきます

地球上には全世界の既知の生物の総種数は「約175万種」が存在する

環境省 平成20年版 環境 / 循環社会白書

このうち、哺乳類は約6,000種、鳥類は約9,000種、昆虫は約95万種、
維管束植物は約27万種となっているそうです。
さらに、まだ知られていない生物も含めた地球上の総種数は
大体500万~3,000万種の間という説が多くあります。
これだけ多様な生物がいる中で、なぜヒトだけここまで特殊なのでしょうか

人類の進化で獲得した他の生物の圧倒的な違い
それは、「言語」と「道具」が使えることです

そして言語も道具も、記憶と切り離しては考えられません
今回の記事では「言語」について少しだけ触れます

さて、このnoteの文章でも、漢字一つ一つの読み方や意味を覚えていないと
そもそも「読むこと」はできないし、「理解」にまで至れません

人間の言語は本当に複雑です
同じ発音で意味が異なる:端 と 橋 と 箸
状況で解釈が変わる:アップル→果物, アップル⇨電子機器メーカー
相手で解釈が変わる:物体への好き, 人への好き
感情で解釈が変わる:ヤバイ(興奮)、ヤバイ(感動)、ヤバイ(恐怖)

私たちの脳は、巨大な記憶のネットワークの中で常に
与えられた言語に対して最適な解答を模索し続けて処理をし続けている

脳は常に「連想ゲーム」をしている

例えば仮に <先生> という言葉を与えられた瞬間に

あなたの頭には
人物のイメージ:担任の先生、世間一般の教師像、ドラマの先生役の俳優
教育のイメージ:学校、教室、授業、宿題、進路
職業のイメージ:教師、医者、弁護士、政治家
感情のイメージ:親切、寛容、厳しい、温かい、冷たい、うざい
こういった関連するイメージが湧いてくるはずです

そして仮に知らない単語に出会ったとしても
「連想」することで、その知らない単語の解釈を想像することができます

「氵(さんずい)」がつけば、水に関連することと想像できるし
「言(ごんべん)」がつけば、言葉に関連することと想像できる
難読漢字であっても、ある程度までは意味を「想像」できるはずです

”一単語からあらゆる思考を巡らせる”
これこそ記憶のネットワークの賜物なのです

言語を介してしか思考はできないのか?

我々は考え事をするときには、人に話さずとも
脳内で自己対話をしているものです
「これはどうしようか?」「では次はこうしたら?」
といった脳内で再生される”声”が存在しており
この自己対話を通すことで多くのことを思考できています

仮にこの自己対話ができなかったらとしたら
どうなるのでしょうか?

ある有名な話で、鏡で自分を見ながら
「お前は誰だ?」と問い続けることで自己崩壊し
精神疾患に陥るというものがあります
ただ、鏡に映った自分の姿に問いかけ続けるだけでです

少し複雑ですが
対話しているはずの自分が、他者であるとすると
どうやって、私が私であると証明できるのでしょうか?

私が私であると認識できるのは外との境界線があるから
そして境界線は言語についても言えます
脳の疾患の中には、
自分に話しかけてくる第三者が本当はいないのに、いるという錯覚
いわゆる「幻聴」という症状があるわけですが
あれは自己で起こっている(脳での)発話を
自己で起きているという認識ができなくなるからとも考えられます

自分との対話ができるのは
「自分の中で自分と話す体験」という”記憶”に依存しています
だからこそ、その記憶が塗り替えられる事象に出会うことで
自己認識のプロセスが崩壊し、自己対話ができなくなる

つまり、黙っていても思考ができるのは
自分の中にある自分を、自分であると覚えていて
それが認識できているからこそなのではないでしょうか

言語と記憶

人の記憶は言語だけではないですが、
記憶した内容を描画する際には言語化というプロセスが必要不可欠です

そのため語彙力(言葉の記憶量)は非常に重要と言えます
私たちは言語を介して思考をする以上は、
その言語の多様性を持つことは、そのまま思考の多様性を意味します

物事を記憶する際には、特徴を捉える必要があり
その特徴を言語化しておく必要があるわけです

赤い、球状 だけの記憶だと
それが 赤いボールなのか、リンゴなのか、信号機なのか分からないのです

赤い、完全な球状、弾力あり、遊具、スポーツ となれば赤いボール
赤い、不完全な球状、シャキシャキ、果実、甘い となればリンゴ
赤い、球状、道路、止まる、危険 となれば信号なのです

新しいものを覚えようとするなら
まずは特徴の言語化が重要です

もし、記憶力を鍛えたいのであれば
そのファーストステップは、語彙力であると言えます

まずは、目の前の物体の特徴を並べるだけで
他者に分かってもらえるかを試してみましょう
記憶力が強い人ほど、より詳細に言語化ができるものです

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