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母の短歌 立食いそば肘ぶつけあい食みおれりサラリーマンの昼食風景

 立食いそば
 肘ぶつけあい食みおれり
 サラリーマンの昼食風景

母の短歌を読んで、立ち食いそばの自分の思い出がよみがえってきた。

立ち食いそばは、元祖ファストフードと言われ、かなり昔から駅ナカ・駅チカ等にあった。昔は名前の通りに座席のないカウンターの前で立って食べた。そのうち 座り席がある店が現れて、今では立ち食いだけの店の方が珍しい。総武線亀戸駅から東武亀戸線に乗り換える途中に、立ち食いそば屋があり、高校の下校時にたまに食べた。確か、かけそばが30円だったと思う。昭和40年代のこと。(これを書いた後、高校時代からの友人に聞いたら19円だったことを覚えていた)

勤め出しても、立ち食いそば屋は、魅力的だった。その理由は、いくつかあるだろう。①安い ②その割に旨い、最近はそば粉から作り本当に旨い。昔は玉そばといった袋入り麺でわが家でも買って食べていた。 ③短時間で食べられて、庶民的な飾らない点が長続きの理由か。 ④近年、カレーセット、ミニ天丼セット等があり、メニューがバライティーであり、満足度が高い。

ある日、食べ終わって店を出かかる時に店に入ろうとする後輩に出くわした。彼から、笑いながら「高給取りがもっといいものを食べてくださいよ」とからかわれたので、「ダイエットよ」と答えたが、幸い大盛りを食べているところが見つからずに助かった。その店も昼時はサラリーマンで混雑していた。当時、千円亭主という言葉があった。一日千円で過ごすサラリーマンのことだが、昼食を500円で済ませられる立ち食いそば屋はなくてはならない存在だった。



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