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洗濯干し

妻が妊娠して、腕を上げるのは体に障るというので、朝に洗濯干しをするようになった。ベランダから南の方角に同僚の団地がある。洗濯干しをする自分が見られているような繊細な気持ちになる。「向こうから見えるかね」と妻に言うと「きっと忙しそうだなって思んじゃないの」と笑っている。

出産後も、たまに休みの日などに洗濯干しをした。子どもが幼い時に、洗濯物を干す私のそばにやってきて、籠から洗濯物を取って渡してくれた。これは期待できるなと思ったら、小学生になったら、洗濯干しをする私には見向きもしなくなっていた。

最近は、妻の腕が痛みだし、動かすのも辛いようなので、また洗濯干しをしている。暖かい日は、ベランダに出て、朝日を浴びるのは気持ちがよい。12月に入り、寒気が増してきて、朝のベランダに出ると、冷たい空気がのどに入り込み、手足が急速に冷たくなる。室内の洗濯干し用のバーに洗濯ハンガーを吊るして、洗濯物をかけ終えたら、さっとハンガーをベランダの物干しにかけて、さっと室内に引き上げる。一瞬のことなのだが、それでも寒気が室内に入り込んでくる。早く温かくなるといいな。早く妻の腕の痛みが消えるといいな。

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