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「一つひとつやって行くといいよ」と励まされた

子どもの頃、歩きながら、父から「マラソンするときは、次の電信柱を目標にして走り、着いたら次の電信柱をまた目指して走るんだ。」という話をしてくれた。その後も同じように、沢庵を少しずつ切りながら食べるように物事は進めていくと良いという話を何度か聞いた。

就職したばかりの頃のことだった。隣家の小林さんの家にお邪魔したときに、新しい仕事や自動車教習所で忙しそうな私を慮って、小母さんが「いっぺんにしようとしないで、一つひとつやって行くといいよ」と励ましてくれた。学生身分から社会人になっていっぺんにいろいろなことがやってきた思いがしていただけに、小母さんの言葉が爽やかに心の中を流れていった。

沢山のことが目の前にあっても人間の処理能力には限りがある。それから数十年後の私は、父と隣の小母さんの言葉を思い出して、これをやって終わったら、次はあれをしてと、少しずつ少しずつ歩いていく。


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