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ナスカの地上絵

ナスカの地上絵は乾燥地に書かれた絵だけに消えやすい。今ではかなり見えにくくなっている。そんなナスカの地上絵を数年前に見に行った。ガイドが「写真を撮るより、自分の目でしっかり見てください。観光写真にあるようなきれいな写真は飛行機の外に大きなカメラをつけて撮ったものだから良く見えるのです」と言う。その意味が実際に見て納得した。今年、山形大学が新しい地上絵を発見したことが報道された。発見には写真を解析したAIが貢献したという。それほど肉眼では見つけにくいということなのだ。

前日、ナスカ近郊のバラカスのホテル(Livertador Paracase Luxury Collection)に泊まり、翌朝ナスカの飛行場に着いた。空港では重量管理のために乗客の体重測定があった。体重測定ですってと、ご婦人たちのちょっとしたざわめき。

やがて我々12人を乗せた小さな飛行機が飛び立つ。川の周囲に緑地があり、集落や田畑が続き、やがて川が消えてなくなるという不思議な光景を何度かみた。機体は次第に高度を上げていく。遠くに見える雪を抱いたアンデス山脈が美しい。神々しさを感じる。

地上絵の上空に着くと機長がたとたどしい日本語で「ハチドリ、ハチドリ」等とアナウンスし、その都度機体が旋回し傾く。すでに気分が悪くなり横になっている人がいる。いくつかの地上絵を見たが、地上絵そのものに感動したというより、あれだ、あれだという感嘆の声を発しては、地上絵を見つけたという喜びに湧いていた。

岩肌に宇宙人、ハチドリ、サルなどを見る。とくかく絵は薄い。数百年を経るうちに遺跡は風化しつつある。ペルー政府が保存に神経をつかっているのがわかる。

帰路、機体は何度かアップダウンを繰り返した。激しいダウンがあり、これはいけないとカバンからエチケット袋を取り出してもどした。やっと着陸。何事もなかったかのように飛行機を降りる。当日の朝食はあまり食べないほうがよいという助言を友人からもらっていたので、少なめにしていたが、それでもである。とにかくナスカの地上絵を見たというアリバイを作れた。ただ偏にアンデスの山々が白く神々しく輝いていたのが印象的だった。

2022.12.19

  ハチドリ    
宇宙人

      

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