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旭川圏、札幌圏ともに減少〜8月第1週のお悔やみ件数

8月第1週(1〜7日)の1日当たりお悔やみ数
旭川圏11.3人
(前週比1.1人減、1年前は13.0人)
 うち旭川市6.9人(同1.2人減、1年前は8.3人)
札幌圏29.9人(前週比3.5人減、1年前は31.0人)
 うち札幌市22.4人(同3.8人減、1年前は29.9人)
     ※旭川圏=旭川市を含む上川全域
     ※札幌圏=札幌市を含む石狩全域

北海道新聞の無料お悔やみ欄に掲載された8月第1週の1日当たりのお悔やみ件数は、札幌圏、旭川圏ともに前週比減少しました。新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は道内でも依然、過去最多の水準です。しかしお悔やみ件数の推移を見る限り、人がたくさん亡くなっているような状況ではまったくありません。重症化リスクが過去のデルタ株などより比較的低いとされているほか、医療が踏ん張っているためだと考えられます。
ただ後述のように、病床使用率は道内でもじわじわ悪化しており、医療への負荷が懸念されます。高齢者や基礎疾患のある人を中心に感染対策に十分注意する状況にあることは変わりありません。

NHK特設サイトによる全道の病床使用率(新型コロナ対応のベッド数に対する入院者数)は前週の21%から30%(8月3日時点)に上がりました。NHK特設サイトによる全道の病床使用率は感染第3波のピークだった2020年12月中旬に55%、第4波ピークの2021年5月下旬には57%まで上がったことがあります。

また新型コロナウイルス対策ダッシュボードによる全道の病床使用率(8月7日時点)も前週の895%から1206%に悪化しました。北海道が1000%を超えるのは初めてです。全国的には病床のひっ迫が加速していて全47都道府県が100%超。中でも愛知が3194%と3000%を超えたほか、神奈川2349%、埼玉2884%、新潟2015%、静岡2779%、滋賀2171%、京都2784%、奈良2007%、三重2252%、兵庫2070%、福岡2416%、宮崎2160%、愛媛2420%が2000%超と極めて高くなっています。

グラフと表

なぜ新聞のお悔やみ件数を数えているのか

新型コロナウイルスは検査が進まないことと合わせて、肺炎以外にもさまざまな症状で亡くなる人が多いようで、国や都道府県が発表している「感染者数」「死亡者数」が、必ずしも実態を反映していない恐れがあります。

こうした事情から、新型インフルエンザが原因かどうかは別にして、今この時に亡くなる人が周囲で急に増えていないかどうかを把握しようと、新聞の無料お悔やみ欄に着目しました。旭川市と旭川圏(上川管内町村部+旭川市)、札幌市と札幌圏(石狩管内町村部+札幌市)の4つの数字を、2020年3月から1週間ごとに集計し、表とグラフにまとめています。

亡くなった人の「実数」を表す数字とはいえないものの、道内で世帯普及率が高い北海道新聞の無料お悔やみ欄は利用者が多く、その週に亡くなった人が多かったか少なかったかの傾向をつかむ参考にはなると考えました。

週ごとの増減にあまり一喜一憂する必要はありませんが、季節性インフルエンザの大流行や猛暑による熱中症の多発、大きな事故といった思い当たる理由がないのにお悔やみの件数が急増した時は、新型コロナウイルスによる医療崩壊などが想像されます。それはおそらく、国や都道府県が発表する新規感染者数や死亡者数などの統計よりも数字としては早く表れてくるはずで、感染爆発を察知する手段の一つになるのではと考えています。

実際にイタリアでは2020年3月、地方紙のお悔やみ欄掲載件数の異常な増加に気がついた地元紙記者が公式発表との食い違いを取材し、感染爆発をスクープしました。下のリンクは朝日新聞の2020年4月11日付けの記事です。

「実際の死者もっと多い」イタリア記者、お悔やみ欄注目

行政が死亡届受理件数などを随時公開してくれればいいのですが、そうはなっていないので、次善の策として個人的に集計しています。日本も政府の発表に今ひとつ信頼がおけないので、いろいろな手法を駆使して感染拡大を察知することが大切だと思います。

北海道内外の動き

<2020年>
1月15日 国内で感染者初確認。武漢滞在歴のある神奈川県の中国籍男性
2月3日 ダイヤモンド・プリンセス横浜入港。乗員乗客712人が感染、13人死亡
2月11日 さっぽろ雪まつり閉幕
2月14日 札幌市の男性が陽性。道内在住者の感染第1号
2月28日 道知事が緊急事態宣言。3月19日まで継続し翌20日から緩和
4月12日 道内の感染第2波を受けて知事と札幌市長が緊急共同宣言
4月16日 政府が緊急事態宣言の対象を北海道を含む全国に拡大
5月25日 緊急事態宣言解除。北海道と1都3県は移動自粛要請を継続
6月1日 ほぼすべての業種で営業自粛要請解除
6月19日 政府が都道府県境をまたぐ移動制限を全面解除
7月2日 東京都の新規感染者100人超
7月9日 東京都の新規感染者200人超
7月22日 Go To トラベル、東京発着を除外してスタート
10月1日 Go To トラベル、東京発着も対象に
10月23日 道内の新規感染者数が過去最多の51人に
10月28日 北海道が警戒ステージを1から2に引き上げ。独自の集中対策期間
11月5日 道内の新規感染者数が119人。初の3桁に
11月7日 北海道の警戒ステージを2から3に引き上げ。ススキノなど時短要請
11月9日 道内の新規感染者数がちょうど200人に
11月17日 札幌市と他地域との往来自粛、札幌市内の外出自粛など
11月20日 道内の新規感染者数が300人超。304人に
11月25日 旭川市の新規感染者数が44人で過去最高に
12月6日 旭川厚生病院のクラスターが全国最大規模に
12月8日 旭川市の新規感染者数が50人に
12月31日 東京都の新規感染者数が初の1千人超、1337人に

<2021年>
1月7日 東京都の新規感染者数が初の2千人超、2447人に
1月8日 東京など1都3県に緊急事態宣言
1月14日 旭川厚生病院が外来診療を一部再開
1月14日 大阪、愛知、福岡など7府県に緊急事態宣言。計11都府県に
1月26日 旭川市保健所が旭川厚生病院のクラスター終息を発表
1月31日 旭川の慶友会吉田病院もクラスター終息
2月8日 東川町立診療所の職員がPCR検査陽性と判定。東川町が発表
2月10日 東川町立診療所が診察再開。町、上川保健所が感染拡大なしと判断
2月17日 都内で医師らにワクチン先行接種。国内でワクチン接種始まる
2月28日 首都圏除く6府県で緊急事態宣言を前倒し解除
3月5日 1都3県は緊急事態宣言を2週間延長、3月21日まで
3月7日 感染者数減少を受け、道独自の集中対策期間が4カ月ぶりに終了
3月22日 1都3県の緊急事態宣言が解除
3月31日 前倒しで緊急事態宣言を解除した大阪府で全国最多599人の感染確認
4月5日 宮城、大阪、兵庫の3府県で「まん延防止等重点措置(まん防)」
4月12日 東京、京都、沖縄の3都県にも「まん延防止等重点措置(まん防)」
4月20日 大阪府が緊急事態宣言を発令するよう政府に要請
4月25日 東京、大阪、兵庫、京都の4都府県に緊急事態宣言。5月11日まで
5月2日 道内で新規感染者急増。2日の感染者数が過去最高の326人に
5月5日 道と札幌市、北海道医師会などが「札幌市医療非常事態宣言」
5月9日 札幌市に「まん延防止等重点措置(まん防)」適用
5月9日 道内の新規感染者数506人で初の500人超。うち札幌市は327人
5月13日 道内の新規感染者数712人で初の700人超。うち札幌市は499人
5月13日 札幌市対象の緊急事態宣言発令を道が要請するも政府は難色
5月14日 まん延防止措置対象地域に石狩管内、小樽市、旭川市を追加
5月14日 道などが「北海道医療非常事態宣言」
5月16日 政府が一転、北海道、岡山、広島の3道県に緊急事態を宣言
5月21日 政府が沖縄県にも緊急事態宣言を宣言する方向に。5月末まで
5月28日 9都道府県への緊急事態宣言 政府が6月20日まで延長を決定
6月21日 北海道など7都道府県が緊急事態宣言を解除、まん延防止措置に移行
6月29日 デルタ株(インド型)感染が疑われる事例を札幌市が発表。道内初
7月8日 政府が東京都に緊急事態宣言。4回目
7月12日 東川町内の小学校で児童、教職員計13人が感染。道が発表
7月12日 旭川市もデルタ株感染の疑いがある事例を発表
7月14日 東京都の新規感染者数が1149人に。2カ月ぶりの1千人台
7月20日 道内で65歳以上のワクチン2回接種率5割に。全国では最も遅い
7月21日 東京五輪でソフトボール、サッカー女子など一部競技が開始
7月23日 東京五輪開会式
7月28日 東京都の新規感染者数が3177人。初の3千人台に
7月29日 国内新規感染者数が10693人。初の1万人台に
7月30日 埼玉、千葉、神奈川、大阪への緊急事態宣言と北海道、京都、兵庫、
     石川、福岡へのまん延防止措置適用を政府が決定。8月2日から
7月31日 東京都の新規感染者数が4058人。初の4千人台に
8月5日 東京都の新規感染者数が5042人。初の5千人台に
8月13日 旭川の新規感染者数41人。2020年12月以来の40人超
8月19日 旭川の新規感染者数60人。過去最多更新
8月20日 旭川市にもまん延防止措置適用
8月24日 東京パラリンピック開会式
8月27日 北海道にも緊急事態宣言。札幌圏と旭川市が「特定措置区域」に
9月5日 東京パラリンピック閉会式
9月13日 北海道など19都道府県の緊急事態宣言の期間を延長
9月21日 この日午後発表分の旭川市新規感染者がゼロに。7/18以来64日ぶり
10月1日 北海道を含む全国で緊急事態宣言解除 
11月30日 新たな変異ウイルス「オミクロン株」感染者を日本で初確認
12月22日 大阪府で感染経路不明のオミクロン株患者、市中感染の可能性

<2022年>
1月4日 道内でオミクロン株感染者初確認。札幌帰省中の関西在住者
1月7日 沖縄県の新規感染者1414人で初の1千人超。爆発的な感染拡大
1月9日 沖縄、山口、広島3県にまん延防止等重点措置
1月11日 旭川でオミクロン株感染者初確認。札幌から帰省中の学生
1月19日 北海道の感染者数が初の1千人超
1月21日 北海道の鈴木直道知事がまん延防止等重点措置適用を国に要請
1月22日 東京の感染確認初の1万超えの11227人。全国も初の5万人超
1月29日 北海道の感染者数が初の3千人超
2月5日 北海道の感染者数が4046人。初の4千人超
3月6日 三重、岡山、広島など13県のまん延防止等重点措置を解除
3月7日 北海道など18都道府県のまん延防止等重点措置は3月21日まで延長
3月15日 道内のまん延防止等重点措置は21日で終了へ。北海道が方針決定
3月22日 北海道を含む18都道府県のまん延防止等重点措置が全面解除 
4月19日 旭川市の新規感染者数256人。第6波の193人を超え過去最多に
4月20日 旭川市は10万人当たり感染者数も372.7人で過去最多に
4月25日 旭川市の新規感染者数342人に
5月2日 東川町の週間(4月23~30日)新規感染者数は12人
5月9日 東川町の週間(5月1~7日)新規感染者数が急増、74人に
5月16日 東川町の週間(5月8〜14日)新規感染者数は65人と高止まり
5月30日 東川町の週間(5月15〜28日)新規感染者数は45人に
6月6日 東川町の週間(5月29〜6月4日)新規感染者数は15人に
6月13日 東川町の週間(6月5日~11日)新規感染者数は11人に
6月20日 東川町の週間(6月12日~18日)新規感染者数は1人に
6月30日 厚労省の専門家会議が「BA.5」への置き換わりに警戒呼びかけ
7月6日 東京都の新規感染者数が約3カ月ぶり8千人超に
7月11日 「感染第7波と認識」。尾身茂会長が首相と面会後に発言
7月20日 道内の新規感染者数が2カ月ぶりに2千人超
7月20日 旭川市の新規感染者数が190人。前日比4.2倍に
7月27日 道内の新規感染者数が5千人超の5522人に
8月2日 旭川市の新規感染者数が422人。初の400人超

                               (了)

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