見出し画像

これからも続いていく私だけの物語

🎙音読はこちら

執筆者 aiai

信じ込まされる怖さを初めて知った20代

授かり婚で24歳の時に結婚しました。元パートナーは、私に対し「お前の生活の全てがダメだ。いい母親でないお前には子どもと会う資格はない」と繰り返し心ない言葉を投げかけてきました。その言葉で全て私が悪いんだと信じ込まされていました。私の自己肯定感は地の底まで落ち、母である私も、妻である自分も、そして自分自身までもが信じられなくなってしまったのです。

モラルハラスメントは一種の洗脳です。当時まだ私は20代で「モラハラ」という言葉すら知リませんでした。モラルハラスメントとは身体的暴力はないものの、心ない言葉を投げかけたり、無視したりと態度や行動で相手を精神的に追い詰めることです。受けていた期間に関わらず一生心に傷を残します。未だにフラッシュバックにも苦しめられています。

離婚して7年たちますが、元パートナーの言葉は私の大きな傷となって残り、この結婚生活で受けた傷が私にとってレモンとなりました。

ここでいうレモンとは、When life gives you lemons,make lemonade.(人生が酸っぱいレモン(試練)をよこしてきたら、レモネードを作ろう(それをポジティブな転機に変えてしまおう)という英語のことわざにある、レモン(試練)のことです。

自分の心が安定しないと周りの誰かも幸せにできない

私には2人の娘がいます。2人とも小学生で口達者ですが、ふとした仕草や言葉が可愛くて仕方ない。その笑顔に支えられ、専業主婦の状態から放り出された私は、必死で生き抜いてきました。養育費は一切なし、「私がやるしかない」そう言い聞かせてきました。

離婚当時専業主婦だった私は、時給850円の保育補助のパートから始め、娘の成長に合わせて働く時間や場所を変えてきました。

娘も小学校3年生になり、19時までお留守番を頑張れるようになりました。いつも私を待ち構えて、アパートの階段を登る音を聞き分けて飛びついてきてくれます。私が会社のカバンを置くより先にお手紙やお手伝い券、折り紙のプレゼントを披露してくれます。

疲れが溜まったある日の金曜日のことです。私はやり残した掃除が溜まった部屋をなるべく見ないようにして、ちょっとイライラしながら晩御飯を作っていました。

「ママがわたしを大切にするようにわたしもママがママを大切にしてほしいんだよ。」

そう言いながら折り紙のプレゼントをくれました。

娘はいつも私が焦っていたり疲れている時に何かに気づかせてくれます。パニックになりやすく疲れやすい私はいつも満点の笑顔で子どもと接してあげられているわけではないけれど、娘は全力で私を支えてくれています。

娘に教わった大切なこと。それは、「自分を大切にしないと、目の前の人を大切にできない」ということ。そのためには、まず自分を認めてあげることが大切だということに気付きました。

自分の心が安定しないと娘も大事にできない。レモンに苦しめられていた私を救ったのは、娘が全力で私を支えてくれたことでした。いろんな助けを借りながら、私は「自分を大切にする心」をもう一度取り戻そうとあがきました。

実家も遠くすぐに助けが呼べない私は近所の人、保育園の先生、習い事の先生、大家さん、職場の方と周りの人達に支えてもらいました。コロナにかかった時は近所の方がうどんをそっとポストにかけてくれました。遠くにいる母親は娘とビデオ通話で一緒に留守番をしていてくれます。

オンラインのセルフケア講座に参加したり、精神科で気持ちを安定させる薬をもらったりメンタルケアにも気を配るようになりました。また、すぐ相談できるライングループのひとり親仲間や、自分と同じ境遇の仲間を見つけ、心が1人にならない工夫もしています。

「1人でひとり親はできない」

自分を大事にすることを続けるために、いろいろな人の力を借りて娘をこれからも育てていこうと思います。こんなふうに、自分を大切にすることを実践して、自分を取り戻すことで私のレモンはレモネードへと変化していきつつあります。

夢はいつか娘とお酒を飲みにいくこと

とはいえ、まだレモンはレモネードになりきれていません。まだまだ自分を認めてあげることが上手にできないからです。

自分と目の前の娘を大事にするために必要な心の安定が足りないときも沢山あります。

でも私は7年という時間をかけて少しずつ変わっていきました。

面会交流で月一回会う元パートナーに対しては、今でも複雑な感情が消えませんが、会っても憎しみや恐怖を感じることはなくなりました。1人の父親として、子どもにとっては大事な人間であってほしいと思えるようにもなりました。

また、自分が受け取った恩を次の世代の誰かに渡していくこと。それができる人になりたいと思います。

私のささやかな夢はいつか娘たちとお酒を飲みにいくことです。温泉旅行にも行って、いつかは孫も抱いて。レモネードを手に入れるときを楽しみに、今日も子どもたちと生きていこうと思います。

これからも続いていく私だけの物語(aiai)

最後までお読みいただきありがとうございました。このエッセイは、シングルマザーズシスターフッドの寄付月間キャンペーン2022のために、aiaiさんが執筆しました。

寄付月間とは、「欲しい未来へ、寄付を贈ろう」を合言葉に毎年12月の1か月間、全国規模で行われる啓発キャンペーンです。シングルマザーズシスターフッドは寄付月間2022のアンバサダーにもなっています。

今年のキャンペーンでは「Turn lemons into lemonade.」をキャッチフレーズに、シングルマザーが試練を転機に変えたエピソードをエッセイにして、人生を前向きに進める一人ひとりのシングルマザーの生き方を祝福します。

ご共感くださった方はぜひ、私たちの取り組みを応援していただければ幸いです。ご寄付はこちらで受け付けております。


よろしければサポートお願いします。いただいたサポートはひとり親の心身のセルフケアとエンパワメントの支援活動に使わせていただきます。