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『ひとり親けんこう白書』はじめに

シングルマザーズシスターフッドが研究者の皆さんと協力して調査してきた、シングルマザーの心と体の健康、そしてピアサポートの効果についての結果をまとめた『ひとり親けんこう白書』が2023年8月22日に無事完成しました。

ここでは、まえがきの「はじめに」をご紹介します。

『ひとり親けんこう白書』はじめに


ひとり親女性の身体的・精神的健康についての質的・量的調査
この調査は、日本に暮らすシングルマザーの心身の状態について調べ、支援の具体的な方法論を提案・検討する基礎資料となることを目指すものです。2021年秋からトヨタ財団の研究助成を受け、研究者の皆さんと調査に取り組んできました。過去のひとり親研究の資料にあたると「精神の不調」「経済的困難」「ソーシャルサポート不足」などの課題が指摘されていますが、具体的な解決策にまで踏み込んだ議論が進んでいるとはいえません。私たちの調査と実践がその一助になれば、という思いで調査・研究に着手しました。

セルフケア講座で全国のシングルマザーに出会う
私たちは「心身の健康はすべての土台である」という信念から、2020年4月よりオンラインのセルフケア講座を通じて、シングルマザーの心と体の健康を支援しています。自宅から簡単に参加できる 30分間の「ストレッチと瞑想」の講座は、これまで365回開催、41都道府県から、のべ2462人が参加しました。(2023年7月11日現在) 

優先順位の低い「セルフケア」
日々、全国のシングルマザーに向き合う中で、「母親の健康」が親子の生活に不可欠なものでありながら、その優先順位は常に低いことを実感します。「ストレッチと瞑想」という「アクティブなセルフケア」を実践するようになった参加者からは「子どもに笑顔で接する余裕ができた」「仕事にいく足取りが軽い」など、体感を伴うポジティブな声が寄せられた一方、「セルフケアなんて贅沢、自分には関係ないと思っていた」と過去の思い込みを振り返る声も多いのです。余裕のない生活の中で「セルフケア」は最も後回しになるのも無理もないかもしれません。

シングルマザーの心と体の健康は自己責任?
行政のひとり親支援策の4本柱(①子育て・生活支援 ②就業支援 ③養育費確保支援 ④経済的支援)には、予防的な健康支援は含まれていません。心身の状態が悪化すれば、そのケアは医療に委ねられますが、そこまでの状態になる前に、心身の状態をよくするための予防的なケアを支援する取り組みが、この社会にもっと増えても良いのではないか? と私たちは考えています。

体と心のつながりに着目
 日々のセルフケア講座でシングルマザー当事者の皆さんと接していて感じていた「人間の心と体は互いに影響を与え合っている」ということが、本調査からも見えてきました。先述した「精神的不調」「経済的困難」といった問題も、それ単体として見るのではなく、身体的・精神的健康との関係を考察することで、あらゆる角度からの支援策を検討できるのではないかと考えています。

本書が、その議論のきっかけになれば幸いです。

そして、シングルマザー当事者のみなさん、本書を、自らの心身の健康を考える資料として、ぜひ活用してください。あなたはひとりじゃないよ。

吉岡マコ NPO法人シングルマザーズシスターフッド発起人/代表理事

↑『ひとり親けんこう白書』はこちらで全文ダウンロードできます。
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2023年9月27日(水)12:00-13:00
『ひとり親けんこう白書』完成報告ライブ配信を開催しました。
アーカイブがありますので、よろしければご覧ください。
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