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私の人生を 今日も編む

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執筆者 うずらのたまご

起きる。スマホのルーティンタイマーアプリを起動して、身支度と家事を進めながら、息子を起こす。布団をめくると、ニヤッと笑ったあどけない顔。息子が起きる。

こうして始まった今日は、一つ一つがかけがえのないものだ。

電動自転車で坂を駆け上がって、保育園へ息子を送り、家に戻ったらノートパソコンをつける。担当プロジェクトを進めるために、何をすべきで何をすべきでないかひたすらに考え、同僚と議論をする。あっという間に17時になり、また電動自転車で坂を登ってお迎えに行く。夕ご飯を食べながら、くだらないことで息子と笑い合い、お風呂に入り、息子が寝る。ひと仕事した後に、私も追いかけて一緒に寝る。

こうして私は、私の人生の中の、今日という1日を編む。

今日という1日は、私の人生を織りなす編み目のような存在である。それを、手に取るように実感できるようになったのは、元夫と別居し、息子と二人で暮らし始めてからだ。

一緒に住んでいた頃は、衝突か、すれ違いばかり。夫婦それぞれの人生を、一緒の方向を向いて歩むことができなかった。話し合いをしても伝わらない虚しさを感じ、時には話し合いさえ拒絶されて失望した。

なぜ。なんで。どうして。私の人生はどこに向かっているのか。どこに向ければいいのか。暗澹とした気持ちを抱えながら過ごす中で、元夫の鞄から不貞の痕跡が見つかった時、自分でも驚くほどに冷静になった私がいた。

そこからは、ただただ行動した。

私の収入だけでの、月収支と教育資金の貯蓄計画を立てた。家を決めた。両親に別居について話した。引っ越しした。

起きる。息子と向き合う。仕事をする。寝る。また起きる。そうして、1日づつ積み重ねていくと、変化が出てきた。

息子との穏やかな時間が増えた。仕事でも心からやりたいと思えるプロジェクトに抜擢してもらえた。

ふと振り返ると、積み重ねた1日1日が、私の現在地まで繋がっている。いつの間にか、私の人生が、ちゃんと私の手の中に戻っていた。

だからこそ私は、今日も、今日という1日を編む。

起きる。スマホのルーティンタイマーアプリを起動する。布団をめくると「起きたくない」とふてくされる息子の顔。そんな日も愛おしい。

電動自転車で坂を駆け上がり、ノートパソコンの前でプロジェクトが上手く進んでいることについて自分を褒める。夕方になったら、また電動自転車で坂を登る。お風呂で鏡に指でかいた絵の当てっこをして、息子が寝る。私も追いかけて寝る。

そうして今日がまた、私の人生の一目の編み目になるのだ。

私の人生を 今日も編む(うずらのたまご)

最後までお読みいただきありがとうございました。このエッセイは、シングルマザーズシスターフッドの寄付月間キャンペーン2022のために、うずらのたまごさんが執筆しました。

寄付月間とは、「欲しい未来へ、寄付を贈ろう」を合言葉に毎年12月の1ケ月間、全国規模で行われる啓発キャンペーンです。シングルマザーズシスターフッドは寄付月間2022のアンバサダーにもなっています。

今年のキャンペーンでは「Turn lemons into lemonade.」をキャッチフレーズに、シングルマザーが試練を転機に変えたエピソードをエッセイにして、人生を前向きに進める一人ひとりのシングルマザーの生き方を祝福します。

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