For Nina / Recursion(Nazlo Records)

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ロシアはモスクワのNazlo Recordsから、
リリース群では初の日本在住作家For Nina「Recursion」という作品をご紹介します。

全体的にLo-Fi Ambientとも言えるような趣きの作品で、
ローファイヒップホップなどを聴いていても、音質のクオリティ自体は高いと感じてしまうので、
本当の意味でチープでリラックスできるものが聴きたい、という時に
とてもちょうど良い作品であると感じた。

タイトルの「Recursion」とは再帰という意味になるらしいが、
内容については、「Untitled」と題されたそれぞれ14分程度のトラックふたつ。
かなり定められたような尺はカセットテープに収めるための関係かもしれない。

冒頭からカセット特有のヒスノイズ、ひたすらにモノラルをつらぬいて、
あらわれては突然途切れるといったような比較的、短めの断片的な持続音やシーケンスが次々と繰り広げられる。
録れたパーツを気ままに散りばめたようなコンストラクションになっている。

それぞれのトラックは時にチープなリズムマシンの音を挟み込んで、
瞑想的ながらも何かと「どこか可愛げのある」印象を抱いてしまい、
アブストラクトな点をのぞけば、モノラル音質で瞑想的、という点は、
個人的には初期のseratakeijiのリリース群と似たような感触を受ける。

この「どこか可愛げのある」という印象はおそらくNazlo Records全リリースに共通することで、
コラージュやグリッチされた画像、もしくは象形的なアートワーク群も、
こういった音楽性を伴う上でとらえれば、かなりとっつきやすいものになるのではないか。

Nazlo Recordsのbandcampリリース群をよく見ると、ジャンルタグには「animal music」というタグを徹底的に散りばめているようで、
どのような音楽性をもって「animal music」と呼ぶのかは今の時点では全く想像がつかない。
パッと見てロシア語は読めないのだが、
どういったバックグランドを持つのかはまったくわからないロシア在住の作家達を基軸に、
あらゆる形態のリリースを続けるレーベルの活動にも着目していきたい。

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