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Over the Rainbow

エドガー・イップ・ハーバーグ作詞、ハロルド・アーレン作曲
三善晃編曲
「Over the Rainbow」
 委嘱初演 1999年2月23日 合唱団「松江」'99演奏会
 楽譜 2021年12月15日 混声合唱のための三善晃合唱曲選(音楽之友社)


 Over the Raibow(虹の彼方に)は1939年のMGM制作のミュージカル映画「オズの魔法使」の劇中歌で、1939年のアカデミー歌曲賞を受賞しています。日本語字幕付きの映画「オズの魔法使い」をYoutubeで見ることができます。当時16歳で主演したジュディ・ガーランドの歌は冒頭から5分ほどのところで始まります。

 映画は、ドロシーが農場で一緒に暮らすエムおばさん、ヘンリーおじさん、3人の農夫に、大地主ガルチ夫人との間のトラブルを相談してまわるシーンから始まります。トトがガルチ夫人の足を咬んだという理由で、夫人がトトを処分すると言うのです。ドロシーはエムおばさんにガルチ夫人の暴挙を訴えると、エムおばさんはドロシーに「どこか心配のいらない場所を探しなさい」と言います。ドロシーはトトに語りかけます。
「心配のいらない場所? そんな場所あると思う?
 きっとあるわね 船や汽車でもいけない所
 ずっと遠くの お月様の向こう 雨の向こう・・・」
そして彼女は歌い始めます。

Somewhere over the rainbow
Way up high
There's a land that I heard of
Once in a lullaby

どこか虹の彼方の
空高くに
とある国があると聞いた
一度、子守歌で

Somewhere over the rainbow
Skies are blue
And the dreams that you dare to dream
Really do come true

どこか虹の彼方に
空は青く
信じた夢はすべて
現実のものとなるところ

Some day I'll wish upon a star
And wake up where the clouds are far behind me
Where troubles melt like lemondrops
Away above the chimney tops
That's where you'll find me

いつか星に願う
目覚めるとそこは雲がはるか下に
そこでは悩みはレモンの飴のように溶ける
屋根の上へ
そこが私のいるところ

Somewhere over the rainbow
Bluebirds fly
Birds fly over the rainbow
Why then, oh why can't I?
If happy little bluebirds fly beyond the rainbow
Why, oh, why can't I?

どこか虹の彼方に
青い鳥は飛ぶ
鳥達は虹を超えていく
どうして彼らはできて、ああ、私にはできないの?
もし、幸せの青い鳥が虹を越えて行けるのならば
なぜ、ああ、私にできないなんてことはある?

 歌が終わると、こんどは村を竜巻が襲います。ガルチ夫人のところから逃げ出した愛犬トトとともに、ドロシーは竜巻に巻き込まれ、気が付いたところは・・・。

 映画の歌は「Somewhere over the rainbow」で始まりますが、舞台版ではイントロの歌詞があり、特にジャズの場合はここから歌い始めることが多いようです。女性ジャズシンガーのレジェンド、エラ・フィッツジェラルドの「虹の彼方に」をどうぞ。

When all the world is a hopeless jumble,
And the raindrops tumble all around,
Heaven opens a magic lane.

世界が絶望的なほど滅茶苦茶になっていて
雨粒がそこらじゅうに降り注いでいるようなときには,
天国が魔法の道を架けてくれるの

When all the clouds darken up the skyway,
There's a rainbow highway to be found.

雲が空を覆い尽くして暗くなっていても
虹の道は見つかるでしょう.

Leading from your window pane
To a place behind the sun,
Just a step beyond the rain.

あなたの部屋の窓から
日の光の向こう側まで
雨を一歩超えるだけで。

 三善晃の編曲では、この歌詞の中の「the raindrops」をアルトが歌い始めて曲が始まります。虹が出る前には雨が降ります。三善晃は、このイントロを雨の情景で描いているように思います。そして28小節目の全パートの上行音型が雲を開き光が注ぎ、31小節目に虹がかかる・・・個人の感想です。

「Over the Rainbow」はスタンダード・ナンバーとして世界的に広く親しまれ、多くのカバーの対象となってきました。合唱やアカペラの世界でも様々なグループが「Over the Rainbow」を歌っています。

Collegium Cantorum YOKOHAMA(耕友会)Mark Hayes編曲

キングズシンガーズ

Pentatonix

 「Over the Rainbow」について書いてみました。この歌は何よりも冒頭の「Somewhere」の1オクターブの跳躍が、歌う人を幸せにしてくれます。それが世界の人々に歌い継がれている理由ではないでしょうか。

2022年10月29日(土)~30日
合唱団大洗にて歌唱


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