エンニュイの感想

エンニュイの公演『無表情な日常・感情的な毎秒』を北千住BUoYで観てきた。
ただシンプルにすっごく面白かった。笑った。特に難しいことを考えさせられる事もなく、目の前で起こっている出来事そのままをすんなりと受け入れられる内容と演出と演技だった。
大切なことなのでもう一度。すっごく面白かった。

明日の公演も昼・夜あるのでぜひ見たほうがいいと思う。配信もしているようなので、現地に行けない方はラッキーですね。



知らない人の為に一応説明しておくと、この公演は12ヶ月かけて叩いていくそうで、毎月内容や演者を変えながら徐々に進化していく面白いつくりとなっていて、今月は6ヶ月目ということで現状のベストを発表ということでした。
なので凄く期待して観に行ってしまったんだけど、当たり前のように、そしてしっかりと期待を上回ってくれて凄く気持ちが良かった。気持ちが良かったって何か気持ち悪いけど素直にシンプルに、面白くて気持ちが良かった。


まず会場のBUoYという場所が銭湯の廃墟跡をそのままステージにした場所で、会場の雰囲気と照明や音楽による演出と演者達の感じや内容により、何だか、ずっと見ちゃいけないものを見せられている感じが凄かった。
この「見ちゃいけないもの感」って何なんだろうなと公演中に考えていたんだけど、自分の内面と向き合う時の感覚に似ていると思った。

まあ、やっぱり恥ずかしい自分や汚い自分、ズルいとことかダサいとこはなるべく見ないように生活をしていると思うんですよねみんな。舞台で行われていることはずっと自分の頭の中を見せられてるような感じがして、あ、コレ見たくない。見ちゃいけない。でも見たい。この続きを。というような感覚の連続でお話は進んでていく。



演じられているキャラクターの全てに共感出来るし共感出来ない。これはつまり人間が社会の中で生活していく上で起こるごくごく当たり前の事が目の前で繰り広げられているんだけど、これがたまらなく優しい。これをやるの難しいと思うんですけど、上手に丁寧に描かれていて単純に感心してしまいました。
結論を言うと、何も解決しないままお話は終わる。何も解決しないまま終わる事ほど優しい事はないと思う。でも、そもそも問題が起きていない。問題提起をしていない。
これは長谷川さんが作るものが結構そうなんだけど、今回はそれが随分とわかりやすく噛み砕かれて、スッと胸に染み込んでくるような内容と演出になっていて、やはり、気持ちが良かった。出演者の方々も素晴らしかった。



タイトルの『無表情な日常・感情的な毎秒』とはつまり生活のことだと僕は思う。
人間を描くのならば、やはり生活を描かなければならないと僕は思う。

そして、それを見せられた側は「ああ、そっか。このままでいいんだな」と暗に気付かされる。その少しの前向きさ。
それを僕は、たまらなく優しいと思った。


みなさんぜひぜひ沢山の人に観て欲しいですねえッ!!

よろしければ支援していただけると、なんと僕が人間らしい生活をおくることが出来ます!にんげんになりたい!