夜の散歩番外編お月見の会報告書

見慣れてる街の空に 輝く月一つ



これは、僕の好きなバンドエレファントカシマシ『今宵の月のように』の歌詞の一部だ。名曲過ぎて、そして認知度が凄すぎて説明の必要が全くないけど出だしの「くだらねえとつぶやいて 醒めたつらして歩く」がとても印象深いですよね。僕はそこのコードのGからB7という進行が凄く好きで、いや~名曲だなあとギターを鳴らす度に思う。
最後の方の歌詞である「見慣れてる街の空」に月が輝いている様はシンプルなのにとても綺麗で心の奥底から何というか、こうふつふつと勇気が湧いてくる。
僕の中で月の歌といえば?は『今宵の月のように』が不動で、もう随分とそうだし、これからもそうだと思う。






さ、10月1日は2020年の中秋の名月の日ということでお月見の会を、夜の散歩番外編として開催。
正直わざわざ文章に書くことがあまりない。というのは楽しくて酔っぱらってしまいあまり覚えていないからだ。不覚にも酔っぱらってしまい、最後の方は夜になるに連れどんどん寒くなるし、ウンコしたくなっても夜遅いためトイレがどこも閉まっていて、眠くなってきて「あー、帰りたい」を連発。来てくれた方には、とてもじゃないが楽しんでるようには見えない態度に見えてしまったかもしれないけど、非常に楽しかった。
気を使わない、笑わそうというサービス精神もない、タブーがない無敵な発言をし合える、よく知らない狂人達が集う宴はそれはそれは楽しかった。けど、あまりよく覚えていない。





当日の朝から振り替える。
早朝、お空はどんよりと曇りなんなら雨がまあまあ降っていた。しかし天気予報は夜になるに連れ晴れていくという。昼頃には雲の合間から青空が見え19時頃スーパー行くために家を出ると快晴で、真ん丸のそりゃでっかいでっかい月が煌々と照り、気温も最適、絶好のお月見日和となった。



今回、お月見をするにあたって何かお月見っぽいものを一品持ってきて一番お月見っぽい人が優勝というイベントをやろうと思っていたけど、結局優勝決め損ねた。
僕は何を持っていこうか悩んで、彼女に相談すると「月や秋をテーマにした短歌や俳句、百人一首とかから借用すれば?」と素敵な提案があり、わお知的と思い、調べたものの月関連は恋のうたが多く参考にならなかった。

ベタに月見団子を持っていこうかと思ったけど、ただ購買して此れを持参するのも芸がない。自ら作ろうかと思ふもこの時局テヅクリは何か怖いかあ、と思い其れもやめる。
結局僕が何を持っていったかというと、やはり日本のお月見といえば月の中で兎が餅つきをしている様を思い浮かべる人が多いと思うので、自らがウサちゃんになり月を愛でるのもまた一興。兎の好物である植物界被子植物真性双子葉類コア真性双子葉類キク類キキョウ類セリ目セリ科ニンジン属ニンジン、平たく言えばニンジンをスティック状に切断し、マヨネーと共に持っていった。


予定では21時から中野セントラルパークではじめるはずだったけど、あまりにも綺麗な月に昂奮して少し早めに家を出る。
夜の散歩のオープンチャットでは、幾人か来る、来るとは言っているけれど、お得意の来る来る詐欺の可能性も大で、誰も来らない場合即座に帰宅出来るよう愛車の雫にライドン。まあ歩いても15分程なので5分程で到着。

すると中野セントラルパークにはお月見に興じている若人多数で、オホ、これは良いですねえ!季節を愉しむ回路が頭脳に構築されているのですね若輩のうちから、素晴らしいことですと心の中で思ったし、実際独り言として呟いた。


みな、広場の端の方に陣取っていて、いやあ真ん中でやった方がより悦だよと思って真ん中にレジャシーを敷く。そしてワインを開けて月に乾杯。20時40分だった。
周りはなんだろうか、大学生とおぼしきキャピキャピしたグループが二組くらいと、カップルがズラっとお月見を楽しんでいた。
その中央におっさんが独り寝転がりワインを瓶でぐびぐびあおっている。これは不安ですよ周囲の人は。
警備員を呼ばれて、あすこに不審な人がおられて街の安全を脅かしていますねとかなんとか嫌な風聞をたてられ他の参加者が来る前にセントラルパークを追い出されてしまいかねない。
僕は何とか怪しい者ではないとアッピールする為、鞄から小説の文庫本を取り出しコレを読む。中秋の名月を酒精と共に愛でつつ独り夜風と大地の確かさを感じながら文学の世界を旅するという、えげつなくいい感じの紳士を装う。
月明かり、街の灯があっても手元は暗いので字は全く読めない。読めないのでクンクンに顔に本を近づけて読む。本が明かりを遮ってますます読めなくなって、クソ、ワインをさらにあおる。余計挙動が不振になってしまい文庫本をしまってアホらしと呟いて寝転がって月を見た。
めちゃくちゃ輝いていた。月のみならず星も見えて雅。うん。スマホで時間を確認すると5分くらいしか経ってなかった。

わ!!わわッッ!!孤独!

クソッ、こんなことなら時間通り21時に来れば良かった!!
僕は周囲のきゃいきゃいという喚声とらぶらぶという温度の照射に曝され孤独だった。なんだコイツら全然風流じゃねえ!そも月を愛でるというのは独り静かに行うものである。それをば何ですかあなた達は?ただ飲み会をしたいだけじゃあーりませんか?ただ公の場でいちゃこらしたいだけじゃあーりませんか?嘆かわしいねッ全く!


と芝生に唾をペッペッペッペッペッしようと思ったら参加者のひとりめがやって来た。待ってたよ!ほんと9時越えて誰も来なかったら5分くらいで帰ってたよ!ひとりで月見ても何にも楽しくねえ!風流とか何だとかどうでもいい!楽しく酒のみたい!

ひとり来はじめるとガンガン来て、最終的には僕を入れて11人の大所帯に。


ひとりめは第10回夜の散歩参加者である清母さん(仮名)。詳しい話は省略するけど先日シャインマスカットを贈ってくれた方で感謝感謝の感謝しきりである。なんと零時を過ぎたら誕生日という目出度い日だった。お月見っぽい一品は焼き栗。いきなり優勝候補である。


ふたりめは夜の散歩オープンチャットでよく発言をしてくれるプロシュートさん(仮名)。義理堅く明日健康診断だというのにわざわざ来てくれたナイスミドルな男性。喋り方や内容も知的でとても好感の持てる人で、こんなイベントに来るような狂人にはとても見えなかった。お月見っぽい一品は雪見だいふく。俺、間違えてずっと月見だいふくと言ってて後で気付き恥ずかしくなった。


さんにんめは、昔ラジオやらせてもらっていた時に「何に迷走してるか迷走中」というラジオネームでよくメールを送ってきてくれていたMAOちゃんファンの20代半ばの男性の方。このイベントが仕事終わりに丁度よく、勢いで来たとのこと。こんなにガッツリ喋るのははじめてで非常にフランクな青年でした。ママチャリで130kmくらい漕いだことのある豪の者だった。ただお月見っぽいものは何にも持ってきてなかったけどな!


よにんめは、なんと第1回夜の散歩参加者である発光ダイオードレディ(仮名)が、これまた仕事終わりに丁度良かったから来たとのこと。1年前に話した時から職場が変わっており、職場のおっさんどもを手玉に取っていたら調子こきはじめたから辞めたと言ってて笑った。この娘もお月見っぽい一品を持ってこなかった。さんにんめよにんめは何にも持ってこねえし、男らしく片膝立ててタバコを吸う様は山賊のようだった。


ここまで来たメンバーは人生で初お月見とのこと。


ごにんめは、Twitterで見かけて来てくれたお綺麗な人妻かおるさん。なんと22歳の息子がいるといい一堂仰天。とてもじゃないがそんな大きなお子さんがいるようには見えない40代半ばの女性でなんと三人子供がいるという。帰り際、僕に質問したいことがあると言い、なんですか?と聞くと「私リンゴスターの凄いファンだったのだけど、もう辞めたあとでもこう未練のあるファンって嫌ですか?」というものだった。もうお笑いを辞めた僕から言わせれば、嫌な訳はなくそんな有難い事はそうそう世の中にない。ファンであるという気持ち、これは本当に尊いものであるし、その気持ちはその人だけのものである。気持ちが離れようが離れまいがいかようにも好きにしてくれていいのである。お月見っぽい一品はウサギのおまんじゅう。

ろくにんめも、Twitterで見かけて来てくれた20代半ばのコロ助(仮名)と名乗る女性で、家が近所だったから来たとのこと。なんか最近ついてないことありましたか?と聞くと、実年齢より上に見られることが多いとのこと。大人っぽい雰囲気を漂わせた落ち着いた雰囲気の女性だからそうなのだろうと思うけど、職場のおじさんに「歳の割にはきゃぴきゃぴしてないねえ」と最低の発言をされたとのこと。これは許せませんね、そんな奴にはおしっこをひっかけてやりなさいッ!おしっこを顔面にッ!と僕が確りとセクハラ発言をしてあげた。お月見っぽい一品はわらび餅。中に甘い汁が入っていて美味だった。


この二人はお月見をしたことがあると言っていて、かおるさんはちょくちょく家のベランダでやっているとのこと。コロ助さんは実家にいた頃に家族行事になっていて縁側でススキとかまで用意して本格的にやっていたらしい。なんて素敵な家族なんだ。


そして、ななにんめにニュークレープのナターシャ(芸名)が来た。来てそうそう帰ると言い出して、なんとこのあと用事があるのでホント顔出したくらいの感じだけど来てくれた。ありがたい。その場にいた女性陣が写真をとりたいと一斉にナターシャのもとに。俺は一枚もとられてないけどなッ!


はちにんめは、なんとなんとなんと水沢駿(芸名)さんが来てくれた!これは嬉しかったですねえ!!太田プロの役者さんで何度か一緒に舞台に立たせてもらって、僕は凄いなついていたのに、会うたびにはじめましてみたいな態度をとる人で、そんな人がこのイベントに来てくれてビックリした。以前から散歩にも参加したかったけど苛酷そうだなと思って敬遠していたそうだ。今度は是非散歩にも来てもらいたい。
役者でイケメンなのに、水沢さんも僕同様、一枚も写真とられてなかったウケる。


ここからナターシャ主導のイントロドンがはじまって、しばしゲームコーナー。こういうイベントに来るような人たちなので何の疑問もなく白熱。20分程イントロクイズを出しまくってナターシャは帰っていった。


入れ替わりくらいで、きゅうにんめ今度ははたたつがやって来た。畠山達也(本名)は芸人で、なんと週刊少年JUMPに漫画が載るような先生だ。
ナターシャいるから来たとのことだったけど、20分イントロドンやって帰ってったと言ったら「奇行じゃねーか!」と言うので、ここで確かに変だったなと気づく。なので知らない人に囲まれての謎の宴。まあでも俺もよく知らない人だらけなので、というかみんながみんなよく知らない人だらけで月を愛で酒をのんでる訳で、みんなしっかり狂人だなと再確認。はたたつとはコロナの騒動前に会って以来会ってなかったので凄い久々なんだけど、久々の感じしなかったな。
今度、JUMPのアプリであるJUMP+に漫画が載るみたいなので大変楽しみである。
ガスマスクガール時代のヤマゲンとの喧嘩の話は何度聞いても面白い。つまみやお酒を色々と買ってきてくれた。


そしてラストは、第9回、10回夜の散歩の参加者である豊子(仮名)がやってきた。
結構遅くにやってきたのでこれの前に仕事だったのか?と聞くと、別にそういう訳ではないらしく、じゃあ見たいテレビあったのか?と聞くと別にそういうわけでもなく、じゃあ早く来いよ!と当たり強く思った。やっぱり何度か来ている人には当たり強くいけて気安いですね。結構遅かったから、もしお月見終わってたらどうすんの?と思ったけど、豊子はしっかり者なのでそんな愚はおかさないでしょう。現にまだやってたし。あッれ?豊子なんか持ってきたかなお月見っぽい一品。何も持ってきてなかったような気がする。まあいいか、きっと鋭い社会風刺の小説でも書いていたんでしょう。



全員そろって暫くすると、終電の都合でパラパラと帰りはじめた。周囲の人達も随分減って、丁度良かった気温も肌寒くなってきた。
すると気づいたら、いつの間にそんなに飲んだのか水沢さんが結構酔っていて、思わぬ衝撃のニュースが飛び出したり、吉本さんの事をずっとエロいと思っていたなどと言いはじめて、なんだコイツ両刀使いか?口説かれてるのか俺は?と思い、どういうところがエロいんですか?と聞くと言い淀み会話を引っ張り、うわ、大阪人の駄目なとこ出てるよーッッと俺とはたたつが茶化すと「いや、そんなんちゃいますよ」といった。俺は、で、でたーッ!水沢のそんなんちゃいますよだーッッ!と思い、これは水沢さんの口癖で、昔SSLCという舞台で一緒になってお酒を飲んでいる時によく聞いたなあと懐かしくなった。久々にSSLCのメンバーでお酒でも飲みたいですねえ。酔っちゃうと、水沢さんは長くなるので「帰って下さい」とちゃんと言って、ちゃんと帰ってもらった。しっかし水沢さんが来るとは思わなかったなあ!凄い嬉しかった。最後の方はずっと大阪人の駄目なとこ出てたけど。



段々人が減るとその分寒く、そして眠く、うんこしたくなってきたけどトイレがもう開いてなくて、俺が「帰ろうぜ」を連発。一時までセントラルパークにいて、あと片付けしたけど、ゴミとか全部みんなに任せてしまった。申し訳ない。ごめんなさい。本当にごめんなさい。そういえば水沢さんも、自分が飲んだ缶とかを、シートの周りに絵にかいたようにポイ捨てしていて、あー太田プロは後片付けしない奴多いなと思った。


結構酔っていて、その状態で自転車に乗ると飲酒運転なのでダメなのですが、乗ってみたら全然平気で、みんなに別れを告げひとり早々にピューッと行く。しかし、みんなと別れたら、まあまあ酔っていると思っていた段階から気が抜けたのかやっぱり酔っていて危ないと思い自転車を降りて押して歩いた。見慣れてる街の空に輝く月一つ。とても綺麗だった。




家に着くとうんこしたかったのも忘れすぐ気絶。
五時頃うんこしたくて目が覚める。そして何となく思い出してきたのだけれど、お月見の会で、その場にいないのに彼女の自慢いっぱいしちゃったなー。うわあ。恥ずかしいなあ。その場にいればまだ惚気として成立するけどなあ。いや、恥ずかしい。でも正直自慢し足りなかった。




とにかく、今月で夜の散歩をはじめて1年である。それで12回開催してるから月1ペースでやっていることになる。まあ、一月に2回3回やるときもあれば、二、三ヶ月全くやらない時期もあったのでまばらではあるけれど、今月は一回やると思うのでぜひぜひぜひ。


しっかし、よく知らない人達と飲むの楽しいですね。
僕は人見知りなんだけど、人間は好きで人の話を聞くのが好きなんだけど、このイベントに来るような人達はみんなそうで、人間臭くて好きですね。

よろしければ支援していただけると、なんと僕が人間らしい生活をおくることが出来ます!にんげんになりたい!