法事

日曜日、法事があった。
母方の祖父と祖母のそれぞれ7回忌と23回忌。

祖父は靴屋さんだった。それで財をなしビルを建てた。そこが僕の実家だった。
幼稚園の時とかよくビルの一階にある、祖父の靴屋さんに僕は預けられていて、塗り絵などして遊んだものです。

祖父は厳格な人柄で、小学生の頃、通知表をもらって帰ってきたらまず一番はじめに祖父に見せるのだ。
昔の人なのに身長が183㎝もあって、子供からしたら威圧感がハンパなくて怖かった。
僕は勉強が出来た訳でもなく、かといって運動が出来る訳でもなく秀でたリーダーシップを発揮するわけでもなかったので、通知表を見て、怒るでもなく巨人が通知表をむうと睨んで、スッと返してくるのは子供的には怖いものです。祖父は寡黙な人だった。

対照的に祖母は背が小さくて丸く、いつもほがらかでお菓子とかくれて、絵にかいたような優しいおばあちゃんだった。
料理が下手だった。でもチャーハンだけは異常に上手で、たまにチャーハン食べなと出してくれると美味しくて、マジで異常に美味しくて、こんな美味いチャーハン作れるのになんで料理上手じゃないんだよ。とずっと不思議だったけど、中学生の時に叔母が逝去して、通夜とかでその話したら「いや、あのチャーハン三ちゃん食堂(隣の隣にある中華食堂)からの出前だよ?」と知り、ショックを受けて泣いたものです。

祖母が亡くなった夏はすごくよく覚えていて、僕は中学3年生だった。甲子園で横浜高校の松坂大輔が大活躍していた。

祖母がなくなって祖父は目に見えて窶れていき元気もなく、やがて痴呆がはじまる。僕が知らないだけかもしれないけれど、ボケちゃってから祖父は随分と穏やかになり、ビンビンに照射していた厳格な空気もなくなり可愛い感じになったと思う。


上の姉が、おじいちゃん全然怖くなかったよ。といつも言うのだけれど、それは成績がいいというか優秀だったからで、僕といとこのYOちゃんは怖い怖いと、まんじゅう怖いみたいな感じで怯えたものです。
今、僕の家にある家具はほとんどおじいちゃんのものだ。冷蔵庫、テレビ、洗濯機、タンス、包丁や鍋とか、ぶっ壊れたけど電子レンジ。ほんとうに感謝しきりです。当たり前だけど、何だかんだでおじいちゃんのことも好きだった。


毎年、正月には親族が集まってワイワイするのだけれども、今年からなくなってしまいションだった。なぜなら美味しいものが沢山食べれるからだ。あと美味しいお酒も。僕は高校生の頃から飲酒していたけれど、ちゃんと美味しいなあとお酒の味を楽しむようになったのはここ数年で、それが悔やまれる。
なぜならおじさんは凄くいいお酒を沢山持っているからだ。おととしの正月、お土産として森伊蔵持たせてくれるくらいだ。美味かったなあの焼酎。うわ、飲みたくなってきた。


とにかく、親族がひさびさに集まる。
吉本家の下姉の恭子は今、長野県に住んでいて来れず。旦那さんも甥っ子も姪っ子も会いたかった。残念。でもこの家族とは正月に会ったからま、ま、ヨシとする。

お寺さんに集まって、お墓綺麗にして、豪奢な待機室みたいな所で、おじちゃんおばちゃん母、僕で控えていると続々と集結してきた。

すると過去最大人数というか、ふたりのいとこにそれぞれ家族、そして上姉の家族と、大いにワイワイしてニギニギしていて、いい感じだネーってずっと思っていた。久々に見たお寺のお坊さんの老いぼれ具合も凄くて笑ってしまった。いい感じだネーって思った。


そのあと、武蔵小杉にそんなお店出来たんだねーという感じの、著名な料理研究家?がプロデュースしたお店で昼食。
二ヶ領用水路沿いの一軒家を改造したような洒落た店で、毎年春には桜を愛でながら食事が出来るような場所だった。


部屋に通してもらってコースが出てくる。
店員さんが、色々と説明してくれているのに皆好き勝手ガヤガヤしていて、違うけど、全員B型かよ!と思った。全然話を聞かないくせに、注文は随意にして、文句みたいのを垂れる。笑ってしまった。すげーいい感じだなあ!と心から笑顔になれるし何か楽しかった。ずっとニヤニヤしてたと思う。


僕は親族の前で幼少の頃からずっと引っ込み思案な感じだったんで、集まりとか嫌いだと思ってたんだけど、好きだったんだな!と思った。
いとこのK君の奥さんと息子さんふたりは、初対面だったんだけど、とてもいい感じィの家族で仲が良さそうで羨ましかった。ただ、これは勝手に感じたことなんだけど、奥さんがみんなに気を使っていて、もっとリラックスしていいのにと思い、そういった空気を作れず悔しかった。
まあ、もう馴染んだだけかもしれないけれど、YOちゃんの奥さんはマイペースな人でこちらも気を使わなくていいから、僕は昔から結構好きで、話していても何か面白い人だ。
おじちゃんは物凄く出来た人なんだけど、おばちゃんや母は血筋なのかやたらと口うるさいザ・おばさんで、発言もいちいち面白くて笑っちゃう。みんな人間臭くて大好きだと思った。店員の立場から考えたら最悪だと思う。

子供達は、恭子のとこの子供ふたりが腕白なので、親族集まるといつもうるせえなあと思っていたけど、それが潤滑油になっていたらしく、子供達は大人しめだった。それもそれでいいけど、やはりいつものうるさくて何かを壊したり誰か泣いたりしてるのが好きだな。と少し寂しくなった。


料理がまたいちいち美味しくて最高だったな。ひと口食べる度に自然と美味い!と口からついて出ていたんだけど、みんな美味い美味いと言いながら食べていたけど、もっと美味いッ!と唸ってもいいんだよと思った。もっと喧しいくらい皆で美味い美味い!と合唱して、店員に怒られたかった。


帰り、二ヶ領用水沿いを歩いて帰る。
そういえば、お笑いを辞めたことなど話つつ、これからの事について一番楽観的なのは僕なんだけど、みな、まあまあいいんじゃない?良かったんじゃない?みたい感じだったのに、なんか母だけ厳しく接してきて笑ってしまった。


家に着き、コロナの自粛期間中にすっかりprime videoに嵌まった母から、この海外ドラマが面白いだとか色々聞いてるうちに昼寝。


一泊して帰って来たんだけど、何か知らないけど実家にいる間、ずっと眠かったな。なんなんだろう。

実家の猫は相変わらず、帰って来た瞬間だけにゃんにゃん言ったり可愛い仕草するのに、時間と共に連れない感じになっていく。
普通逆だけどな。アマノジャクだなー。


帰る前、母と、なんとなく昔の実家があった新丸子周辺の昔の地図というか、こういう店があった誰々が住んでいたという話になり、楽しかった。そういうの纏めた本とか図書館行けばあるのかな?なんだか調べたくなって、帰宅。



やっぱ親族って、いいよな。特別に仲がいい訳じゃないのに、特別な何かがあるわ。それが何かはわからないけど、年々こういう集まりは忌避される傾向があるけど、集まったら集まったで楽しいし、良かったって凄く思う。

今度の正月はフルメンで集まりたいなあとか、今、深夜に風呂に浸かりながら思う。

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