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三角書簡「青いにんじん便り」変わったこと・変わらないこと:二通目

 しの君、お手紙ありがとう。人の日常の話を聞くのは良いものだね。ちゃんと生活を送っている、ちゃんと生きているんだなぁと感じるよ。  『青銅の基督』という小説があってね、大学受験のとき現代文の問題集に出てきたのだけど、こんな場面があるんだ。  ーー町々を見晴るかせる丘の上に、二人の男が立っている。  男たちが話しこんでいる間に日は暮れて、家々に明かりが灯る。それを見て、一方の男が言う。 「天には星が光り、地上には人が明りをつける。僕は此処でよく夕方此の景色に見惚れて了ひま

    • 三角書簡: 青いにんじん便り 3通目

       トクラ君、しの君、お手紙ありがとう。しの君が調べてくれたけれど、三名以上で書き合う手紙は三角書簡や流動書簡というのだってね。ひとつ賢くなったよ。  それはそうと、たとえウェブサイトだって手紙をもらうのは嬉しいものだね。僕はリルケが好きなのだけれど、彼も手紙が好きだったみたいだ。といっても返信の筆はなかなか取ることができなくて、あーだこーだ、返書の中で言い訳をしていたよ。僕も筆まめではないから、返事には時間がかかってしまうだろうけど、どうか温かな心で許してほしい。  さて、

    三角書簡「青いにんじん便り」変わったこと・変わらないこと:二通目