見出し画像

極論で語る調教診断(初級編)

この記事を読む人へ



このnoteは競馬が好きだけど、調教なんてわからんという初級者(or中級者)の人向けに書きました。調教を普段からよく見ている人には物足りないと思います。

もし、長い記事を読むのが面倒だ!という人は、見出しで、「結論」だけを見てもらえば大丈夫です。

さて、少し前段に入ります。

調教、パドック、血統、馬柱

競馬予想には、様々なファクターがあります。そのどれもが重要で、総合的に見て予想することが回収率を高めると僕は考えています。

もちろん、特化することもいいことですが、僕はどれも軽視はしていません。その中で、少し昔、私はとある本の出版に際し、JRA総研様とお仕事をし調教について少し学びました。

なので、これはあくまで僕の主観による調教というファクターを極論で語ります。
これを出来るだけ分かりやすい文章で語ること、簡単な言葉で語ることがこのnoteの目的です。

僕は、自分の知っている知識を通して、その個人が競馬をより楽しめれば嬉しいなと思っています。なので、予想を見て手っ取り早く儲けたい!という人向きではありません。それでも良ければ是非、ご一読いただければ幸いです。

また僕は7年前まで、長距離走をしていたので、例として人間で例えることも考えています。

「極論で語る」

というのはとにかく、二者択一の場合や時間が少ない中で何かを判断するときに使いやすくするための比喩です。

それでは参りましょう。今日は3つの要素だけで判断できる調教診断をまず解説したいと思います。まず、調教を語るうえで必要な概念、それは

Ⅰ.縦の比較

まず、これが必要な条件として、既にその馬が過去1回でもレースを走っているか否かですが、その日のレースに出る馬のほとんどは、2回目以降のレースという前提でお話をします。そして、その上で調教で1番大事なこと、それは

「縦の比較」

つまり、その馬の調子や成長を見ることが調教のメインだと思います。新馬戦または未勝利で経験が浅い馬は除き、さらに怪我による6ヶ月以降の長期休養明けの馬は縦比較の重要度は少しさがります。

経験の浅い馬たちが多いレースはどちらかと言えば横の比較(同じレースに出る馬同士の調教比較)をします。
ただ、重賞やクラスが上がるにつれ重要なのは縦の比較(目星をつけた馬の、過去の調教比較)だと思います。
ここは細かく言えばキリがないので

極論ポイントは2つだけです。

①過去の臨戦過程と同じ調教をしているか。
②最終、または1週前追切のタイムは前走よりいいか悪いか。

まずはこれだけです。
というのも、調教映像を見ても、最初のうちはあまり分からないことが多いと思いますので、新聞などのタイムで、ここを見てみるだけでも面白いと思います。

少しだけ、細かく説明します。

①臨戦過程について

例えば、あなたが運動系の部活をしていて、その部活の基本となる練習があるとしましょう。大会前はその練習の負荷を高めることが基本となります。逆に言えば、普段やらない練習をやる場合、そこには「意図」があります。もし突然、普段と違う練習を本番前に指導者が選手に求めた場合、それは相手対策なのか、自分の中にある課題を克服することが求められています。

これは競走馬も一緒です。

なので、まずは前走、その馬が前走どういう調教過程を経てレースに出たか、そしてその結果を受けて今回、どういう練習過程を踏んできたか、変えたか?変えなかったか?

これだけです。変えていた場合、前走の結果が悪ければ、変えようという意思がある。なければ、課題はないので、そこの負荷が強くなっているか否かということを確認する。

次に映像を見てみたり、厩舎側のコメントを見てみて、調教対する言及があれば、その意図を予想に加えてみればいいと思います。

②追切タイムについて

これは①が変わっていなかった場合、つまり臨戦過程が前走と同じ場合に見る要素です。

例えば、部活の大会が地区予選→県予選→インターハイとレベルが上がっていけば、おのずとその大会出るチーム又は個人のレベル負荷は高くなっていきます。

競走馬であれば、厩舎は大目標とするレース前にトライアルを使うのであれば負荷は変わってきます。

同じ調教の臨戦過程で、レースに出る場合、当然のことながら前走と同じ距離でタイムが良くなっているか否か、もし映像が見れるなら乗る人の手の動かし方、併せ馬をしていれば、その馬に対して該当馬がどう競っているか、どう突き放しているか。この2つをまず見てみると簡単ですが意外と見えてくるものがあります。

なので、調教を覚えたいと思う人は

①過去の臨戦過程と同じ調教をしているか。
②最終、または1週前追切のタイムは前走よりいいか悪いか。

これを意識して、新聞等を見てみるといいと思います。いろんな馬を見ていくと、そのうち厩舎の特徴が掴めてきます。(Ex.森厩舎は坂路好きで、とにかく早い時計だしがち。国枝厩舎は負荷弱め,etc)

次の極論

Ⅱ.距離別の調教


ものすごく大雑把ですが、ここでは全レースに対して3つに距離分類を分けて極論で語ります。

①~1400m
②2000m~
③1600m,1800m

この3分類です。

例えば、自分が運動会で短距離の徒競走を走る時と、マラソン大会を走る時、必要なトレーニングというのは全く異なります。

僕が急いで予想をするときに、減点していくポイントと加点していくポイントをここでは極論とします。

①~1400m

・超減点→坂路調教が中間過程にない。
・減点→坂路時計で53.0秒以下の時計がない。
・加点→坂路のラスト2Fのうちラスト1Fのタイムが最速
※要注意→坂路4Fタイムが50.9より早い馬が1400m戦に出てくる場合は距離が持つか。

近年、坂路設備がしっかりして以来、スプリント路線の馬は坂路を凄いタイムで走る馬がとても多いです。スプリントが早い馬は、全体的にマッチョで前駆の筋量を活かして走る馬が多いです。

よって物凄くタイムが早く、そして力強いです。ただし、持続性に欠けることがあります。よって、単純な走破タイムよりもラスト2Fのタイムを見ておくと参考になります。

これは意外と盲点なのですが、走破タイムが早いことが必ずしもいいとは限りません。坂路は800mしかなく、そこで猛烈なタイムで走る馬は例えるなら集中しすぎて1400mになると、最後バテてしまう馬がいます。なので坂道ダッシュで最後までタイムが落ちないことこの場合評価すると、いいと思います。

②1800m~

・超減点→CWないしW調教で6F以上の調教を1度も中間でこなしていない。
・減点→CWないしW調教6Fで83.0秒以下の時計がない。
・加点→CWないしW調教6Fで82秒より速い時計で走破している。
・加点→CWに加え、坂路でも4F54.0以下のタイムで併せ馬で先着している。

中距離以上になると、短距離馬とは違い、息を騎手と合わせながら走ることが求められます。なので、ここで短距離馬と分かりやすく比較すると、リラックスしながらしなやかに走れる馬。また、操縦性の高いという点が重要です。当然ながら、CWの長い距離を走り、動きでカラダに刺激を入れつつ騎手や調教助手が手を動かした際には反応しているか、また併せ馬で前の馬に対してがむしゃらではなく抜きに行くかみたいなものが重要になります。

③1600m

実はこの距離の調教評価が一番難しく感じます。僕が大事にしているのはどの路線からこの距離に挑戦しているかということを見て評価をします。
ここでも大雑把に2分類の後、減点加点ポイントをまとめます。

距離短縮組

このレースの前に中距離を走っていた馬の課題は、マイルのスピード感に慣れるためのそもそものスピードがあるか、またはその対策をしているか

・減点→中間、坂路調教が1本以下
・加点→どの調教過程でも2F以上を23.9以下で走っているか。

距離延長組

スピードが持続して使えるためのスタミナがあるか、またはその対策をしているか。

・減点→CWないしW調教で6Fの練習をしていない。
・加点→ウッド系で7F以上の調教を入れている。

これらの意見はもちろん、すべての馬に当てはまるわけではないです。ただ、距離別にその馬に必要な早さや強さの要素というのは概ね違うと僕は感じています。

今や夏競馬などの3馬場開催だとどうしても1レース当たりの予想時間は短くなります。その場合、ポイントを定める際に距離毎に自分の基準を決めて予想をする中で私はこういう観点で距離と調教を分類します。


Ⅲ.調教で載っている人、併せている馬

社会人になりキャリアを積むと、
どうしても業務において、マルチタスク処理の能力がないと仕事を回せなくなります。

当たり前ですが、騎手も土日のために平日沢山の馬に調教をつけます。けれど、当たり前ですが全ての馬に乗れるわけではなく、調教で乗る馬にも優先順位をつけなければならない。
若手であれば所属している厩舎に乗るのが優先であるけど、フリーの人は生産地、厩舎、オーナーなどの関係性やその週のレースによって乗る馬を選びます。

あくまでこれこそ感覚であり極論ですが、騎手の調教騎乗における優先順位は

メイン→新馬→継続騎乗

の優先順位で馬を選んでいるなと感じます。
(逆に言うと、所属が違う場合以外で、メインに乗る馬に中間一度も載らない場合は少し減点して考えます。)

なので

「条件馬で継続騎乗、フリーの騎手が中間追切をつけている」

という馬はとても期待します。また、騎手が乗れなくても調教師が乗っている馬。これもまた評価は高く考えます。

私は以下の通りで評価、加点をします。

主戦騎手>師>厩舎所属の若手騎手>調教助手

これらが複数回以上、乗れば乗るほど期待値は上がりますし、そもそも1回でも乗っていたら評価をあげています。そして、更に余裕があれば併せている馬が格上やOP所属の馬などを見て、予想に加味できると、とてもいいと思います。

ただし、1点気を付けなければならないのが、騎手が乗ると体重が軽いこともあり、タイムは自ずと早くなります。この点だけは忘れないようにしましょう。


結論:極論-忙しい人のための調教診断

私は1レースごとの予想に時間がかかるタイプです。なので、勝負レースを外したり、メインを外した後、急いでレースを予想するときに上の3つをパパっと見て予想します。

これを簡単にまとめます。
僕流のパパっと極論調教診断。

1.縦の比較


A→その馬は前走と同じ最終追切をしているか?
している→前走よりもタイムが出ているか?併せ馬をしている場合、それはどんな馬か?
していない→その内容や馬の課題について厩舎側がコメントを出しているか

B→最終追切または1週前追切で前走よりもタイムや負荷の高い調教をしているか


2.距離に適した調教をしているか

短距離→坂路で全体タイムが53.0以下の調教があるか
中長距離→CWで6F以上の距離をこなしているか
タイムは83.0以下で走れているか
マイル
A→短距離から参戦組は坂路以外の調教をしているか。
B→中距離から参戦組は終いが早い調教をしているか。

3.最終調整には誰が乗ったか

主戦ジョッキーや調教師がレースを出る前に一度でも騎乗しているか?


いかがでしょうか。
この3点だけなら急いで、確認できそうではないですか?
もちろん、冒頭にも述べましたが、調教はあくまで1つのファクター。

血統はその馬の素地のデータベース
パドックは当日の調子、テンションの把握
馬柱はその馬の本質的な実力や得意な条件、そして不利があったかなどの確認などがあります。

調教は、その中で言うと

その馬の現在の調子や成長を縦軸ではかるもの、そして厩舎がその馬に期待していることなどが分かるようになるものではないかと思います。

この記事を通して、少しでも競馬ファンの皆様がレース予想を楽しむ要素が1つでも増えれば、とても嬉しいなと思っています。

いよいよG1シーズン、トライアルも佳境に迫ってきましたが、今こそ調教を見るとG1をより楽しく見れますよ。
皆様の競馬予想が少しでも当たりますように!!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?