「シャドー81」人間的深みを描かずプロットに徹した凄味

ロサンゼルスからハワイに向かう747ジャンボ旅客機が無線で驚くべき通告を受けた。たった今、この旅客機が乗っ取られたというのだ。犯人は最新鋭戦闘爆撃機のパイロット。だがその機は旅客機の死角に入り、決して姿を見せなかった。犯人は二百余名の人命と引き換えに巨額の金塊を要求、地上にいる仲間と連携し、政府や軍、FBIを翻弄する。斬新な犯人像と、周到にして大胆な計画―冒険小説に新たな地平を切り拓いた名作。

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私たちはテロを起こす人物の内面などほぼ知らない。
この作品が凄いのは500P近い大作にもかかわらずテロ的行為を起こす張本人の内面を一切深堀りしない。
それでいてすさまじく面白い。
これが本書の最たる凄まじいところだと思います。

あの「メタルギアソリッド」の監督にして世界で最も有名な日本人の一人といってもいい小島秀夫氏が「このプロットは思いつかなかった」と発言しているのを見聞きしてたまらず購入したのですが、聞きしに勝るとはこのことですね。世界をまたにかけた一大プロット。

ただただ淡々と「行動」が描かれていく。
そしてその行動のつながりが完璧な計画へとつながっていく。
この構成は見事です。
他の作品も読みたくて検索したらなんと作者は本書しか書いていない、という事が分かりそれが残念でなりませんね。



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