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デルタ関数のfinestな定義を求めて

(画像はhttps://www.youtube.com/watch?v=SQwyLjVQwF8より。)
今回は趣向を変えて,物理でよく使われるディラックのデルタ関数の定義に悩みました,というお話です。


一般的な定義①

$$
\begin{cases}\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}\delta(x)\,\mathrm{d}x=1\\\delta(x)=\begin{cases}\infty&\text{for}\ x=0\\0&\text{otherwise}\end{cases}\end{cases}
$$

ディラックのデルタ”関数”とは言っても,普通の意味での関数(function)ではありません。原点で,値が無限大に飛んでいるためです。
その意味で,”超関数”のひとつに分類されます。

この定義は”無限大”をあらわに含んでいるので,数学者には嫌われますが,物理サイドの人間は感覚的に理解しやすく,よく使う表現です。

一般的な定義②

$$
\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}\delta(x)f(x)\,\mathrm{d}x=f(0)
$$

式を見ても,デルタ関数がどのような値を返すのか,分かりづらいですが,この定義は”Schwartz(シュワルツ)の超関数”という数学的厳密性をもつ形で,数学者はこの式で定義されていた方が受け入れやすいようです。

定義③

$$
\delta(x)=\dfrac{1}{2\pi}\displaystyle\int_{-\infty}^{\infty}e^{ikx}\,\mathrm{d}x
$$

一般には,デルタ関数の”積分表示”とよばれているものです。これも定義として採用できそうですが,関数の形は全く分かりません。

筆者の定義

$$
\delta(x)=\displaystyle\lim_{a\to\infty}f_a(x)\\
f_a(x)=\begin{cases}\dfrac{a}{2}&\text{for}\ -\dfrac{1}{a}\le x\le\dfrac{1}{a}\\0&\text{otherwise}\end{cases}
$$

極限としての無限大なので数学的厳密性を満たしつつ,直観的に理解しやすい表現だと思います。
ただし不連続な点があり,その点での微分(弱微分)は,Heaviside(ヘヴィサイド)関数を使って求めることになりそうです。この話は,またいつか。

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