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角換わりは終わった……のか?

こんにちは,S𝒾N..です。

今回は,将棋ソフト界隈で話題になっている,角換わり先手必勝説を取り上げたいと思います。

そもそも角換わりとは?

角換わりは,居飛車戦法の一種です。
「居飛車戦法って?」と思った方は以下のnoteへ。

その中でも,角換わりはお互いに角行[角]を取り合って持ち駒にする戦法です。「相掛かり」という戦法と並んで,現代プロ将棋の先頭を走っている存在です。

角換わりの一般的な出だしのひとつ。


コンピュータ将棋界隈で,衝撃の結論が。

しかし,昨年行われた第3期電竜戦に際し,将棋AI「水匠(電竜)」開発者のたややんさんが,Twitterでこうツイートしました。

もちろん,それ以前にも似たようなことはありました。木村義雄十四世名人の,「角換わり先後同型(現代の角換わりとは右金の位置が異なる)は先手必勝」をはじめとして,一部の将棋研究家の間では先手勝ちが囁かれていました。
しかし,今回は何かが違ったようです。これを皮切りに,さまざまなソフトが,定跡研究を深化させました。

そして,先手勝ちを決定づけたのが,今年行われた,第33回世界コンピュータ将棋選手権(wcsc33)。
優勝ソフト「dlshogi」開発チームのブログで,「角換わりは先手必勝なので,後手番では避けました」的なことが書かれました。

dlshogiまで先手必勝というなら……,と絶望していた私に最後のトドメを刺したのが,wcsc33準優勝ソフト「やねうら王」開発者のやねうらおさんのツイートでした。

何とも無情な結論に聞こえます。そんなぁ……😭


本当に先手必勝なのか?

ここまで来ても,まだ疑いたくなるのが私の性分。
というのも,角換わり定跡の有利不利を決めるのが“評価値300”だからです。

やねうらおさんの発言は,水匠の定跡に基づいています。

dlshogiに関しては分かりかねますが,少なくとも99999までということはないと思います(知らんけど)。

すると,この評価値300を抜けた先に,後手が良くなる手順が潜んでいることは否定できません(水平線効果)。

このロジックは,ほとんどのソフトで振り飛車側の評価値が-200ほどだからといって,振り飛車が必敗ではないことと共通しています。

[追記]
後日たまたま,とあるソフト対局で,角換わりの終盤,下の図の局面に至りました。

この時点でソフトに読ませると先手優勢と出るが……

実はこの局面,先手玉に必至(どう応じても詰んでしまうこと)詰めろ(適切に応じないと詰んでしまうこと)がかかっているんです。実際,▲4三銀成に△9七銀で先手投了,評価値上は後手の逆転勝ちとなりました。
ここは▲6三歩の一手で,飛車の利きを止めれば先手が良さそうです(知らんけど)。

ソフトも間違えるんですね………。


結論

たぶん,ほとんどの局面では先手勝ち
だけど,評価値300の壁の裏側には,後手が指せる手順が潜んでいるかもね。

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