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自作小説『解放』2. 学級委員

「なぎさんはいつもくつをそろえて帰っているのね、えらいわ。」

学級委員になった私は、委員活動である「くつそろえ運動」を毎日欠かさず行っていた。

「かかとそろえ運動」とは、各クラスの学級委員が、下校時に毎日、下駄箱のクラス全員の靴をそろえるという運動である。

全校学級委員長は、靴をそろえるなどの「見た目を整える」活動は、学校をよくするのに想像以上に大切だと言っていた。

それを聞いてますますやる気が上がった私は、毎日この運動を実践したため、先生に褒められたのだった。

しかし、逆にこの運動をまじめにしない学級委員がいることを不思議に思っていた。

なぜ「学級委員の活動です、これをしてください」と言われたことを、あえてしないのだろうか。

上から言われたことはやるのが当たり前では?

当時は本気でこんな風に思っていたので、本当に素直で従順な子だったと感心する。


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