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あいのなみだ


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満月に照らされた
月夜のお布団のうえで
ごろんと横になり
一冊の小説をよむ


静かな澄んだ冬の夜
顔まですっぽり布団のなかへ
冷える指先をあたためるように
湯たんぽ抱きかかえる


この日読んだ小説は
あの夏の夜とリンクする
甘くて儚いキオクのカケラ
瞼が重くなってくる
キリがいいところまでと想いながらも
瞼はさらに閉じてくる


しおりを挟み本を閉じる
閉じきった瞼はそのまま
わたしの右手と左手で
握りあう月夜のした布団のうえ
冷えた手と手が重なりあうことで
ほんの少しあたたかさがうまれる


あの日から
あなたを思い出し
切なくなるそんな夜は
わたしの手と手をにぎりあわせて
眠りにつく


月日がたてばたつほど
あなたの顔も匂いも感触も記憶も
遠くなっていくけれど
あの夜あなたの手とわたしの手を
静かに優しく絡ませた感覚のカケラは
わたしの手とわたしの手を
絡ませたときにおもいだす


それはおもいだすとゆうよりも
おなじだからかな
あなたはわたしでわたしはあなた
なのかもね


その蘇るキオクの愛おしさに
あんしんと
淡い色の切なさが同時にこみあげる


満月に照らされた
月夜のお布団のうえで
わたしは閉じた瞼のすきまから
一粒の涙がこぼれおち眠りにつく


愛のなみだ
そんな涙を流せる人生は
それだけで美しいのかもしれない


🌕




おやすみなさい

ありがとうございます🥰