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聴いている人が「笑う」Podcastの作り方 ~ジャパンポッドキャストアワードに向けて


JAPAN PODCAST AWARDS 2020が開催されています。↓

2020年に立ち上げて、SpotifyやApple Podcastsで配信している、「MouMa Radio(モウマレディオ)」も、自薦エントリーはしていませんが、本気で入賞を狙っています。↓

※MouMa Radioは、リスナーさんが考えてWebサイト「MouMa」に出品した妄想の商品を、パーソナリティの高橋晋平(おもちゃ開発者)と根本大司(ソフトウェア開発者)が勝手に解説する番組です。


この記事では、Podcastを1年ほど制作してみてわかった、リスナーが笑えるポッドキャストでの話し方についてまとめてみたいと思います。

始めにお断りしておきますと、1年くらいしか制作歴のない僕がPodcastについてあれこれ語るわけではありません。今回は「人を笑わせる話し方」についての記事です。ポッドキャストに限った話ではないので、やっていない人は、プレゼンテーションや自己紹介、雑談など、自分に関係のある話に置き換えて読んでみていただけるとうれしいです。

僕がPodcastをやっている理由はただ一点、人を笑わせたいからです。僕は18歳まで無口で人前でしゃべることができず、お笑いに憧れて大学で落語研究部に入り、それ以来、人を笑わせることに取り憑かれて生きています。おもちゃを作り始めた理由も人を笑わせたかったからです。Podcastをやる前は、落語・漫才・コントなどの舞台や、講演・トークイベント、仕事でのプレゼンテーションなど、どんな形のおしゃべりでも、笑いを欲してきました。人生最大の欲求は人を笑わせることです。そして、人を笑わせる(人に笑われる)スキルは、人生の最強武器だと思っています。

Podcastを始めたとき、笑いを取ることが難しいと感じました。対面のスピーチや会話などでは、落語で学んだ基本通り、目の前に相手がいる状態で対話をしていたから笑いを取れていました。でも最初に収録したPodcastは、自分で後で聞くと全然笑えなかったし、周りから笑えるというような感想ももらえませんでした。僕は、interestingを感じて欲しいわけではなく、funny , Laughableだと思って欲しいわけです。それで、2人語りの「MouMa Radio」と、こっそり上げている1人語りの高橋晋平個人のPodcastを通して、どうしたらリスナーが「笑える」かの実験をしてきました。(ちなみに現在公開中のMouMa Radioはシーズン2で、1は隠れたところに置いています。進化の過程にご興味がある方は発掘してみて下さい。)

最近ついに周りから、「笑ってしまう」という感想を頂くことができてきたので、対面コミュニケーションではなく、非同期型・音声メディアであるPodcastで、どうしたら笑いが取れてきたのかを自分の振り返りの意味でも、箇条書きしてみます。


まず自分たちが笑う


時間がかかりましたが、ようやく気が付いたのは、Podcastは落語のような演芸・作品よりも、雑談に近いということでした。なので、誘い笑い、つられ笑いが重要になってきます。僕は落語や漫才をやってきたので、「演者の方が笑ってしまうとサムい」という固定観念を何となく持ってしまっていたのですが、一緒の時間を過ごさない媒体だからこそ、一緒の時間にリスナーを連れて行かなければならなかったわけです。リスナーと一緒に笑うために、まず自分たちが笑い、時間を同期させる。

そのために、予定調和の台本を使って演じるという要素を完全になくして、やっと聴いている人が一緒に笑えるようになりました。いかに異なる時間で、時間を共有できるかがポイントだと思います。近況報告とかが、一番笑えたり、聞きたいと思ってもらえたりする気がします。


緊張感をゼロにする


笑いは「緊張と緩和」みたいなことを聞いたことがある人は多いと思います。実際、真面目な話をしている、あるいはするかと思いきや裏切る、ということで笑いを起こすのが話芸の常套手段です。しかしPodcastに関しては緊張感を完全に排除することが重要でした。この違いは、聴いている人が「しゃべっていることを一生懸命に聞こうとしていない」のが前提になるからです。もちろん一生懸命に聴かせるための番組もありますが、ラジオというものは「さあ聞くぞ」という意識で聞くことが最も難しい媒体です。聴いている人が一生懸命じゃないわけです。だから、一生懸命じゃない人の前で一生懸命にやると、間が違うことになってしまいます。

テレビとYouTuber動画の違いもそんな感じで、テレビは「見よう」としてある程度一生懸命見ようとする媒体だから、演者が一生懸命やって視聴者と呼吸を合わせ、その上で裏切るから「緊張と緩和」の笑いが起こります。YouTuber動画は一生懸命見ようとしないから、一生懸命やっていない感を出せている人に笑ってしまいます。

だから、言いたいことを間違わないように言おうなどと考えた瞬間、一抹の緊張感がにじみ出て、笑いとかけ離れていきます。緊張してしまうスタート地点から、まず言い間違いやグダグダを何とも思わないところに一度たどり着いて、そこをリスタート地点として緊張しないままテンポ、間、活舌などを上達させていくというステップが必要です。

(繰り返しになりますが、この記事はあくまで「笑える」という視点のみで話しています。笑いが必要ない場合は違った考え方があると思います。)


パーソナリティのパーソナリティを伝える

自分でやってみて、僕はラジオで話す人が「パーソナリティ」と呼ばれていることに震撼しました。落語なら噺家さんの個性に興味がなくても笑えることがありますが、ラジオはしゃべっている人に興味がわかないと笑いが起こりません。だから、何よりも話し手の個性・人間性が伝わるようにならないといけません、笑いを欲するならば。

ここまで書いてきて改めて、やっぱりどんなテーマのPodcastにも、笑いというものは重要なんじゃないかなと思えてきました。昔から、ラジオと言えばリスナーさんのハガキで笑う、芸人さんのしゃべりで笑う、などなど、笑いを作ってきた番組が人の心をつかみ、長く愛され、ムーブメントを起こしてきた歴史があります。そしてそのコミュニケーションは、話芸ではなく、友達になる感覚作りでした。話し手と利き手が距離と時間を超えて友達になるためには、まさに、パーソナリティ(個性、人となり)が分かることが必要だったわけです。

だから、リスナーさんのお便りを読むとか、オフ会をするとか、すごく大事であり、喜ばれるのが音声メディアなのだと思います。


複数名でやるなら、相方を絶対的にリスペクトする


テレビよりさらに、愛のない相方いじりが全く笑えない世界です。友達の家にいる感覚が理想なわけですから、話し手と聴き手、みんなのリスペクトし合いが土台ですよね。どっちかがほんの少しでもマウントっぽい意味で上に立ってしまうと悲惨な空気になります。じゃれ合っているのがいいですね。(なので僕はPodcast内でのツッコミがいまだに苦手です。表情の見えないツッコミはすっごい繊細で、怖いんです。)

さっきから箇条書きとはいえ、同様のことを繰り返している気がしますが、とにかく、じゃれ合っているのが一番笑えます。視覚がない想像の世界であり、情報が動画よりひとつ少ないからこそ、じゃれ合いのマイナス部分だけが消えて、笑いとして抽出されます。


役に立つことを言いたければ、オチで


漫才は、まともな話(緊張)から始まって緩和していきますが、全く逆でした。そのことに気づいて今も驚き続けています。ダラダラ、仲良く、予定調和が一切なく、間違いだらけで、緩みっぱなしで、、なんだかんだしゃべってたら、急に最後にまともなことを言って、「あれ、こいつら急にいいこと言いだしたぞ!」っていうのが笑える世界です。この事実を体験した時、ものすごく面白いと思いました。散々フザけてたのに、何いいこと言ってんだ!…あれ、でも、一理ある、役に立つヒントかも、っていう所でニヤっとしたり吹いたりするわけです。落語や漫才と逆転の話芸だと思いました。

有益な情報をお届けしたいPodcast番組をやっている人はたくさんいます。有益だから聞きたい人がたくさんいるわけですが、情報の届け方に「隙」が必要なのだと思います。もちろん、不確かな情報ということではなく、正しくて役に立つ真っ当な情報に対して、「こう思う」という正しいかわからない個人的考えを忖度なしで話して、リスナーの人の頭を緩やかにかき回して、一緒にぐるぐる考えてあげるのが音声メディアの心地よさの作り方ではないかと思います。正しい意見じゃなきゃダメ!っていうものではないんですよね、雑談だから。真実に対して、妄想である個人的意見を言うことが、笑いにつながるのだと思います。


という感じで、僕はnote記事をいつも推敲してできるだけ読みやすくまとめているのですが、今日はまとまらないPodcastバリに、垂れ流して書いてみました。間違った意見もたくさんあると思います。皆さんの中で脳内補完してお楽しみください。


締めとして、

Podcastに限らず、笑いはとても大切です。ビジネスにおいても、人生においても。ついつい真面目に考えてしまう時代になった気がします。もっと間違って、緩めて、笑い合っていた方が、物事が進むと思います。

2020年、オンラインコミュニケーションが増えて、僕もセミナーやイベントなど、オンラインでたくさん登壇させていただきました。これまで、人前で話すことに全然緊張しないことが自慢でしたが、緊張しまくりました。当然、笑いは取れませんでした。数か月たってようやくオンライン通話に慣れることができ、ようやく笑いが取れるようになりました。

急速に増えた動画のライブ配信イベントやセミナーなどの中には、役に立つものがたくさんあります。でも、笑えるものはとても少ないと感じた1年でした。(自戒を込めて、です。)

インターネットとかアーカイブメディアで緊張をゼロにして、友達と家にいるような雑談をすることはすごく難しいです。役に立つ話をするなどの前提があるなら尚更です。それでも、遠隔・非同期の相手に笑われることに僕はこだわっていきたいです。人間にとって一番大切なことは、笑うことだからです。「可笑しい」と思えば、言葉が心にスッと入り込むからです。何かに怒っていないで、笑いましょう。

最後にオチとして大切なことを書きます。


MouMa Radioを一度聞いて頂き、1回でも笑えたら、JAPAN PODCAST AWARDSのリスナー投票に「MouMa Radio」と書いて送ってほしいです。あなたの大切な時間と貴重な一票を僕たちに下さい。運営さんも、どうか一度聞いてみて頂き、各賞にノミネートしてください。何卒、よろしくお願いいたします。

※投票時に張り付けるURLはこちらです。↓
https://open.spotify.com/show/114KwVEawSM6pS75942mIK?si=j06MuEaTSj6Qp2ivT6iTgw



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