見出し画像

失われた土台を足場で補強している状況

 社会が急速に変化する世界では、人も組織も変わらざるを得なくなります。過去の歴史においては、社会の混乱は、統治機構の崩壊をもたらし、それにともなう権力の空白と、次なる権力を巡る闘争の過程で、人命や財産と社会の安定を維持してきた法制度が有名無実化することで、多くの人命が失われ、都市の社会インフラは破壊されてきました。そこには多くの悲劇が生じ、社会秩序の崩壊と同時代に生きた人々は辛酸をなめたわけですが、ある意味、落ちるところまで落ちて、生き残ったリソースをかき集め、多くの分野においてゼロベースから再建することで、新たな創造の活力が生まれ、その後の発展の源泉となりました。
 この国は、急速な人口減少の荒波により、社会の安定を支える前提となる土台は削られてきましたが、急場しのぎの足場の増築をすることで、人口マックスを前提につくられた巨大建造物が倒壊しないよう、何とか支えてきました。その間に、土台を強化する方策は山ほど考えられたわけですが、建造物をそのままにして、中にいる人たちの安定を優先させたために、抜本的な土台強化を行うことができず、海中に足場を築く部分が次第に増えてきた感じです。
 足場をいくら増築し、強化しても、土台が小さくなるにつれて、波の影響を受けやすくなり、建造物の中で、同じような役回りを担っているだけでは、さまざまな外的要因によりダメージを受けて、QOLは大きく低下するに違いありません。国という巨大な構造物をどうこうすることは、何とか逃げ切ろうとする人からの激しい反発を食らうだけで、個人の力ではいかんともしがたいのが現実です。
 なれば、身の回りの人たちを守るために、建造物の中で、変化に強い処を得ることに少ないリソースを投入しなければ間に合わない。過去の自分にはこの辺の認識が薄く、今になって、一枚の渡し板の上にあって、周囲を支えている状況にあることを自覚している始末ですが、こうやってセルフで危機感を煽り、日々、処を得るための行動を掴んでいきたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?