独居高齢者が自立してくらすために

 人が生まれ、若いころに事故や事件に巻き込まれることなく、大病を患うこともなく老年期を迎えることは、それだけでも幸せなことであると思います。とはいえ、老年期に入ってからの年の取り方もなかなか難しいです。病気のリスクは高まりますので、長患いで苦しむこともあるでしょうし、体力や気力も衰えてきて、体の自由も次第に効かなくなります。特に認知症になって日に日に自分が「できなくなる」ことへのおそれは、大変なものであると思います。また、配偶者との別れにより、一人残されてしまうことの不安も、簡単には解決の出口を見出せません。子供と同居している人は、一人遺された不安は和らぐかもしれませんが、生活のリズムや食習慣、考え方が違うと大変なストレスを双方にもたらします。子供が独立してから数十年経って再び同居するというのは、子供が独身であっても難しい面はあり、家族がいれば一層の難しさがあり、家庭不和につながりかねず、近居して何かあれば駆けつけられっる間合いぐらいが、一番良いのではないでしょうか。日本の場合、家族向けの賃貸住宅があまりないので、持ち家を選ぶ人が多いですが、同居人数は10年スパンで変化していきますし、家も40年経てば大幅な修繕が必要になります。一戸建てとマンションもそれぞれメリット、デメリットがあり、いろいろ考えているとどれが正解かわからなくなるので、子供の小学校への入学とかローンを組める年数とかで、えいやで決めるしかないのでしょう。

 話が逸れてしまいましたが、近居もできない場合、あるいは近居といっても歩いて行ける距離でない場合は、何らかの見守り機能が必要になってきます。サ高住なども増えてきていますが、サ高住や施設は行動や面会に制約があり、健康な高齢者にとっては入居には抵抗があると思います。以前から、ポットのお湯の電源を入れると通知するような機能はありましたが、最近はトイレの明かりをつけるとセンサーのついた電球が感知し、一定時間電球がつかないとアラート通知がされるような機能が、比較的安価でアマゾンなどでも売られているようです。また冷蔵庫の開け閉めに反応するセンサーもあるようです。IoTの技術をうまく利用し、高齢者が自立した生活を営めるような商品やサービスは今後も増えていくでしょう。僕自身が適度な近居をしつつ、こうしたIoT技術を活用し、母の生活をサポートして行ければと思っています。自身もいずれ行く道であり、最後までより良く生きる術を考えることは、未来への守りの種まきとして大事なことだと思います。

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