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寝床より出でよ

 前日にしんどいことが重なると、払暁の頃に寝床の中で目覚めたとき、前日のさまざまな出来事が思い出されます。当然それらは、やりたいことではなく、進めたいのに進まないもの、理解を得たいのに得られていないもの、何か新しいアイデアを考えないといけないのに思いつかないこと、など、気持ちを暗くするものばかりです。寝床の中には自分しかいませんので、一人で抱え込む構図になり、孤独になり、嫌になります。できない自分に嫌気がさしますし、そうした環境に追い込まれた自分の甲斐性のなさに苛立ちます。いっそ、そうした考える主体がいなくなればいいのにと思うことさえあります。
 こうなると、身体は休まるのに心が休まらず、負のスパイラルが内面で回り続けて、棘が内面を傷つけることになります。だいぶ小さくなったとはいえ、かつて抑え込んだ負の感情の塊が芯のように心の中に残っており、呼応して溶け出し、自分を落とそうとします。それはいのちの防御反応なのかもしれませんが、一度そこに落ち込むと戻るのに時間がかかるので、避けたいという薄皮一枚の理性が作動し、まずは寝床を出ようと立ち上がります。
 寝床を出ると、空気の淀んだ部屋に一気に外気が入り込んだような感じになり、気持ちは軽くなります、現実世界は今のところ、寝覚めの床よりはましです。人生の重荷を背負う旅は続いてはいるものの、行き詰っているわけではありません。安易に楽観に流れることは避けるべきですが、悲観に閉じこもるほど人生、余分な時間が残されていない。そこは自覚し、貴重な自分の時間を大事に使っていきたいと思います。

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