人に頼らず自由に議論しようよ
先日、担当役員から、社内のDXの推進について、かなりフリーなアイデアの論点ペーパーが、部門長がアクセスできるチャットルームに共有されました。
主な論点としては、現行の規則やルールにあわせて運用を行っていることで、本来の機能さえ生かせていないシステムの使い勝手の向上や、逆にカオス状態にある社内共有ドライブのルールづくりについて、アイデアベースで意見を求めるものでした。
僕も役員が投げかけた趣旨を受け止め、国の示しているガイドラインレベルの縛りや、予算や現行の社内規則の制約はあえて考慮せず、使い勝手が良く、社員にシステムの習熟やルールの周知などで余計な手間をかけないような、いわば「あらまほしき」身軽なDXの実現を、あくまで個人的な案としてビジネスチャットに共有したのですが・・・。
どうも、部門長の中には、自分で考えるというより、組織として意見を述べる場と考えた人がいるようで、僕の提案を法務部門の見解として受け止め、部下に現行ルールとの適合を確認させたうえで、これはさすがにルールに反し、国のガイドラインとも異なっているので、よく確認したほうが良いというコメントが返ってきました。
まあ、それはそれで、僕の提案をつぶさに検討してくれたという点では、感謝すべきことだと思いますが、幹部だけのルームで、フリーに議論したいという内容を、今の段階で組織としてチェックして、ルールにあっていないのではないかコメントしてくるのは、正直、固いなあと思った次第です。
たしかに、現行のルールとか、国のガイドラインでは、合っていないのかもしれないけれど、国のガイドラインは、いわば今の段階では絵にかいた餅のようなもので、あまりに逃げを打ちすぎていて、実務に落とすことができないような代物になっている。たしかにそれをやれば運用サイドは守られるけど、社員に負担を強いる、窒息しかねない仕組みになってしまい、誰も使えないし、いろいろ回らなくなる。
それなりに優秀な人が集まって、論点整理して作ったガイドラインなのだろうし、説明を尽くそうと資料は工夫しているのはわかるけど、肝心のユーザー目線がなく、組織防衛優先。物事が動くか動かないかは、それは個々の企業のやり方に任せるという感じで、ガイドラインとしての出来がどうこうというより、その引き気味のスタンスが低能だと思うんですよね。
今回の社内での反応も、確かに法務部門の長の意見は重いのかもしれないけど、その「法務部門が現行のルールを無視していいんですか」的な意見は、ズレてるでしょと思わざるを得ませんでした。
ユーザーオリエンテッドでないと、仕事の効率なんて上がらないし、ルール関係の壁というのは、ある程度の絵を描いてみて、そこでどの程度岩盤かと確認すればよい。運用で何とかなるなら、それで決めてしまえばいいわけで、技術的な困難さと違って、多分に覚悟の問題です。
正直、自分たちに覚悟のない人がつくったルールを、金枝玉葉に守ったって、首を絞めるだけであり、担当レベルな知識に基づき判断するのはいいけれど、部門長以上は、今の枠組みを超えたところで理想形を描いてぶつけ合う、それぐらいから始めないと、社内のあちこちに転がっている、中途で打ち捨てられた行動計画のように、不毛な議論の末に自然解散といった最悪の展開になりかねないです。
心配性は悪くない要素ですが、度が過ぎると議論の目を摘んでしまうし、致命的でない部分はトライ・アンド・エラーを繰り返した方が良い。この辺の発想に至る人は、なかなかいないものだなと、知らされます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?