ライター活動開始!

 初めましての人は初めまして。私の正体を知っている人はお久しぶりです。この度、私、久々に「シモン・ボダン」という名前を使ってアマチュアライターとしての活動を始めることにしました。記念すべき第一回の記事は、自己紹介代わりに今までの文筆活動について触れていきましょう。


小さな成功体験

 文章を書く、この活動を始めたのはいつ頃だっただろうか。人生で最初に書いた文章は、小学校低学年の頃のお礼の手紙だろう。社会科見学の見学先とか、学校に来て話をした人に送ったものだ。といっても、ほとんど「お礼→体験内容→相手の体調を気遣う締め」の定型文だったから書いていても楽しくなかったうえに、自分の言葉で書いた文章とは言い難かった。

文筆活動の転機となったのは、小6の頃、週末に書いていた日記だ。当時担任からそんな宿題が出ていた。私はそこでB4ノート1ページ分、様々なことを書いた。塾帰りに買ったコンビニ飯のレビューだとか、小4の頃に言われた、心に残り続けている言葉だとか、最後の方は死生観、人生観なども少し書いていたように思う。自分の想いを鉛筆に乗せて文章に仕上げ、担任にコメントをもらう。最後のコメントで「毎週○○君のエッセイを楽しみにしていた」とコメントされたときは、本当に感無量であった。

中学校に入学し、しばらくは文筆活動をお休みしていた。というより、書く機会がなかったのだ。中2になって、所属する委員会を決めることになった。そこで私は晴れて男気じゃんけんに勝利し、人気のなかった新聞委員会に入った。私は新参者であったにも関わらず、連続して所属していた委員の反対を押し切り、対話形式のエッセイを執筆した。その滑稽さや斬新さが話題を呼び、反対していた委員も認めてくれたうえ、同じことがやりたいと思って後輩たちが委員会に入ってくれた。自分が文筆を趣味にし始めたのはこのときだろうか。

高校でも新聞部に入部して取材記事やエッセイを書く傍ら、文芸部に入部して、小説を書き始めた。黒歴史となった駄作も何作か書いたが、高2の冬に、自信作『籠の中の鳥~皇帝の息子~』という作品を仕上げた。ナポレオン皇帝の息子を主人公に据えた自信作である。リクエストが多かったら後で公開しよう。自分の書いた新聞記事や小説が酷評されることはもちろんあった。けれど同級生や後輩、教師から評価されることが段々と増えてきて、自分の文筆活動の根底にある成功体験となった。

つき纏うトラウマ

 大学でも新聞部と文芸サークルに加入した私は、経験者であることから一種の誇りに似た自惚れを持っていた。俺なら未経験の奴よりいい記事が書ける、面白い小説が書ける、そう思っていたのだ。大学生初めての夏休み。新聞の取材記事を仕上げるとともに、小説を書いていた。アルキビアデス、という古代ギリシアの青年を主人公とした物語。トゥキディデスの『戦史』や、プラトンの『アルキビアデス』、プルタルコス『英雄伝』などの史料を読み込んで、時代の解像度を上げていく作業は楽しかったし、書くこと自体も楽しかった。しかし、完成間際で一つの疑念が生じた。「これは小説ではない。」

 より時代設定にこだわるために、史料からセリフを一部改変して引用したり、登場人物の一人であるソクラテスの思想を落とし込もうとしたりしているうちに、もはや自分の文章ではなくなっていた。迫る〆切。作品は既に修正できない点まで到達していたうえ、別の作品を書こうと思ってもやる気が起きない。納得のいく作品を仕上げなければならない、でも〆切は近いし、そもそも作ることができない、そんな焦燥感の板挟みにあっているうちに、気づいたら文芸サークル長に謝罪のメッセージを送っていた。(別にそんな決まりがあったわけではないんですけどね)。

 それでも、新聞記事執筆だけは自信を持っていた。完成した新聞記事は関係各所に確認をもらうことになっている。メールでのミスは多々あったが、何とか送信出来て、安堵するのも束の間、「大変申し上げにくいのですが、すべての文章が拙いです。」

 ああ、私は、私が思っていたより、上手に文章を書けないんだ…。今までの文筆活動からくる自信は悉く喪失した。新聞記事の件は、文章を見直し、先輩からも校正をもらい、何とか「読みやすくなったな。」と言われることができた。しかし、喪った自信はまだあまり取り戻せていない。今書いているこの文章も、拙いのかそうでないのかさえ、わからない。

 その後私は、自信を喪ったまま、だらだらと日々を過ごしていた。楽しいのかそうでないのかよくわからない動画を観続けたり、とにかく上手な文章を読もうと、本やエ〇ゲの文章を精読したりしていたこともあった。でも、「文章を書く」という行為がトラウマになって、一向に創作はできない。書いた文章と言えば、レポートか感想文とか、そんなものばかりで、書きたいものを自由に書く、ということができなかった。それでも、「書きたい」という気持ちだけは心の中にくすぶっていた。別に何を書きたいわけでもなく、食い扶持稼ぎのためでもなく、とにかく、書きたい。そんな謎の衝動が、うずくまっていた。そこで思い出したのだ。小学生の頃、書いていた日記を。

あの時を再び

 小学生の頃にできたことなんだから、いまの私にも、できるはずだ。そんな意地を張ってこの活動を始めることにした。実は活動を始めた理由はもう一つあるのだが、既に2000字を突破しているから、またの機会に書こう。

今回はやや堅い話になってしまったが、心に残っている思い出、商品や作品のレビュー、日々の生活の日記など、緩く書いていこうと思う。もしかしたら小説や詩のようなものも投稿するかもしれない。木曜日隔週投稿を目標にしているから、暇な時にでも読んでやってください。それではまた再来週。

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