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中西理のアイドル論考

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演劇ダンスなどを批評してきた中西理がアイドルについて考えてきたこと、ライブ参戦のレポートなどを掲載します。
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#演劇

ももクロ後輩らが演じる宝塚歌劇「ベルサイユのばら」のパロディ クラポの三田美吹が歌に演技に圧倒的存在感 東京やかんランド vol.3「鶯谷のばら」@東京キネマ倶楽部

東京やかんランド vol.3「鶯谷のばら」@東京キネマ倶楽部を観劇。vol.1、vol.2はライブ+寸劇というイベント企画という色彩が強かった。それでも滅多に聴けないスタプラ以外のアイドル曲を聴けるなどライブイベントとしての魅力度は高かったが、今回は宝塚の「ベルサイユのばら」のパロディの体裁を取りながら、キャストに宝塚出身の彩羽真矢を迎え、彼女に男役の所作の指導や宝塚式のメイク法など全面的に協力をしてもらう*1ことで、本格的なミュージカルといってもおかしくないクオリティーの舞

演劇と映像 二人の女性アーティストによる共同配信ライブ 宮崎企画「新作短編『回る顔』」@ライブ配信

宮崎玲奈(ムニ)は青年団演出部のニュージェネレーションのひとり。 今年1月に上演された前作 『つかの間の道』は若手の作品とは思えぬほどの完成度の高さに舌を巻いたが、今回コロナ禍で中止となった公演を受けて無観客配信となった『回る顔』も期待通りともいえる彼女らしい作品となった。 前回作品で宮崎作品をこのように評したがこれはそのまま今回の「回る顔」にもそのまま当てはまるといっていいかもしれない。 さらに言えば演劇における「表現すること/表現しないこと」に加えて、今回は映像撮影の小

愛来(アメフラっシ)が難役を好演。舞台『さよならの幕明け』(松森モヘー作演出)@中野テアトルBONBON

昨年(2020年)9月にオンライン朗読劇として一度だけ、上演され配信された作品を改作して舞台劇として上演。表題も「さよならの幕開け」から「さよならの幕明け」に変更された。 アメフラっシの愛来が出演したのが、観劇のきっかけにはなったが、贔屓のアイドルないし女優が出るものならなんでもいいということにはならなくて、特にアイドルについては経験が積みたい初舞台はともかく、演出家、脚本や座組などを考慮して出演すべきだと考えている。それでファンには嫌われるが作品が良くなければ厳し目の感想を

多田淳之介インタビュー「Perfumeとももクロ」(「アイドル感染拡大」収録)

中西理(以下中西) 今回は「ももクロ論壇」(表題「アイドル感染拡大」)という批評誌に「パフォーマンスとしてのももいろクローバーZ」という表題で論考を書くことになりました*1。ももクロに代表されるような最近のアイドルのパフォーマンスが演劇の演出家の目にどのように映っているのかが知りたくて、今回の論考にもその作品が一部紹介され、アイドルにも造詣が深い演出家として東京デスロックの多田淳之介さんに話をお聞きすることにしました。きょうはどうもよろしくお願いします。 多田淳之介(以下多田