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『ネコのドールのケープ』のこと

noteには、普段Xにポストしないような事を書きたいと思っています。
SNSはそもそも低浮上で、Xにはその日の作業と進捗などをポストしていますが、制作の裏話というか、作ろうと思った切っ掛けとか、そういう事は殆ど表に出していないので、書くならそれかなぁ……と、試しに綴ってみます。
直近で作っていたのが、『FukuokaHarbest』で委託させていただいたケープなので、まずはそのことを……

このケープを作った切っ掛けは、HeavenMonkey様からネコのドールをお迎えさせていただいた事です。ドールを採寸した数字からお洋服を作れる方もいらっしゃると聞きますが、私は手元に本体が無いとお洋服を作ることが出来ません。そして「うちの子に着せたい」と思うのが、作る動機のほぼ100%です。
HeavenMonkey様のドールは以前からタイムラインで拝見することがあって、「いつかお迎えしたい」と思っていたドールでした。
手で握り込めるほど小さいのにとても細かい造形と絶妙なデフォルメで、本当に可愛いドールです。最初にお迎えした「クロネコのドール」の名前は、私が子供の時に創作したお話、「ねこのランプ」から名付けました。

春に怪我をして突然入院することになった時に「絶対ドールを連れて行かねば……!」という謎の危機感に襲われ、外出時にほぼ鞄に入っているルチルちゃん(PocketFairy Minimay)と、ルチルちゃん一人では寂しかろうとまだお迎えしてそれほど経っていなかったランプさん、モフモフした手触りが恋しくなるだろうと自作の編みぐるみのクロネコさんを連れて行きました。
ベッドから殆ど動けない入院生活で、ドール達は癒やしでした。日々お顔を眺め、写真を撮って過ごしました。
手術が終わって動けるようになってからは、ドールを連れて大きな窓があるスペースまで行って過ごすのが楽しみになりました。
連れて行って本当に良かったです。

コロナの影響で相部屋でも各ベッドには必ずカーテンが引かれていました。
ドールを出して撮影するには好都合でした。
各ベッドからも外が見える病院なのが良かったです
大きな窓があって遠くまで眺められるお気に入りの場所

する事が殆ど無い入院生活。考えるのは「退院したらあれもこれもしたい」という事ばかりです。
その中の一つが「ネコのドールのケープを作る」でした。

ケープは後にお迎えしたオオカミのドールも共用できました。

入院中に「ランプさんのスタイルなら、簡単に着せ付けられるケープがいいな。フードがあっても可愛いかもなぁ……」などと妄想を膨らませ、退院後はリハビリに通いながら、体調と相談しつつミシンに向かいました。
我が家はランプさん以前にも立ち耳の動物ドールをお迎えしていて、お耳が付いていても被れるフードをこれまで何度も作ったことがありましたから、デザインや型紙迷うことはありませんでした。

ジンクさんはお耳が取れないタイプのドール。
この子の為に、最初のスクエアフードを作りました。

そうして作ったケープを着せたランプさんの写真をXにアップしたら、沢山の反応をいただけました。SNSには低浮上の私ですが、やはり反応を頂けるのはとても嬉しい。
そして褒められ耐性がない分、褒められるとすぐに「これ、可愛いよね? もしかして欲しいと思って下さる方がいらっしゃるかも??」となります。
我ながらとてもチョロい……

ドールメーカーが販売しているドールの権利はメーカーさんのもので、そのドールをモデルにした小物やお洋服を販売する際のガイドラインを発表して下さっているメーカーも沢山有ります。
ランプさんは個人の造形師さんの作品です。ランプさんはうちの子だけど、ランプさんに関する権利は「ネコのドール」を生み出して下さったHeavenMonkey様にあります。ランプさんをモデルにしたお洋服を販売するなら、当然そのドールの生みの親である造形師さんに許可を取らなければなりません。
そこで早速、HeavenMonkey様に「ネコのドールをモデルにしたお洋服を販売しても良いですか?」とDMを送りました。
以前necoca様の「おこちゃん」をモデルにしたお洋服を販売した時も、necoca様に許可を頂いてから販売していますが、最初にDMを送る時は本当にドキドキします。

necocaさんのネコちゃん達、とても可愛くて大好き

「いきなりこんなDM送ったりして、失礼じゃないかな。私が欲しかったから作っちゃったけど、もしもお洋服を着せる事に否定的な造形師さんだったらどうしよう……。だって、ありのままでも充分可愛いじゃん」という思いが頭の中をグルグルして、スマホの通知にいちいち目が泳ぎます。
リアルな動物ドールの場合、お洋服を着せると毛並みの表現やその動物らしい特徴がお洋服で見えなくなってしまうので、そのことに否定的な造形師さんがいらしても不思議ではないと思うからです。
有難い事にHeavenMonkey様からは快諾いただき、安心して販売する為のケープ制作に着手する事が出来ました。

「ネコのドール」をモデルに制作したフードケープはこれまでに二度、販売所で販売させていただきました。
幸いにも二度とも完売で、ケープを着せてくださったドールをタイムラインで拝見するのもとても嬉しく、制作のモチベーションも爆上がりしました。
ドールの遊び方は人それぞれ。写真を撮ったりせずに愛でる方もいらっしゃることは承知しています。不具合が有った場合は積極的にご連絡頂きたいのですが、そうでなければお好きなように遊んでいただければと思っています。(とはいえ自分が作ったお洋服を大切なドールに着せて下さっているのを拝見出来ることは、ドール服のディーラーをしていて一番幸せな瞬間かもしれません)

そんなある日、XアカウントのDMにポストがありました。
SNS低浮上だけあって、DMは殆ど動きが無いアカウントです。(何事だろう? もしかして知らないうちに何かやらかしたかな?)とドキドキしながら開いてみたら、なんとHeavenMonkey様からの「『FukuokaHarvest』での委託販売しませんか?」というお誘いだったのです!!
思いがけない事に胸が鳴りました。だってドールの生みの親である造形師さんに直接お声がけ頂くなんて、夢のような話しです。
直前のKUMUKUKU個展にも参加予定でしたが、余裕を持って制作を進めていたため、支障ないと判断して即参加のお返事をさせていただきました。
個展に納品するお洋服のミシンが一段落していたので、早速委託させていただくケープ制作に着手。ふと思いついて試作した襟付きケープも『FukuokaHarbest』で初売りしていただけたらと、急遽少数制作して送りました。

当日は素敵なディスプレイのおかげで、委託のフードケープは完売。イベントに参加することは叶いませんでしたが、HeavenMonkey様の心遣いで参加している雰囲気は味わうことができました。
改めて、販売を販売を許可して下さったHeavenMonkey様はもちろん、ケープを買って下さった方々にも感謝するばかりです。
本当に、皆さんに生かされている……と思っています。
ネコのドールのケープ、作って良かったなぁ!

ありがたいことにリクエストも頂いているので、現在受けている受注を全て納品したら、次はケープの再販を……と考えています。
襟付きのケープ、作りますね!

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