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2024/05/09 奇ではない現実こそ

・昨日は午後休を使って早く家に帰ってすぐ寝た。映画を見るために。

・ずっと気になってはいたけど行けていなかった「14歳の栞」、ついに見た。映画自体は2021年公開のものなんだけど、この作品は訳あってサブスクやDVD化が難しい作品なので何度も再上映を繰り返している。今回で4度目くらいの上映だったはず。上映している場所も少ないので県外まで2時間かけて見に行った。凄まじいバイタリティ。

・サブスク化等が難しいというのもなんとこの作品、実在するとある中学校の2年6組の3学期に密着した完全ドキュメンタリーなのだ。すごすぎる。自分がドキュメンタリーで1番見てみたいと思っていたことを完全にやってのけてしまっている。

・やっぱりドキュメンタリーで題材になるものってフィクションが入らないからこそ、作り話のように物語性のある事件だったり小説に出てくるようなアスリートや起業家の成功譚だったりになることが多い。そういう作品にはノンフィクションだからこその価値が生まれるんだけど、ただもちろん普通のフィクションにだってそういう作品はたくさんある。だからこそ主人公もいない、物語もないこの作品こそ"フィクションじゃないからこそ"の部分に迫っている。

・他人が何を考えているか、五感でどのように世界を感じ取っているかを共有することなんて絶対にできないからこそ、そこに迫りたいという気持ちからは逃れられない。この"他人"は作り話のようなシンデレラストーリーの主人公でも、ドラマのような目を背けたくなる悲劇に見舞われた人でもなく誰しもが経験して自分もそこで色々なものを感じたところにいる、いた"他人"だ。この映画はまさしくそれに迫ろうとしている。だから上映前に抱いていたような「あの頃」を思い出してノスタルジーに浸るようなタイプの映画ではなかった。

・学校のクラスという小さいながらも、れっきとした"社会"でいろんなコミュニティがあって彼女を作って一歩先に大人になろうとしている奴もいれば放課後公園で友達とゲームをして過ごしている奴もいて、小学校の頃抱いていた「プロサッカー選手」の夢が現実的じゃなくなってることに気付きながらもがむしゃらに頑張ってる奴もいる。そんな"14歳"がカメラを前に内面を見せている。それと個々にインタビューを受ける彼らが思った以上に赤裸々だったのも驚いた。内面を晒すことに抵抗がそこまでなさそうに見えた。長期に渡ってカメラが入ることでそこの警戒心とか、緊張感を少しずつ解いていったのだろうか。カメラマンとクラスメイト達もかなりいい距離感のように見えた。これを撮ろうと踏み切った竹林亮監督、すごすぎ。これを企画してそして実行に移してしまう豪胆さ。しかもこれがデビュー作(?)っぽい。


・見る前は「実在する中学生をダシに観る側に青春の追体験をさせる」みたいな、結構残酷なことをしてるんじゃないかってちょっと構えてたけど、そんな表面的なところよりももっと深い場所に連れて行かれた感じがする。


・とにかく自分含めてあの頃にいた人がたくさん出てきて、その内面に触れることができてめちゃくちゃ良かった。あと"走れ!T校バスケット部"が一瞬映った時に「14歳すぎ‼️」となった。ちょっと舐めてました。口コミから広まって話題になるタイプの映画のことをあんまり信用していない節があるので。

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