見出し画像

警視庁特別犯罪対策センター (1)

長い間投稿が途絶えてました・・・・
初めての長編を書きました。自分がやられてみたい願望が詰まったような物語となりました。
楽しんでいただけると幸いです。


 

警視庁特別犯罪対策センター

 この物語は実際にどこかで行われているかもしれないがそれを知るものは数少ない。知ってしまえばあなたは殺されるか、精神を破壊されてしまうから・・・・

暑い夏のある日、俺はある施設の前にいた。今日の取材は警視庁の特別犯罪対策センターという所だ。ホームページで探してもそういう組織があることしかわからなくて国内外のテロ組織から日本を守るという、ふわっとした内容しか書いてなかった。
取材は申し込んでみたものの正直断られると思っていたが、案外アッサリとOKが出て拍子抜けした。表向きは取材としているが、俺には本当の目的がある。
特別犯罪対策センターの内部の地図を作り組織に報告することである。

<天罰クラブ>・・・俺が所属している反政府組織で、政府からマークされている。組織のメンバーは互いに秘密で俺はボスに会ったことどころか、名前すら知らない。他のメンバーにももちろん会ったこともない。連絡はいつも暗号化されたメッセージが送られてくるので対外的には誰にも知られていないと思っていた。

唯一メンバーで知っていたのは(小林ケン)で大学時代からの友人だ。たまたま同じ組織に所属しているというのは知ったが周りにはバレないようにしている。彼もまた地図作りの任務を負ってるらしく、標的となる施設にすでに潜入しているようだ。
特別犯罪対策センターの情報は多くは分からないが、どこか別の組織で捕まったものは皆行方不明となっている。運よく見つけられたとしても、廃人のようになっており質問しても恐怖で震えているそうだ。中でどういうことが行われているのか謎に包まれている。

これまで週に1回以上は必ず連絡を取っていたがここ1か月ほど連絡がとれていない。メールはたまに送ったりしているが、
「今は忙しい。」
とそっけない返事が返ってくるだけである。そっけないのは普段もだったのでこの時はあまり気にしなかった。

待ち合わせの時間が近づいたので受付を済ませると案内の人が現れた。
「初めまして。本日はよろしくお願いします。今日案内係をしますエリといいます。」

<エリ>と名乗る女性は髪を後ろでまとめたポニーテールで背が高くてスラっとしているが、女性らしい体つきをしていた。役所系の機関であるのでスーツや制服を想像していたが、ノースリーブのサマーニットに薄手のカーディガンを羽織り、スカートを履いていた。少し透けて見える腕は少しムッチリとしていて魅力的である。

「初めまして。記者の今村リョウといいます。本日はよろしくお願いします。こういう所は初めて来たので今日は楽しみにしています。
今日はお仕事の内容、施設の紹介をして頂けたらと思います。それからエリさんの私生活なんかも少し聞けたらなと思っています。
 まず初めに<特別犯罪対策センター>というところはどのような仕事をやっていますか?」

「犯罪の中でも特に日本でテロを起こす可能性がある組織や疑いのあるものについて捜査を行っています。他には危険思想を持った人への再教育を防犯のために行っています。組織に洗脳されてやむを得ずやっている方もいるのでそういう人たちも救うのが私たちの仕事ですね。」

「大変なお仕事ですね。常に危険と隣り合わせな仕事のように思えますが・・・
男性が多い職場だとイメージしていましたが、女性の人も活躍されてるんですね。」

「外に出て組織に潜入したり、逮捕・連行するのは男性が多いですが、被疑者を捕らえた後の仕事は女性の方が多いかもしれません。犯罪者に男が多いからかも分かりませんが油断してくれるのは女性の方が多いので有利に働くのかもしれませんね。」

「そうなんですね。エリさんはどのような仕事をしてるか教えて頂けますか?」

「私の仕事は被疑者に対して組織の活動や計画について取り調べる業務と危険思想を持つ人たちへの再教育を行っています。後ほど見学時に御覧になってもらいますが、想像しているよりも少しきつめの尋問です。」

「凶悪なテロ組織ですよね?女なんかに尋問でどれくらい白状したりするものなのでしょうか?エリさんはどのようにしていますか?」

「やはり見てもらった方が早いかもしれません。これから案内しますのでついてきてもらっていいですか。」

エリに案内されて施設の地下へと下りていく。記録物は持ち込めないのでスマホを受付に預けることになった。こうなることはあらかじめ予想がついていたので、俺は服に小さな隠しカメラをつけていた。身体検査でもされなければ出てこないだろう。

 案内されている途中に施設のことを尋ねるとここは地下2階、地上2階の構造になっていて地上は事務作業や組織調査、警備、捜査を行う部署で、これから案内される地下が尋問する部署と再教育を行う部署となっているようだ。

 階段を下りていくと広い部屋があり、床と壁にはやわらかめのマットが敷き詰められていた。部屋の広さは学校の教室くらいのようだ。

「ここは被疑者を尋問する部屋になります。クッションがあるのは防音と被疑者の打ちどころが悪くて万が一にもケガをしないようにとなっています。」

「打ち所が悪くてって・・・暴力を振るうんですか?」

「尋問でなかなか喋らない人にはそういうこともしたりします。
あざが残ったりすると大変なので主に窒息させたり絞め技を使って少し痛めつけたりします。
私がよく使っているのは太ももで相手の首を絞めつける首四の字やチョークスリーパーでジワジワと絞めていって恐怖を感じさせます。
もちろんみんな逃げようとしますが、その時はお腹も脚で抑え込んで胴締めスリーパーの体勢になっちゃったりすれば絶対に脱出できません。」

「またまたそんな大げさに・・
俺だったらいくら強いとはいえ女の力なんだ。エリさんより背は低いかもしれませんがスポーツをやっていました。抜けるのは簡単だと思いますよ。」

「自信がおありなんですね…みんな初対面の時はそう言うんですよね…
私はそういう生意気な子を拷問するのがすごく好きなんです!
ちょうどこないだ捕まえた子を撮ったビデオがあるんでリョウさんに観てもらいたいです!」

そう言うと教室の隅にあった取り調べ用の机の中からパソコンを取り出し、一本の動画を再生した。映し出されたのはどうやらこの部屋でエリと1人の男が映っていた。


ここから先は

12,689字

¥ 500

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?