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R5司法試験・刑法の話

 おはようございます。刑事系に入ります。画像はやったことはありませんがMTGのカードです。ピッタリでしょう笑


〜試験開始前〜

 「刑法は一番苦手意識があるんだよな・・・過去問でも数年に1回1つ罪丸ごと検討し忘れるとかやるし(例H24の背任),この科目だけは答案構成しないと無理」

 ロー基幹は2つとも75点・76点のギリギリBでした。考えられる理由としては,ロー3年次に過去問演習を始めるまでまともに「事実を引用して評価する」ということをしたことがなく,ただ論点を列挙してるだけの答案になっていた+刑法は早期からある程度仕上がっている人も多いため,民事系と違ってその場合に大きく沈んでいたからではないかと分析しています。
 したがって,当てはめ力を自分なりに磨いてきた試験当時なら決して沈む科目ではないとも考えていましたが,やはりそれを評価する数字がない以上苦手意識を払拭することはできませんでした。


〜試験中〜

設問1

 「絶対これYSTK(弊学教員)が問題作っただろ,遠い昔(入学した年の4月)にこんな感じのソクラテスあって意味わかんなかったの思い出すわ。」

 「まずは実行の着手の定義高速詠唱して・・・,確か授業ではクロロホルム事件の基準使って色々当てはめさせられたからその筋に乗ってみるか。」

 「消極的要件としての③時間場所近接性はまあある程度雑に放っておいて,①必要不可欠なのも間違いないから②特段の障害の不存在,つまりどの段階で自動確実に手放しで危険が発生する段階に至ったか,これを丁寧に検討する姿勢を見せよう。2回目の電話があって金下ろしに行くんでしょ,こんだけポスターある現代社会でそんな大金をいきなり高齢者が下ろしにきたら一旦従業員がちゃんと詐欺じゃないか確認するよね,ここまではこのそれなりに発生可能性の高い障害事由で危険が高度にはなってないでしょ。ちゃんと帰ってきて電話向こうからかけるのを受けた5の段階!」

設問2

 「ん〜,先に設問3片づけたほうがいいな,そっちからやろう」

〜設問3後〜
 「まず乙と丙から。なるほどな,(強盗とか定義当てはめ小銭稼ぎしながら)病院で医者の言うこと無視して治らず死んじゃったよに因果関係認めた判例のオマージュか。危険の現実化説で事実引用しまくって丁寧に書けば余裕やろ。」

 「やばい甲時間ない!!!!!!あぁぁぁぁぁぁぁまず共謀の射程は行為態様違いすぎる否定!!!!新たな共謀も何も知らされてないんだからなし!!!!!尤も設問1で書いた通りこっちは成立!終わり!!!!!(残り2秒)」


設問3

 「はいはい趣旨規範本で見ましたよ。通説だと両方に成立しなくなっちゃうよねって書いた後にその批判として偽計には強制力じゃ対処できない,わけて考えるべし!終わり。」
 「まあこの考え方,威力と偽計を明確に分けられるのかっていう再反論あるけど,自己の見解を問うものではないってのは説明さえすればそこまで書くことを求めてないって意味だろ,要らんいらん。」


〜感想〜

 「こんなもんやろな」です。後から他の方々の答案を見る限り,設問1でクロロホルム処理をした方は少数派なようですね(他にもいることは確認しています)。そもそも設問1の元となった判例を知らない(基本的知識の不足)ので,その中では逃げ切りの答案を作ったのではないでしょうか。ちゃんと規範立ててその通りに事実拾いながら当てはめたら沈まないでしょう,そもそもYSTKがそう解説してた(気がする,覚えてない)のだから。
 設問3を一定数権力性かどうかで分けているのに終始している答案が相当数あるのは驚きました。確かに,偽計で邪魔したのはお縄に付ける行為そのものではないかもしれませんが,「逮捕」で権力性はある行為の一部なのではないかなぁ。現場でも一瞬迷いましたが,わざわざ「偽計」「威力」に争いはないみたいな明らかにその差に触れてほしい誘導からしても,学説問題な以上そうだろうと思い深入りすると危険だと割り切って自分の筋に進んだ記憶があります。
 設問2で強盗の機会とする説があるのにも驚きました。私は全く思いつきもしなかったし,上記判例のオマージュとしか認識できなかったので,因果関係筋が多数派とは思います。甲の検討が薄くなったのはもうしょうがない。形式的途中答案を避けられただけでも良しとしましょう。

 総合としては,刑法は相対的なレベルが高い傾向にあるので,高得点は期待できませんが,一方で流石に合格ボーダーらいんよりは沈んでないのではないでしょうか,論点には間違いのないように触れているつもりです。分量も1行約35文字で6枚フルくらい,平均的な人の8枚目突入くらいです。

 ご覧いただきありがとうございました!次は,この試験上最大のやらかしを決めて短答のアドバンテージを全部補填しなければならなくなった刑訴法です。刑訴,ご期待ください・・・!


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