あの店には誰とも行かないで。
「あの店には誰とも行かないで」別れ際に彼女が僕にそう言った。もちろん僕もそのつもりだった。僕と彼女との思い出の場所だったし、彼女以外の誰かと行くことも僕一人で行く気持ちもなかった。
「最後にもう一度行かないか」僕は彼女を誘った。あの店のお父さんとお母さんにはお世話になったから。そう言って二人で店に向かった。いつもなら彼女は僕の腕に手をまわしたが、それももうなかった。
店ではいつも通り僕も彼女もコーヒーを飲み笑って話をし店のお父さんとお母さんの顔を見たりした。
「なに泣い