眺めてすごす


眺めてすごす      しま・しましま


わたしでなければいけない訳ではないだろうが求められればうれしい 差し出す

受け取ってしまったレシートで爪をみがく見えるきれいは大切だから

いますぐにつよくなりたいカフェオレ味のビスコやわらかくやさしいあまさ

そうか君はそういうやつだったんだなと言えばくすぐったそうに君はわらった

先に泣いた方が勝ちだよ天才子役の演技バトルのような愛だよ

冬の日はすぐにかたむき荒涼とベッドの上の影を濃くした

鏡の気持ちはわからないけど鏡を見れば寄り添うつもりがあるのはわかる

パンが無くケーキはあるがたいがいはひとのケーキで眺めてすごす

うどんってお腹にたまる みっちりと重なりあったうどんのわたし

眠るときはひとりでいたい目が覚めて少し寂しいことも嬉しい

しまい忘れた貝風鈴はかすかな風にも痛みを思い出したように鳴る

ランチタイムの小さな祈りくし切りのオレンジあまくありますように

温風の送風口に手をかざす推定知人にそうするように

犬のためペットボトルに水を汲む人を公園で見て帰りはスキップ

ここはだれかに石をなげたことがある人だけ降りれる駅 次は終点

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