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Official髭男dism「Editorial」を語る①

「伝えたい だけど語れない」

「Editorial」はこの言葉がよく似合うアルバムだ。このアルバムを語ることは容易ではない。だからこそ、この機会に自分なりの言葉で話そうではないか。ただ、今回は①として、楽曲自体に注目するというよりは、このアルバムが制作された背景や意味にフォーカスしようと思う。

この時代に「Editorial」が放たれるということの意味

「Editorial」を制作するにあたって(制作の初期段階ではまだこのタイトルも決まっていなかっただろうが)、ボーカルの藤原聡はメンバーにこのように言った。

「やりたいことをみんなやろう」

ヒゲダンを、そして彼らの音楽を愛してくれる人がたくさん居るからこそ、今回のアルバムではセールスとか大衆性とかをひとまず横に置いて、自分たちがやりたいことを念頭に置いて制作したという。それ故に、この「Editorial」はこのコロナ禍においてとてつもない意味を持つ作品となるのだ。ひたむきに音楽を届け続けるヒゲダンがこのタイミングでこのアルバムを世に放つその「意味」を、この記事で改めて紐解いてみよう。

Official髭男dismとコロナ禍

このアルバムを語る上で、絶対に避けて通れないのが「コロナ禍」である。2020年、未曾有のウイルスによって世界の様相は一変した。よって様々な業界が影響を受けた。その中でも特に大きな打撃を受けたのが音楽業界である。オーディエンス達にライブを届けることができない、これはアーティストたちの生命線を断たれた、という風に言い換えることもできる。Official髭男dismも例外ではなかった。2020年3月から開催予定だったツアーが中止となり、2020年に予定されていたFCツアーも幻となってしまった。ただ、彼らは自分たちの音楽を待ってくれている人たちに音楽を届け続けた。オンラインライブ、そして音楽番組での1時間スペシャルライブ、、現時点で何ができるか考えながら懸命に音楽を届けた。だがその過程を経た彼らの心には、達成感とともに消化しきれない何かが残った。やりきれない思いばかりがヒゲダンを苛んだ。ただ、感染状況を無視することはできない。その中で彼らは、無我夢中になってもがいた。そんなもがきの中で、彼らはHELLO、Laughter、パラボラと言った名曲を立て続けに送り出した。そして時は2021年6月。様々なリリースを経て彼らは実に1年4ヶ月ぶりとなる有観客ライブを開催した。待ちに待った、オーディエンス達との再会である。そしてそのライブで、ついにあの発表がなされた。

「8月18日 Official髭男dism Major 2nd Album   Editorial   発売決定」 

この1年4ヶ月の、いやもっと長い期間における彼らの活動、そして藻搔きの集大成とも言えるアルバムが誕生したのだ。きっとこの時、彼らの心はついにこのアルバムを届けられるという喜びと感動で埋め尽くされていたことだろう……

「Editorial」が持つ意味

さて、ここでもう一度今回の記事の大元に立ち帰ってみよう。「Editorialが持つ意味」である。それは僕が思うに「感情の共有」である。このコロナ禍において、悲しみや苦しみを味わずにここまで来た人なんてきっと居ないだろう。僕だって、ヒゲダンだって、この記事を読んでくれる画面の前のあなただって、コロナ禍における何らかの悲しみを経て今があるはずだ。「Editorial」にはその悲しみがこもっている。決して全部がポジティブなアルバムではない。だからといって、全てが物悲しいわけでもない。でもそれで良いのだ。それは結果的に、リスナーとヒゲダンが「多種多様な感情を共有」しあうことにつながるからだ。このアルバムは「今のヒゲタンがやりたいことを念頭において作り上げたアルバム」である。大衆性とかは横に置いて、本当にヒゲタンの音楽を待ってくれている人に届けたいという思いのもと作られた。そしてリスナー側も、彼らの音楽をずっと待ち望んでいた。これは「ヒゲダンが今、本当に届けたい音楽」と、「リスナーが今、最も待ち望んでいる音楽」が合致したとき、この「Editorial」は「感情の共有」という名の意味を持つのだ。その証拠として、多くの人々が「Editorial」に胸を打たれ、収録されている名曲たちと様々な感情を共有しているのだ。そんなヒゲダンは今、自身最大規模のツアー「Official髭男dism one-man tour 2021-2022 -Editorial-」の真っ只中だ。音源だけではなく、歌声、楽器の音色、表情、雰囲気、、生のライブでしか体感できないものを体感しながらこのツアーをオーディエンスとともに勧めている。そんな彼らのライブに関しては、下の記事で紹介しているためこちらもぜひ。

ということで今回はOfficial髭男dism「Editorial」を制作された背景から語ってみました。長々とお読みいただき本当にありがとうございました。次回は楽曲に注目して語ってみようと思いますので、そちらの記事も読んでいただけると嬉しいです。では、また。


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