2024/7/7 チェロのコンサートメモ

日本チェロ協会のシュタルケル生誕100周年イベントで、マスタークラス~バッハ無伴奏全曲コンサートという優雅な1日を過ごしてきた。
備忘録がてら振り返ってみる。

マスタークラスは、バッハ無伴奏6番プレリュードとブラームスのソナタ1番だった。
バッハでは、先生が「バッハはLEGOのように組み立てる」的な話をされ、構造を理解して音楽を組み立てていくことの必要性を説かれていた。そして、生徒さんが演奏するときにベース音を弾かれていた。変わるポイントがわかりやすくなり、構造が意識しやすくなるのか、アレはめちゃめちゃ弾きやすくなる。
なんで私ごときがそんなことを思うかといえば、私も過去に、同じことを私の先生にやっていただいたのである。バッハ3番プレリュードでのことだった。
ちなみに3番の後に4番をやろうとしたのだが、私の先生は「4番はどう解釈すればいいのか確信が持ててないし、F(先生の先生)ですらよくわかんないって言ってたからねぇ」とおっしゃり、立ち消えてしまった。
ブラームスでは、ピアノとの絡みを意識したアーティキュレーションについて提案されたりしていた。ちょっとしたことでものすごく変わり、とても興味深かった。
ところでマスタークラスを見ていて思ったのだが、先生方はふたりとも教えて「あげる」ではなく、提案の形を取っている印象だ。生徒さんのレベルが高く既に完成されているからか、プロになるならてめぇで頭を使えい! ということなのか。
知らんけど。

その後のコンサートは、本当に来て良かったーーー!!! と思った。
堤さんの1番に始まり、4番(ボウイングの軌道が不思議すぎたので、先生にきこうメモと書いてある)。休憩を挟んで5番……では弓のフロッグが外れる(たぶん)事件を物ともせずに豊かな音で語り上げ、3番はクリアな音で「私はこう思う!」というバッハを提案された。
ちなみに3番を演奏したマルク・コペイ、他のバッハについても解釈が知りたくなってCDを買いに行ったら、売り切れていた。ききたいよね~~~わかる!
休憩後は2番だった。この2番に、めちゃめちゃ癒やされた。前の3番がけっこう「こうなんだ!?」と感じさせられて刺激が強かったことの反動かもしれない。
なんというか「なぜバッハはこの音にしたんだろう」と音楽にたいして誠実に向き合い続けていらしたんだろうなぁ……と感じさせる音楽だった。知らんけど。
というか、今回演奏された皆さまが音楽に向き合い続けてきた方ばかりに違いないのだが、いやもう、この2番が大好きになってしまった。
最後は6番である。マスタークラスでバッハ6番を教えてらした先生が、6番を演奏した。
どのように音楽を構築しているのか、プレリュードだけとはいえご本人の口から語られたものを、「はい、こうです」と言わんばかりに提供されるのである。
最高か。
そしてアンコールでチェロ六重奏の鳥の歌を演奏していた。
もう言葉がない。来て……よかった……!

余談だが、このコンサートのS席5000円、A席3000円だった。もう3000円ずつ足してもまだ安いと思うのだが、どうなんだろう。
手が届きやすいのは嬉しいが、あまりに安くすると、これから売り出していくような音楽家たちのチケットも売れにくくなるだろうし、そのあたりのバランスも鑑みていただければなぁと思った。
あと、素晴らしい先生たちが夏休みに子供たちに教えるイベントがあるそうだが、そのときは先生方も手弁当でいらっしゃるそうだ。そういうところにもお金を回してほしいなと、いちファンとして思う。お年を召した先生も多いので、手弁当の方が都合が良いということもあるのかもしれないけども。
あ。もちろん、学生さん向けに学生券は用意してほしいです。

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