ミニチュアストーリーテリング覚書③

今回は、前回考えたキャラクターを使って実際に物語を作ってみよう。それにあたって物語の大枠を考える。考える事は大体6つあるんだけどひとつづつ。

①いつの話か?
物語は昼間なのか夜なのか?大昔の話なのか今現在の話なのか?

②どこで?
物語の舞台はどんな場所だろう?迷宮や牢獄の中だろうか?街や村の中だろうか?森や平原、ひょっとしたら海の上だったりするかもしれない。

③誰が?
多くの場合は主人公となるキャラクターがここに当てはまるだろう。ただ、1人とは限らない。他のキャラクターやモンスターなどもここに当てはまってくる。

④何を?
キャラクターやモンスターは何をするのか?戦うのか?話合うのか?寝ているのか?

⑤何故?(理由は何だ?)
キャラクターやモンスターはどうしてそれをするのか?例えば戦うにしたって、相手が襲って来たからなのか、復讐の為に自身がしかけたのか、それとも何かの使命を受けているのか?

⑥どうやって?
これはキャラクターやモンスターが何かをするにあたっての実際の手段など。

概ねこのくらいだろうか。考える順番は番号通りでなくていい。とりあえず考えやすい順番で。どうだろう?「随分色々考えるんだねぇ。」って思っただろうか?

安心して欲しい。全部を事細かく考えたり説明しなくても大丈夫。

『昔話』を思い出して欲しい。「むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがおりました。」って始まるやつだ。物語はこのくらいで充分成立する。
本格的に文章を書くとかだと結構難しい話があるのだけれど、今は何となくで良いから考えとくと話を進めるのが楽になるお守りみたいなものだと思っておけば良い。

勿論、詳細に考えたければいくらでも詳細に考えて良い。人によっては地図を書いて世界を丸ごと作り、歴史を考えて年表を作る人もいるんだ。考えたければどれだけ考えても良いしきっと素晴らしい世界と物語が誕生するだろう。ただ、それがミニチュアストーリーテリングに必須というわけではないというのは知っておいて欲しい。

ひとつのシーンを描いてみよう

物語の大枠も決まったら、今度は実際の物語の1シーンを描いてみよう。とりあえず難しく考える必要はないので、まず例を見てほしい。

ドラウプニル「こりゃレギンッ!奴ら追いかけて来るぞ!!」
レギン「だから私はやめましょうって言ったんですよ!!いいから走って下さい。」
ドラウプニル「儂ぁ走るのは嫌いなんじゃ!年寄をいたわれ」

さて、例では『今、ドワーフの魔術師師弟が石畳の通路でスケルトンに追われ、走って逃げている。』ところで例の中で『スケルトン』という言葉が出て来ただろうか?あるいは『石畳の通路』と言葉で語っているだろうか? 結構重要な事を言葉で語っていないのだけど、それでも何となく伝わるのは何故か?一言で言ってしまえば

ミニチュアが語ってくれるからだ

言葉による詳細な描写がなくても、それらしく並べたミニチュアと情景モデル(今回は石畳のタイル)が、読み手の視覚と想像力に働きかけて状況を説明してくれるのだ。
ミニチュアストーリーテリングだと『誰が?』の部分は大体ミニチュアが勝手に説明してくれると思って良い。ちょうど良い情景モデルが用意出来れば、『どこで?』の部分もごく簡単な言葉で説明できる場合が多い。
実際、今回の例でもミニチュアと情景モデルの配置からだと読み取りにくい、その他の部分をキャラクターのセリフという形で補足しているだけなのだ。

こんなふうに1つのシーンが描けるようになったら、あとは同じ事の繰り返しである。
別のシーンを描き、それらを順番に組み合わせていけば良い。ここで大事な事を言っておこう。

いっぺんに物語の全部のシーンを描く必要はない。

全てのシーンを描き出し、完全な整合性で並べた大長編は素晴らしいかも知れない。
でも物語の特徴的な1シーンを切り取って描くだけで、それは充分に人の想像力を楽しませてくれる。
というわけで僕は、最初はお気に入りの1シーンだけを描いてみる事をお勧めする。その気になれば後からいくらでもシーンが足せるんだから大丈夫。

さて、今回は分量が多すぎたのでここまで。次回は今回はほんの触りだった情景モデルと小物の話をもう少し出来たらと思う。
#メタルストーリー
#オールドスクールファンタジーミニチュア

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