水の底の珍客
水によって外界と隔てられ、悠久の平和を保ってきた海の王国。
だが、人魚の姫アレクシアは、訪れるものもなくなり朽ちた神殿の傍で、かすかな変化の兆しを感じていた...。
海の王家は未来見の力を代々受け継いでいる。その力が彼女に語りかけたのだ。
とはいえ、未来見の力は不安定で全てをハッキリと示すとは限らない。たった今、彼女の感じた兆しも良きものか忌むべきものなのか...。
今回の予兆はすぐさま形を持って現れたようだ。近衞隊長のグラコスが配下を連れてやって来る。
グラコス「姫さま!やはりこちらにおいででしたか!!」
アレクシア「まぁ、グラコス!ここへは来ないでと言っておいたのに!!私も一人になりたい時もあるのですよ...。」
グラコス「で、ですが、姫さまを訪ねて使者が参っております!至急王宮へ。」
アレクシア「やむを得ないですね...。急いで戻りましょう。」
アレクシア「ところでグラコス、使者とは何処から?」
グラコス「それが姫さま、奇妙な風体の二人組でして、何とご説明したものか...。それ故に姫さまの瞑想のお邪魔をしてまで参じた次第でして。」
アレクシア「...。なるほど、良い知らせだと良いのですけれどね。」
突然の使者とは何者なのか?その目的は何なのか?王宮への帰路を急ぎつつ、人魚の姫は、これから始まる事態への不安と期待に揺れ動いていた。
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