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星のかきかた

一筆がきの星、自分がかけるようになったのは、幼稚園の年長だった頃だろうか。
私は、一年しか幼稚園にいってないので、幼稚園の記憶はイコール年長のときと確定する。
当時としても小学校入学前の在園一年というのは比較的めずらしく、なんとなく友達の輪に入るのに苦労した思い出がある。

紐をちょうちょ結びにする方法は、しかけ絵本を使って母が教えてくれた。
こちらは確か入園前で、結構難しいなと思った。靴をはくのに必要だから、事前に一生懸命に教えてくれたのかもしれない。

星をかきたいと思ったのは、クラスの友達がすらすらと星をたくさんかいていたからだったと思う。
一筆書きの星をかくのは難しくて、友達のまねしてかいてみても折り畳まれた針金みたいになる。
母が丁寧にかきかたを教えてくれて、ひとりで出来た時はうれしかった。
友達の家に女の子四人くらいで集まって絵をかいていたときに、
「これ、かける?」
と、自慢した覚えがある。かけない子もいたから、教えてあげた。

年中のまりが最近、熱心に星をかく練習をしていた。
姉のすずは絵を描くのが好きなので、
「私はかけるよー!」
といって、妹に見せてやる。
そんなこんなしていたら、まりも星をかけるようになった。
彼女も、私がそうだったみたいに、誇らしい気持ちなんだろうか。
なんだかうれしくて「よかったねぇ」と何度も言った。

そうしたら得意げに、「こうかくんだよ!」と説明してくれたのが、自分のかきかたと違ってびっくりした。

そもそも、一筆がきじゃない!

でも安定してかきやすい、賢い方法って気もする。
すずが教えたのかな? と予想しながら
「このやり方、どうやって知ったの?」
と聞いたら、
「ママがお風呂で鏡に星をかいてくれたでしょ! それでわかったの!」
と、言った。
私、そんな風に書いてないから、びっくりした。

「ママが教えてくれたの!」
と、満面の笑顔で言うから、違うっていうのもなんだかなぁと思えて、
「でもママ、ただかいただけで、説明なんてしなかったのに、自分で見つけてすごいねぇ」
と、本気で驚いたまま言って頭をなでた。
誇らしげな顔をするまりをみて、なんだかしんみりする。

一方すずは、「違うよ! これが星だよ!」と、漢字の「星」を押し出してくる。

こっちもいい星だ。休みの日に漢字を書いて遊んでくれるなんて、お母さん嬉しいぞ。

A4いっぱいの星空は誇り

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