葬祭ディレクターが書く冠婚葬祭のお仕事 ④レアケース


人が亡くなるのはいろんなケースがあります。

今回のお話は、今から約五年前に経験して、amebaの限定記事にアップしたものです。

内容がグロいので、苦手な方はスルーしてください。





事務所で電話が鳴りました。事務員さんが他の電話に出てたので、受話器を取ると死亡連絡でした。

「身内が亡くなりました。故人はアパートで一人住まいです。いわゆる孤独死という形で、遺体の腐敗が酷いんです。そちらで葬儀をお願いしたいのですが、、、」

DNA鑑定をするという説明を聞き、ちょっと流れを考えました。警察の検分が終わったら、腐敗が酷いとなると、葬儀前に火葬して「骨葬」という流れが一般的。

それらの流れを一通り説明して、警察に故人様を迎えに行く日時が決定したら改めて連絡をもらうことにして電話を切りました。

三日後、電話連絡を受けて、棺を車にのせて、警察の霊安室へ故人様をお迎えに。

「かなり腐敗は進んでますか?」

「そうだねぇ、見てられないねぇ。納体袋からは出さないほうがいいよ。って言っても、袋を喰い破って出てきてると思うけど。」と、刑事さん。

故人様を保管してる冷蔵庫の扉を開けると、無数のハエが飛んできました。

通常なら納体袋は茶色や黒で、ファスナーを開けて遺族に顔を見てもらうようになってるけど、冷蔵庫から出てきた故人様は透明の納体袋に収まってました。

遺体の状態の悪さに絶句…

二人の刑事さんはハエを手で払いながら、キンチョールをシュー。

人間ってこんなになるのか、、、と思うくらい、無数のウジで身体が隠れてます。

唯一、何故か足の裏だけにはウジが少ししかおらず、真っ黒に変色したそこだけが見えました。

納体袋の上に白い布をかぶせて、その袋のまま棺に納棺。

フタをしてガムテープで目張り。

書き忘れてたけど、肉が腐った悪臭が霊安室の室内に充満。

刑事さんがキンチョールしまくったので、床には無数のハエが転がってます。

孤独死って、こんなに悲惨なことになるんだと、改めて思いました。

遺体を放置してたらミイラになるなんてのは、いろんな条件がうまく重なった状態でのことで、放置してるとウジがわいて最終的には骨になります。

よく、近所で異臭がして、ひとり暮らしのお年寄りの家を確認しに行ったら亡くなってたというやつ。


十一年務めましたが、ここまで酷い腐敗は最初で最後の一件でした。



次回は、滅多に経験することのない葬儀。

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