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これまでの結果実績から血統背景を改めて考察し今後を考える ~アンテロース編②~

こんにちは。silencebitです。近日公開といいながら急な仕事対応で遅くなりました。
今回は第2回です。
※1回目はこちら
これまでの結果実績から血統背景を改めて考察し今後を考える ~アンテロース編①~

アンテロース Anteros(JPN)  牡馬4歳
馬主名 (株)インゼルレーシング      調教師名 岡田 稲男(栗東)
生年月日 2020年2月18日   毛色 鹿毛
戦歴(2024年2月末現在) 1勝クラス(14戦1勝)


インゼルレーシングの4歳牡馬、アンテロース号に出資。
4歳春を無事に迎え、1勝馬として奮戦してくれていますが、ここで改めて答え合わせ的に血統分析をして、今後どのような活躍をしていってくれるのか考察検証してみようと思いました。
自分の拙い競馬知識と考察が主体の主観になりますが、ブログで展開したいと思います。
(あまり突っ込まないでくださいね笑)

全5回程度の連載でいきます。
今回は第2回目。
尚、掲載しているデータおよび写真に関しては、インゼルTC様より許可を得て掲載しております。

【5(6)代血統表】

5代内クロス
サンデーサイレンス(USA):M3×S4 ノーザンテースト(CAN):S5×M5 Lyphard(USA):S5×M5

改めて、
本ブログのコンセプトは、自分が出資する際に血統背景等を検討し、どの様な競走馬になるのかイメージしていますが、それが現状と比べて、良きにしろ悪しきにしろイメージの違いを修正し、今後さらにどのような活躍馬になっていくのかを、おもに自論の血統考察ベースで検討していくものです。
血統ベースとは、父系、母系、クロスやニックス、隔世遺伝による影響等を、自己流ですがそれぞれを掘り下げるものになります。
(自己流自論なのでなにぶん、ご了承を m(_ _)m )


2. 母系について

前回の父系に続き、今回は母系ボトムラインを一通り追ってみたいと思います。

2-1  ファミリーナンバーについて

ファミリーナンバーは、F2-n。2号族として大きくみれば、古くはノーザンダンサー、シーバード、マイスワロー、セクレタリアト、アレッジド等がおり、日本競走馬ではディープインパクト、ロードカナロアもこの牝系に属します。
F2-nとして代表は、ジャスタウェイ(近親)、アストンマーチャンがいます。極軽系で、かるい走りをするのが特徴です。

2-2 牝系各馬の解説

5代血統表のさらに先祖から各馬をみてみると、ボトムラインの源泉を見出すことができます。

まず、アンテロースからみて7代母にあたるBlue Burst(USA)。
この馬はSir Gallahad3×4(18.75%)と、Blue Larkspur(USA)の2×3!(37.5%)と、非常に濃い血をもちます。
また、6代母(Double Wiggle母)Blue Double(USA)は、クロスでBlack Toney5×5(6.25%)と、先代から薄めた形となるSir Gallahad4×5(9.375%)、Blue Larkspur3×4がありますが、この他にBlue Larkspurの3/4同血のBalladierも入っているため、Blue Larkspurが3×4≒×4(約23.4%相当)とみなし、かなり濃い血量になります。

・Sir Gallahadサーギャラハッド (ジャックルマロワ賞等。種牡馬として北米リーディングサイアーを4回、同チャンピオンBMSを12回獲得)
Black Toneyブラックトニー (大種牡馬。産駒は早熟スピード馬多数)
Blue Larkspurブルーラークスパー (米国1929年年度代表馬。殿堂馬。BMSとしても114頭のステークス勝ち馬輩出)

両馬とも競走成績はこれといって残せなかったようですが、こうした名馬の濃い血量が、後の子孫に多大な影響を及ぼすことになります。
(※すなわち、4代母シャロン(GⅠCCオークス勝ち)や、3代母シビルの産駒ジャスタウェイ(ドバイDF等)らといった活躍馬の源泉と考えられます。)

5代母母母母母Double Wiggle(USA)は、現役時代は7戦2勝。近親から重賞級の馬は出ていません。
インブリードはBlue Larkspur4×5ですが、Blue Larkspurの3/4同血のBalladierも5代目にいるので、4×5≒×5(約11.7%相当)とみることもできます。

このDouble Wiggleに、これまた地味的な種牡馬Mo Exception(ドンH(当時GⅡ、現在の世界最高賞金レースペガサスワールドカップの前身)勝ち、GⅠメトロポリタンH(8F)2着等、60戦11勝)を付け生まれたが、4代母母母母シャロン。なんとGⅠのCCA(コーチングクラブアメリカンオークス)勝ちやGⅠ2着3回など16戦7勝の抜群の戦績を残します。5代インブリードのない血統ですが、祖母Blue Doubleらが非常に濃いインブリードをもっていたので、ちょうど良い塩梅で良血が薄まり、競走馬として好影響をもたらしたと考えられます。
Double Wiggleはこの母母母母シャロンのほか、その半弟となるトーヨーレインボー(GⅢ中京記念、マイルS3着等、種牡馬)や、半妹エターナルビート(15戦3勝、GⅢクリスタルカップ2着。フォーエバーモア(GⅢクイーンC勝ち、阪神JF3着)の母)らを産んでいます。

4代母母母母シャロンは競走馬引退後は北米で繁殖入りしていましたが、Wild Againワイルドアゲイン(第1回BCクラシック優勝馬)を種付け、受胎した状態で日本に輸入されることになります。
そして誕生した第2仔が、3代母母母シビルです。
インブリードにNearco4×5、Native Dancer4×5、Hyperion4×5と、非常に優れた種牡馬のクロスを複数もつのが特徴。

・Nearcoネアルコ (ナスルーラ、ニアークティック(Northern Dancerの父)、ロイヤルチャージャー(Turn-toターントゥの父)らの父)
・Native Dancerネイティヴダンサー (生涯成績22戦21勝、唯一の敗戦がケンタッキーダービー2着。Mr. Prospectorの直祖父。BMSとしてノーザンダンサーなどを輩出)
・Hyperionハイペリオン (6度の英リーディングサイアー)

シビルの競走成績は5戦0勝と良血父母との仔の割に奮いませんでした。一族の濃すぎる血統をDouble Wiggleでアウトブリードにより薄めましたが、Nearco、Native Dancer、Hyperionのインブリードで再び血が濃くなり、バランスの悪さから競走成績を出せなかった理由かなと考えます。
(※しかしこれら潜在的な血の力は、「世界一」の競走馬となったジャスタウェイ(父ハーツクライ)を誕生させることになります。)

シビルの配合相手はさまざまな種牡馬から計5頭が誕生しましたが、結果的には日本調教馬として史上初めてワールド・ベスト・レースホース・ランキングにおいて単独1位となったジャスタウェイと、母母となるスカイノダン以外はこれといった競走成績を残した仔は出ていません。(※濃すぎる血から構成された血脈は、どうしても産駒の不安定さがありますね。)

そしてこのシビルに短距離馬サクラバクシンオーを付けて誕生した第2仔が、2代母母スカイノダン
血統的にはNearctic4×5、Hyperion5×5、Lady Angela5×5をもちます。とくに名牝Lady Angelaのクロスは俊逸。
競走馬として24戦4勝でGⅢ北九州記念2着等の戦歴を残しました。バクシンオーの血が強く主張したのか、短距離馬として活躍しています。

・Nearcticニアークティック (Northern Dancer、ノノアルコ、Icecapadeアイスカペイド(産駒にワイルドアゲイン)らの父)
・Lady Angelaレディアンジェラ(牝) (
Northern Dancerの母)

母母スカイノダンに日本競馬の至宝ディープインパクトを付けて誕生したのが、母シャブリ。410kg代の小柄な体格ながら中央・地方を走り7戦しましたが、未勝利に終わっています。
Northern Dancer5×5のクロスがあります。

シャブリからは本馬アンテロース(父モーリス)のほか、第1仔に半兄ファイブジー(父ルーラーシップ、地方転入)、第3仔に半妹ビーグラッド(父エピファネイア)が誕生しています。

2-3 母系ボトムラインの特徴

先祖から母シャブリまでのボトムライン流れの特徴としては、以下が挙げられます。

  • 6~7代前で一流馬の濃いインブリードが複数ある

  • 2~3世代前で世界的良血のインブリードが複数頭分存在する

  • Northern Dancerの血が直近から母系に組み込まれるものの、インブリード効果には注意が必要

6~7代前では強い近親配合、2~3世代前では複数クロスが介在と、タイプは異なりますが濃い血量配合が見られます。
濃すぎるインブリードは健康面や競走能力の点で劣性な一面を出す可能性が高いですが、反面、数世代子孫の代で隔世的に爆発的な"血脈の力"を発揮する底力を秘めていることがあります。
ジャスタウェイの活躍は、その最たるものでしょう。
代々確実に走るといった良血ファミリーではありませんが、世界に通用する十分なポテンシャルをもつ一族だと言えるかと思います。

そして(万能ともいえる)"Northern Dancerの血"の構成について。
Northern Dancerといわずその父Nearcticの血は、4代先のWild Again経由で3代母シビルから初めて取り入られました。Northern Dancerそのものの血はサクラバクシンオー経由が初で、2代母スカイノダンからです。
母シャブリではディープインパクトからLyphard経由のNorthern Dancerがさらに入りましたが、いずれにせよ既に5代目に位置する存在。
こうしてNorthern Dancerの血が組み込まれても、産駒は「(5代)血統表上ではNorthern Dancer繰上げで消えてしまいクロス効果を頼れず。その仔ら(Lyphard、ノーザンテースト)のクロスの影響を期待することになる」といった点が特徴でしょうか。
本馬でいえば、Lyphard、ノーザンテーストのクロスが影響してくる形となるので、その効果を把握しておくことが重要になるかと思っています。


とりあえず今回は以上まで。
父系、母系の解説が一通り済んだので、次回からは、父母を交えたクロスやニックスなどを、自論になりますが推察していきたいと思います。
近日公開予定。
ではでは。

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