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帯という幻想

競馬では、100万円以上の払い戻しを俗に「帯」と言います。
100万円以上の払い戻しは100万円ずつ帯封されるからでしょう。

今回はその「帯」について、思うことを述べます。
 


帯に関する基礎知識と分析

競馬を始めた人間にとって、帯(=100万円以上の払い戻し)を得ることは憧れであり、年間収支プラスほど身近ではないにせよ、人によっては1つの目標となりえます。

私も競馬を始めた当初から、いつか大きい馬券を当てて帯を得たいと熱望していました。自覚は「意気込み」でしたがその実は「欲」です。

初めてその払い戻しに届いたのは、馬券を買い始めて8年目のことでした。仕事等の影響で馬券を全然買わない期間がポツポツと数ヶ月ずつあったことを考えれば、早くはないけど及第かなと手前味噌ながら感じます。
 

帯の払い戻しになる馬券は、払い戻し機では払い戻しされません。
入れてもすぐ戻ってきます。
払い戻すためには券売機の中の人を呼んで馬券を渡し、イベント用吊り下げ名札のような番号札を貰います。その後呼ばれて受け取り完了です。

帯封された100万単位と残りを、JRAの封筒に入れて貰えます。
たぶん何人かで確認をしているので、100万単位以外の部分が足りないなんてことは起こらないはずです。それでも、足りなかったらどうなるんだろうとちょっと思います。
その場で数えて確認すれば安心ですけど、私は一刻も早く去りたいと思うクチなので、職員を信じていつもエスケープしています。

200万くらいまでは普通の封筒で、額が上がるとまた別の封筒といった、何かしらの決まり(または競馬場での違い)もあるのかもしれません。払い戻しが多い時はいつもと封筒が違った経験があるので。
 

以上が軽い基礎知識です。以下は、帯に関する分析です。
 
 

帯Getはステータスになり得る?

これは間違いなくyesでしょう。

これまでの人生で関わった競馬好きは数十人おりますが、リアルで会話した人の中で帯封Getの経験がある人は、知る限り3人だけです。
「競馬で損をしていない人が7%いる」
という言葉がありますが、帯Getの経験がある人の割合もそんな程度のような気がします。
 

帯Getは難しい?

これは何とも言えないところがあります。

成金ならばたやすいでしょうし、成金じゃなくても例えば1.3倍の複勝に80万円入れる度胸(ぶっ飛び具合)があれば可能です。この帯封のGetの仕方はインチキ感がすごいですが、Getの実績は作れます。

ミスると何百万も損をするリスクを知りながらもなお、
「どうしても体験したい!」
という強い思いを抱ける人なら、誰にでもできます。そういった方法を許容するならば、帯Getは大したことではありません。

そういった特殊な人ではなく、一般的な人がGetを目論む場合は、かなりハードルが高めです。

前述の3人には複勝ドカンみたいなインチキはおらず、「ある程度マジで競馬と向き合っている」という共通点があります。真っ当な方法で帯封Getをする人は、競馬力だとか度胸だとかといった何かを他人よりも持ち合わせている場合が多そうです。

ただし、今は三連単があるから帯のハードルは昔より低いです。三連単を主戦場とする人なら、めぐり合わせがよければ誰にでもチャンスはあるでしょうね。
 

帯Getは目指すべき?

これはNoである気がします。
帯ありきではなく、「かみ合った結果帯になった」というのが理想です。
帯ありきで考えると、帯を得るために金額がでかくなるなどの弊害が現れやすいので。

一方で、帯を経験することで景色が変わる可能性もあります。
とはいえ、景色が変わるかどうかは到達してみないとわからないので、帯に過度な期待をせず普通に馬券ライフを送った方が賢明でしょう。

私の場合、帯に届いたことで間違いなく景色は変わりました。
次のステージに上がったという実感を持ちました。
そして、そのせいで今までにない大損を経験することにもつながりました。
レベルが上がればそれによる弊害も生じるものなので、景色が変わるというのも痛し痒しです。
 

結論:帯は幸せの青い鳥

「幸せの青い鳥」というお話をご存じですか?
かなりざっくりとあらすじを書くと、以下になります。
「幸せの青い鳥を探しに様々な場所に行くけど、どうしても捕まえられない。落胆していたら、青い鳥は自分の家にいた」

帯もそんなもんです。
到達するまではとてつもなくすごいことのように感じますが、追い求めてもなかなか手に入りません。無理に求めず競馬に向き合っていれば、気づいた時には手に入っています。

実際に帯を手にしたら、「喜び」「達成感」「有能感」など、自己をくすぐる感情を持てるでしょう。そこで終わるなら平和です。
しかし人間は欲深き生き物のため、自己を過信したり再度帯を追ってスタイルを崩したりしがちです。そうなると、「帯なんか取らなきゃよかった」と後悔するかもしれません。

「追い求めて帯を無理矢理手にした人」ほど、後悔する結末を迎えやすいでしょう。なぜならその人は欲深だから。
競馬をやる人間なんぞ大体欲深いものですけど、実績を作りにいく考え方はちょっと強欲がすぎる人の思考です。
ゆえに、複勝ドカンでの帯の実績は取りにいくべきではありません。家のカゴの中に青い鳥がいる日まで、気長に待っていましょう。
 

帯を取ることに慣れてくると、帯の幻想に気づきます。
帯なんて大したことはないとわかってきます。
そうなれば競馬上級者です。

私は上級者(笑)なので帯への幻想は解けており、馬券を分けて買うことであえて帯を避けたりします。
別に帯の払い戻し待ちをしたからといって、注目を浴びるなどということはさほどありませんが、それでも周りを警戒してしまうところがあります。

100万に届かなければ払い戻し機で済むから楽です。自分で封筒をいくつか持っていき、払い戻しごとにサッとしまえばよいだけです。
ただ、ミスって同じ機械に100万近い払い戻しの馬券を連続で入れてしまうと、お金の補充音とともにかなり待たされて逆に目立ってしまうため、注意が必要です。

スタンスによる部分も大きいですが、真剣に競馬に取り組んでいれば、帯は夢物語なんかじゃありません。
裏を返せば、帯が欲しいのに何十年競馬しても手に入らないのであれば、小銭縛りなどのスタンスが原因か、真剣さが足りないことが原因でしょう。

物事は全力で取り組んだ方がより楽しめます。
真摯な姿勢で競馬を楽しみ、帯もついでに獲っちゃいましょう!


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