取り残されて

「…はぁ」ソファに座り込む。眠気がない。鬱がきつい周期か。何の力も湧いてこない。
目をつむる。自分だけ何も変われていない気がする。みんな強くなっている。
「いつものことじゃないですか…そう、いつも…こうだったじゃない…です…か…」
悲しくなってしまった。やっぱり駄目なんだ。自分は何も出来ないんだ。
あれ、どうして泣いているんだろう。
こんなこと…慣れてるはずなのに。
「だ、駄目…まだ…」
まだ人がいる。こんな姿を見せてはいけない。
ブレイドアーツは急いで向精神薬を取り出し、飲み込んだ。
だが錯乱状態にあったのだろう。つらい気持ちを抑える薬ではなく、間違えて精神活動を活発にするものを飲み込んでしまった。
「あ…あ…」
心の内に、知らずに積もり積もっていた感情が膨れ上がる。
言葉にできず、ひたすら溜め込んで、どんなに辛くても溜め込んできたーーぶつける所も消す手段もなかったーー思いに支配されて…
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!どうして!!どうして僕は何も出来ないんだ!!!どうしてみんな怒るんだ!!!どうして!!どうしてこんなに苦しまなきゃいけないんだ!!どうしてなんだ!!どうして、どうしてこんな無能に生まれてしまったんだ!!うわぁぁぁぁぁ!!!」
衝動のまま涙ながらに叫んだ。
泣いた。こんなことで泣くなんてなんて自分は弱いのだろう。
きっと明日、僕はムラハチだ。
僕…?私…?
ふと甦った思考は溢れる涙と渇いた感情にかき消され、ただ叫んだ。
叫び続けていつの間にかリビングで倒れ、闇に閉ざされる。
「うわぁぁぁぁぁ!!!うわぁぁぁぁぁ!!!」夢の中でも泣きながら叫び続けた。
刺々の道に足をズタズタに裂かれながら、走り、叫んだ。
罵倒、怒声、暴言。その言葉を放つのは今まで合った人たちすべて。
それをかき消そうと、ひたすら叫んだ。
永遠と思うほど、声が枯れても叫び続けた。

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