深夜のノリで書いたカス小説

【⚠️警告⚠️】
深夜のノリの勢いで書いたクソみたいな二次創作です。以下の内容を含みますので、見る前にご確認頂きますように御協力下さい。

・オリジナルキャラクター
・ちい虐要素
・コメディ要素多め
・若干のキャラ崩壊

以下の4点をご理解して頂ける方は下にスクロールして下さい。












『俺とちいかわ、どっちが小さくてかわいいか勝負だ!』
『エッ?エッ!?』

『お待たせ致しましたーッ!只今より、ちいかわバトルを開催致しますーッッ!!!!!』

ワーッ!!!!!

ちいかわは、謎の男にいきなり勝負を仕掛けられたと思ったらいつの間にか甲子園会場のど真ん中にワープしていた。

『ウッ…ウウン…』
当然いきなりの事で理解もできず、四方八方から聞こえる声援はちいかわの不安な心を煽るには十分すぎる代物だった。

『ちいかわバトルとは、この世で最も”ちいさくてかわいい”…通称”ちいかわ”を決める大会です!』
アナウンサーの様な声が会場全体に響き渡る。

『それでは登場選手の紹介です!まずは赤コーナー!5年前から始まったこの大会において、未だに無敗!今年も得意の右フックが決まるか!?ちいさくてかわいい界の貴公子!ガッド・バンザック!』

上半身半裸で2m超えのデカい男が現れた。どこをどう見たらちいかわ大会で5年も連続で優勝ができるのか不思議でしょうがない…と言われても仕方の無い程に彼はちいかわという言葉が似合いそうになかった。

『うおらぁぁぁぁ!!!!!!』

バンザックは威勢を挙げながら入場する。カメラが彼の腰に付いている「ちいかわ」と刻まれた大きなメダルを移すと観客は更に強い盛り上がりを見せた。

『ヒューッ!』
『惚れ惚れするぜ!』
『今年も見せてくれ!あんたのちいかわ節を!』

『つづいて青コーナー!今までのちいかわバトル試合経験はゼロ!だがその能力は未知数で無数限!?チャンピョンバンザックを倒し、今宵に伝説を刻めるのか!?脅威のダークホース!ちいかわ!!』

『アッ…ワァ…』

ちいかわは泣きそうになりながら前に進む。
『こんなのが対戦相手で大丈夫か?』
『あんまり痛めつけんなよバンザック!』
『お前みたいなヒヨっ子が来る場所じゃねぇぞ!』

観客からの感性を聞く限り、ちいかわが”勝つ”ことではなく、バンザックが”どのような技を出す”のか。バンザックが”どんな言葉を発する”のか等にしか注目が行っていなかった事は明らかだ。誰もちいかわに対して興味が無いのだ。

『只今より、ちいかわバトルのルール説明を行います!
ちいかわバトルは5つの異なる種目をこなしていき、その種目毎の美しさ、華麗さ適正さを審査員に点数判定してもらい、点数の合計点数が高かった方がちいかわバトルの勝者となります!なお点数配分は1〜4種目は100点満点、ラスト5種目は200点満点での採点となります!審査員は100点満点の競技だったら1人25点まで、200点満点の競技だったら1人50点まで採点することができます!』

ちいかわは20文字以上の言葉を理解する能力を持っていなかった。無能だからである。
いつもだったらハチワレやうさぎが助けに入るが、これは男と男同士のプライドを賭けたタイマンである為、助けてしまうとむしろ助けた人が恥をさらしてしまうのだ。

『それでは早速、第1種目の方に入っていきたいと思います!』

何も理解ができないまま大会が始まってしまった。ルールが理解できなかったちいかわは、とりあえずファイティングポーズをとった。子供用のスプーンの方がまだリーチがありそうな腕をまるでボクサーのファイティングポーズの様に構える。正直アリの方が強そうではあったが、ちいかわ本人覚悟を決めた様子だった。

『第1種目は”身長”です!この種目ではちいかわに求められる身長や頭身を元に点数をつけられます!ちいさければ小さいほど得点は上がります!』

明らかにちいかわの圧勝だった。
ガッド・バンザックの身長は2m、9頭身という驚異的な背の高さ。鋼のように鍛えられている体。更にオマケに顔も良い。本来であれば何処を取っても悪い点は見当たらない。

一方でちいかわは60cmの2頭身というある意味驚異的な身長であった。体はリスに噛まれるだけで重症を負うような貧弱さであり、しかも顔もデカい。

普通の戦いで”身長”が対決項目に入っていたとしたら、明らかにこの男が有利、というより圧勝でだったであろう。

だが、この戦いは「どちらが”ちいさくてかわいいか”」の勝負である。

”ちいさくてかわいい”を決める勝負である以上、体の大きさは求められていないのだ。しかもよりによって2m超えなんてもっての他だ。

『それでは、審査員は点数を発表して下さい!』

審査員A バンザック:0点 ちいかわ25点
審査員B バンザック:0点 ちいかわ25点
審査員C バンザック:0点 ちいかわ25点
審査員D バンザック:0点 ちいかわ25点

合計点数
バンザック:0点
ちいかわ:100点

『おお〜っと!ここで青コーナーちいかわ選手、バンザックに大きくリードを付けた〜ッ!!!』
『うおおおおッッ!!!!!!!!!』

『ワッ…フフフ…!』

ちいかわはルールを理解してないが、観客の反応から自分が今優位に経ってるという事は理解できた。

『…。』

バンザックは点数が貰えなかったのに不貞腐れた様子も見せない。むしろ彼は不思議なことに笑いを浮かべていた。

『続きまして、第2種目は”可愛さ”です!』

驚異的な身体もさながら、顔も優れていたバンザックだが、”可愛さ”という点は全く検討もつかない。

『まあみてな、オレがどれだけ可愛いか見せてやる。』

バンザックがそう言うと、おもむろに鉄パイプを出した。それを左手の小指だけで挟む。

『フンッ!!』

バンザックは鉄パイプを指の力だけでへし折った。

『ヒッ…!グスングスン…』

ちいかわは彼の異常な強さに驚き、泣いた。泣いた事で審査員にはウケたのか、またしてもちいかわが点数的に有利となった。

審査員A バンザック:0点 ちいかわ25点
審査員B バンザック:0点 ちいかわ25点
審査員C バンザック:0点 ちいかわ25点
審査員D バンザック:0点 ちいかわ25点

合計点数
バンザック:0点
ちいかわ:200点

『またしてもちいかわ選手!バンザック選手に大きくリードを付けた!』
『すげえええええ!!!!!』

『フフ…クスクス…!』

1種目、2種目と続けて明らかにバンザックの不利な競技が続いていた。何故これで5年連続優勝できていたのか不思議でしょうが無かった。だがちいかわはそんな事を考える脳もないので、点数が離れていくバンザックを見て嘲笑っていた。

だがバンザックは慌てる様子を一切見せてなかった。彼には何か必勝法があるのだろうか。彼の表情には一点の曇りもなく、ただ次の種目を待っているのみだった。

『第3種目は、”検定”です!本人が持っている検定の数がそのままポイントとなります!そして検定の位が高くなればなるほどポイント数も上がります!国家資格は1つ事に3点、漢検数検英検は3級から上がる事に一点追加、その他資格は1つにつき1点となります!』

3種目目が発表されると、バンザックの雰囲気が変わった。まるで獲物を狩る虎の様におぞましい目付きをして口を動かした。

『俺は自動車運転免許、国家公務員総合職、危険物取扱者、食品衛生管理者、高圧ガス製造保安責任者、自家用操縦士、火薬類保安責任者、放射線取扱主任者、毒物劇物取扱責任者、衛生管理者、後漢検と数検が2級、英検が1級だったかな?』

急に早口で語り始める辺りキッツイ所はあるが、検定数の多さは本物であった。

『ちいかわ選手は?何の検定をお持ちですか?』

『キッ…アッ…』

『いや、ちゃんと言ってくれないと分からないです?どんな検定を持ってて、それが何個あるんですか?』

嫌な先生みたいな詰め方をする司会者。

『草…ムシ…リ…5級…デ…ス…。』

『では、それを証明する検定書をお見せできますか?』

『…グスン…』

『ちいかわ選手、泣いてしまいました〜ッ!本当は検定を持ってないのに見栄を貼って嘘を言ったようです!』

『おい!ふざけるな!』
『戦う気あんのか!?』
『不正するだなんて最低だぜ!』

観客からは罵声が飛ぶ。

『ヴッ…ウヴン…。』

『え〜ちいかわ選手、次同じような事をしたら即刻退場となります。気をつけてくださいね。』

審査員A バンザック:25点 ちいかわ0点
審査員B バンザック:25点 ちいかわ0点
審査員C バンザック:25点 ちいかわ0点
審査員D バンザック:25点 ちいかわ0点

合計点数
バンザック:100点
ちいかわ:200点

今まで1つもポイントが入らなかったバンザックがいきなり満点の100点を取った。いままでのちいかわの流れはいきなり追い風となった。

『え〜っと、ちいかわさん?でしたっけ?』

バンザックは突然ちいかわに話しかけた。

『さっき貴方が嘘ついた草むしり検定なんですが…オレ持ってますよ。しかも1級。』

『エッ…エッ!?』

『草むしり検定1級中学生の頃に取ったのを忘れてました。確か5級って…特別勉強しなくても小学生までの知識があれば取れますよね?まあ、頑張って下さいねw』

今まで静かだったバンザックはちいかわに圧をかけるように話しかけてきた。

『第4種目は、”大喜利”です!今の時代かわいいだけではやっていけませんからね、ユーモアも無ければ真の”ちいかわ”とは言えません!』

『それではお題の発表です!
「こんな学校は嫌だ」
一発勝負で制限時間は3分間!それでは、スタート!』

ちいかわは文字を書けなかった。

さらに学校がどういうものかを知らないし、大喜利の意味も知らない為、ちいかわは何をすればいいのか全く分からない様子だった。

『エッ!?エッ!?!?』

『そこまで!さてどのような答えが出てくるのでしょうか…!?それでは、赤コーナー、バンザック選手からお願いします!』

バンザックが自信満々にホワイトボードを観客に向ける。

『先生がぼろんどり』

ウケた。
会場全体がウケた。
ぼろんどりというワードのインパクトが強く、会場は大いに盛り上がった。

『おもしれぇぜ!ぽろんどり!』
『流石だぜ!ぼろんどり!』
『ぼろんどり最高!』
『『『ぼろんどり!ぼろんどり!』』』

気づけば観客全員がぼろんどりを称えるエールを送っていた。

『続きまして、このムードを一気に変えられるような答えが出るのか!?それでは行きましょう!青コーナーより、ちいかわ選手の回答です!』

『フ!』

ちいかわはホワイトボードの使い方を知らなかった。終了6秒前にようやくマジックで線が書ける事に気づいた程度だ。ちいかわはホワイトボードに書かれた1本の線を堂々と見せた。

『は?』
『お前大喜利の意味分かってんのか!?』
『つまんねーよ!帰れ!』
『『『ぼろんどり!ぼろんどり!』』』

またしても失敗だった。大喜利の意味も学校の意味もホワイトボードの使い方も知らないちいかわにとって、観客の野次は理不尽な罵倒であった。

『キッ!シネッ!』

審査員A バンザック:25点 ちいかわ0点
審査員B バンザック:25点 ちいかわ0点
審査員C バンザック:25点 ちいかわ0点
審査員D バンザック:25点 ちいかわ0点

合計点数
バンザック:200点
ちいかわ:200点

『おおーっと!?今まで優勢だったちいかわ選手とバンザック選手の点数が並んだ〜ッ!』

『ウッ…アァ…』

ちいかわは激しく動揺した。
今まで圧勝していたのに関わらず、ふと気がつけば同点にまで持ち越してるではないか。

ちいかわの焦りをさらに激しくするかのように、司会者がコメントをした。

『出ました!バンザック選手お得意の前半部分の点数を捨て、後半で一気に畳み掛ける。
通称『デカつよ』作戦だ〜ッ!!!!』

今までのバンザックの試合展開は全て罠であったのだ。
焦りと怒りのみがちいかわの脳内をぐるぐると回っていて、ちいかわ本人もどうすればいいのか分からなくなっていた。
例えここで冷静になっていたとしても、ちいかわは非常に頭が悪いので罠にハメられた事自体知ることも無かっただろう。

『いよいよ最後の種目となりました!最後の種目は…”タイマン”です!』

何故『ちいさくてかわいい』を決める大会に『タイマン』が必要なのかは全く分からない。だが、種目にある以上従うしかないのだ。

『制限時間はなし!降参するか、審判によって戦闘不能と判断されてしまうと負けとなります!このタイマンでは如何なる武器の使用も認められず、己の拳のみで戦ってもらいます!』

ちいかわに勝ち目は無かった。
ちいかわのパンチは本気でもギリ火災報知器のボタンを押せる位の力しか無く、明らかに人と戦う事に向いていないのだ。

バンザックは種目が始まる前にシャドーボクシングを始め、ちいかわと戦う準備をしている。
パンチの降り始めから終わりまで、一切無駄な動きがなく、パンチ一つ一つから風を切る音がブンブンと聞こえてくる。

『それではお互い準備はいいですね?それでは、始め!』

バンザックは開始直後にちいかわの顔面に全力右フックを食らわせた。

右フックを食らったちいかわはその場に倒れ込んだ。

『初手から得意の右フックだ!!!!』
『まるで稲妻の様な右フックだ…。』
『これを食らってまともに立ってた奴は居ない…ちいかわも可哀想だな…』

『フン…殴りがいもない…。審判、こいつはもう立ち上がれないはずだ。』

バンザックは殴った直後ちいかわの方を見る事なく審判の元へ向かった。

状況を一部始終見た審判がジャッチを言い渡そうとする。

『こ、この勝負…バンザック選…』

『ヤダッ!ヤダッ!』

1人の泣き叫ぶ声が聞こえた。

ちいかわだった。
ちいかわは少し顔を凹ませながらピョンピョンと跳ねていた。彼なりの威嚇方法だと思うのだが、2頭身がすこし跳ねた所で何も感じないのがオチだ。

『なるほどねぇ…少しは歯ごたえのある奴じゃねぇか。』

バンザックは笑った。その笑顔は今までのものとは違った、”ちいかわを嘲笑う為の笑顔”ではなく”ちいかわを強敵と認めた時の笑顔”だった。

だがちいかわはクソバカゲボゴミなので、そんな事を理解することもできなかった。

『つぎは本気で行くぞ!ダラァ!』

バンザックはちいかわにマシンガンブローを炸裂させた。先程の右フックよりも早く、そして重いパンチだった。
拳は全てちいかわの顔へと命中した。

『マシンガンブローだ〜ッ!これには流石のちいかわ選手も…』

『ワッ…ワァ…』

『…まだ立てるだろ?ちいかわさん。』

バンザックが呼びかけると、ちいかわは怒りの形相で彼を睨みつけ、スクっと立ち上がった。
観客全員が”何故立っていられる”のか不思議でしょうが無かった。

『お、おい…アイツとんでもないんじゃないか?』
『もしかしてバンザックに勝てるんじゃないか!?』
『いけー!ちいかわ!』
『負けるなー!バンザック!』

前の種目までは、明らかにバンザックの流れであった。だがちいかわは彼の拳を体で受ける事により、無理やり自分のペースへと変えていったのだ。
まあ当の本人はバカなのでそんな流れだとか自分のペースだとかを考える脳みそを持ちあわしてない。

何故ここまでバカで貧弱なのにバンザックに立ち向かう力があるのか。
その理由はただ一つ

ちいかわは、ちい虐による日々の虐待によって肉体的耐久力を鍛えられたからだ。

#ちい虐 のタグをつけた投稿が増える度にちいかわは耐久力を伸ばして行ったのだ。
それも内容が過激であればある程に耐性がより強く着くのであった。

『現在30分が経過しています…。バンザック選手の強烈なラッシュを受け続けるちいかわ選手…!バンザック選手の顔には疲れが出て居ますが、ちいかわ選手の顔は腫れに腫れまくってます!形相が確認できません!きも』

お互いに限界だった。
バンザックは30分間ずっとちいかわを殴り続けた。全力で殴り続けた。全力のパンチ1本だけでも50m走とほぼ同じ位体力を消耗する。それを休まず30分も続けたら疲れるどころか体が持たないはずだ。
ちいかわも限界だった。#ちい虐 のタグの投稿がおおいとは言えど、無限ではない。後1分同じペースで殴られれば#ちい虐 の投稿は全て無くなり、ちいかわは通常通りバンザックの強烈な拳を食らい、大きなダメージを受けてしまう。

だがちいかわはそんな事すらも知らないクソ無知野郎なので、今の状況に理解をしていなかった。だってちいかわだし。
痛みは無いとはいえ、身体的なダメージはあるようで、顔がパンパンに腫れていた。何も知らない人にこの顔を見せたら少なくとも『かわいい』という声は出てこないであろう。それ程歪んでいた。

『はぁ…ハァ…』

バンザックの手が止まった。

『ハァ…今までの無礼を詫びよう…ちいかわさん…。だが、俺は負ける訳にはいかない…。俺は今から全力の右フックをちいかわさんに打つ…。恐らく体力的にもこの1発が最後だ…。これでちいかわさんが立ってられなければ俺の勝ち…立っていられればちいかわさんの勝ち…。俺はこの1発に全てを賭ける!』

『バカッ!シネッ!チャル!』

ちいかわには言葉が届いていなかった。
ただ自分を殴り続けたバンザックをぶっ飛ばしてやりたいという気持ちのみしかなかった。
こんな自己満白豚野郎に同情するバンザックも異常だった。

『行くぜ…。』

『うおおおおおおお!!!!!!』
『バンザック!バンザック!バンザック!』
『ちいかわ!ちいかわ!ちいかわ!』

会場には2人の応援以外の音は一切入らなかった。

バンザックが右腕を全力でちいかわの顔面へと食らわせる。

『うおおおおおおらぁ!!!!!!!』
(こんな楽しい試合久々だ…だからこそ負けらんねぇ!)

『…ここは…?』

バンザックは気づくと病院のベットに運ばれていた。
ふと横を向いたバンザックは、陽の光に照らされ輝く優勝トロフィーが置かれているのに気づいた。

『優勝トロフィー…俺は勝ったのか?』

本人は納得していなかった。
ちいかわには全くと言っていいほど効いていなかった攻撃を30分も打ち続けたのに、何故自分が勝ちになるのか。
病室に響くテレビのニュース番組が試合の真実を事務的に、淡々と話していた。

『続きまして次のニュースです。先日、全日本ちいかわバトルにてガット・バンザック選手が6年連続優勝を果たしました。
ちいかわバトルの貴公子とも呼ばれるバンザック選手は先日、兵庫県甲子園会場にて行われたちいかわバトルにおきまして、6年目となる優勝を果たしました。
バンザック選手自身は試合途中に倒れてしまいバンザック選手の敗北に思えましたが、その直後に対戦相手が爪楊枝のような凶器を取り出しバンザック選手に危害を加えようとし、試合のルールに乗っ取り対戦相手が失格となりました。』

『…どういうことだ?』

『…!先生!バンザックさんが意識を取り戻しました!』

1人のナースがバンザックの様態に気づき、大声で叫んだ。
バンザックが目覚めた事に病院内に居る全員が喜んでいた。
バンザック本人は病院に運ばれた事も試合に負けた事も望んでいないのに。

『…少しいいですか?俺が試合に勝ったって、本当ですか…?』

『そうですよ!貴方が全身の疲労で倒れた直後、亜空間からピンク色の…刺股?を取り出し、貴方を刺そうとして失格になったんですよ!私も中継で見てましたけど酷いですよね…相手を故意的に傷つけようとするなんて…』

バンザックは『そうですか…』とナースに言うと、優勝トロフィーの方に顔を向けて静かに横になった。
病室で静かに横になる姿からは、大会の時の様な自信に溢れた威圧感は嘘と言っていいほど感じられなかった。

『俺は…弱い人間だ…クソッ!』

バンザックは小さく声を上げる。

成績としてはバンザックの勝利ではあったが、試合を一部始終見ていた者は口を揃えて『最初に倒れたのはバンザックだった』と言うだろう。

『俺の負けのはずなのに…ちいかわさんに気を使わせてしまった…情けない…。』

バンザックは”試合に勝ったが勝負に負けた”的な事で落ち込んでるのではなく、”自分の尊厳を守るためにわざとちいかわが反則負けしてくれた”と思い込んでいるのだ。

こんな無能白豚が人の為に自分が恥をかくなんてできる訳が無い。こいつは自分の利益の為なら仲間をも踏むクソ野郎だ。
バンザックも最初はそう思ってた。流石にここまで罵倒する程嫌っては居なかったが、少なくとも”今までの対戦相手と同じ雑魚”という認識ではあった。
しかし、最後の試合で攻撃を1度もよけずに堂々と受け続けたちいかわに対して、バンザックは彼を”雑魚”としてではなく”ライバル”として認めざるを得なかった。

ちいかわは攻撃を体で受け止めた訳ではなくただただ避けられなかっただけなのだが。

バンザックの脳内では
強い人=ライバル=ダチ=いい人
というカスみたいなイコール式が設立されている。
それのせいでちいかわがバンザックに気を使ってわざと反則負けしたのだと思い込んでしまったのだ。

一方ちいかわは審判にボコボコに殴られ全治半年の大怪我となった。その後、食事の際に金属スプーンを誤飲してしまい死亡した。

〜〜完〜〜

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